【連載/4コマ漫画コラム(14)】社外人脈の作り方② 脈は紹介ハブにあり
離れた世界をつなぐ「おせっかいおばちゃん」
Facebookの「友達」が沢山いるとか、名刺を沢山持っているとかだけでは「人脈」とは言えません。「人を『紹介してくれる』知り合い」が本当の人脈です。
「6次の隔たり」という言葉を知っていますか?知り合いを6人経由すれば、誰とでもつながることができる、という理論です。この地球上の全ての人(現在約70億人)であっても、たった6人を経由すればつながるのです。アナタも知り合いを通じれば、6人以内にアメリカ大統領であれ、テロリストの親分であれ、つながることができるということです。
しかし、ここで落とし穴があります。どんな人も様々なグループに属しています。村や国、学校や会社、趣味の集まりなどです。ところが、そのグループの間は分断されていることが多い。例えば、アメリカ大統領であれば、意外と少人数を経るだけでスッとつながるけど、アフリカのスラム街に住むストリートチルドレンにはなかなかつながりにくい、ということが起こります。それは「先進国のグループ」と「途上国のグループ」がほぼ分断していて、その両方につながっている「間」に入る人がなかなかいないからです。
この二つの異なるグループの「間」に入ってつないでくれる人を私は「紹介ハブ」と呼んでいます。前回の最後で予告した「人脈形成のポイントは『ハブ』」は、この「紹介ハブ」です。「ハブ」は「ハブ空港」とかで使われる言葉ですね。いくつもの「他の点」から「線」がつながっている「点」のことで、つながっている線の数が他より多くて集中している点です。
それぞれのグループには、中心となる人がいます。”リーダー” や ”長(おさ)” や ”ある業界の著名人”などで、本来の意味はそういう人が「ハブ」ですが、「紹介ハブ」は、そのグループからははみ出していて、他のグループとの間に立ってくれる人です。この「紹介ハブ」の人と深くつながると、具体的な活動につながる人脈がどんどん広がります。
「紹介ハブ」の人は、名前の通り、色々な方を紹介してくれます。なぜ、紹介してくれるかというと、人と人をつなぐのが純粋に好きだからです。最近は減りましたが、やたら「お見合い」をセットしてくれる「おせっかいおばちゃん」はその典型例です。そう、「おせっかい」なくらいに人を紹介してくれるのがポイントです。
「二つのモノサシ」で世界一に
では、紹介ハブの人とどうやれば出会えて深いつながりになるのでしょうか?それは「紹介したくなる人」になることです。
あるグループ内で「紹介したくなる人」になるには、技術領域などでその道を極め、「XXと言えばYYさん」というポジションになればいいのですが、オープンイノベーションで必要となる「身の回りにはいない人」とつながるためには、それでは足りません。そこで「世界でも稀な人」に自分がなれるかどうか考えてみましょう。
とはいっても、世の中には上には上がいるものです。どんなに技術や知識が優れていても、自分より必ず上がいます。そこで、「二つ以上のモノサシ」で自分の価値を最大化してみることをお勧めします。通常の「技術力」や「役職」だけで表現するのは、モノサシが一つだけになります。「ソフトウエアの技術をやっています」とか「社長をやっています」というだけでは、そのモノサシで図ると、自分より上の人間が何万人もいることになってしまいます。そこで、もう一つのモノサシを加えてみましょう。例えば、「『フランスで料理の修行』をした『ソフトウエアの技術者』です」というと、一気に希少価値が上がります。そして、日本で一番になることも夢ではありません。
もちろん、ただ単に「希少」というだけでは、「へー、面白いねー」で終わってしまう恐れがあります(それでも印象は強烈なので、いいですが)。そこで、相手に合わせて多少モディファイして「なので、料理人の気持ちも分かるレストラン紹介のアプリを作ったりするのが得意です」というような解説を加えると、より具体的な価値が生まれてきます。
単に「大企業で部長をやっている」というだけではこの「二つのモノサシ効果」は生まれません。名刺交換をしても、全くと言っていいほど印象は残りません。
是非、自分の二つ目のモノサシを考えてみましょう。仕事から離れたものの方が、効果を発揮します。そのための名刺を「二枚目の名刺」として作る手もあります(作ろうとすると、自分を見つめられます。『二枚目の名刺』というNPOもありますし、米倉先生の本もありますので、是非ご参考まで)
そうして「二つのモノサシ」で表現された自分の価値を様々な人と話していると、「紹介ハブ」の人に出会えるようになります。もちろん、単に「紹介してもらう」のではなくて、自らも紹介ハブになって、紹介するようになれば、相乗効果でより広く深い人脈を築けます。
ちなみに、私の二つのモノサシは「大企業で新規事業を色々やってきた」と「4コマ漫画を1500本以上書いてきた」で、恐らく(間違いなく?)日本で(世界でも?)ただ一人でしょう。「なので、新規事業立ち上げに必要なシンプルで魅力あるストーリー作りが得意!」ということで、お仕事をあれこれいただいています。「そんなのでいいの?」と思った方、そう、「そんなのでいい」のです!
■漫画・コラム/瀬川 秀樹
32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。