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【連載/4コマ漫画コラム(76)】新規事業担当者が「コロナ収束」を見据えて準備すべきこと

【連載/4コマ漫画コラム(76)】新規事業担当者が「コロナ収束」を見据えて準備すべきこと

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二種類の準備を

明けない夜はない。

新型コロナ収束の兆しが少し見えてきました。本格的な収束はまだ先の話になるかもしれませんが、特に新規事業担当者の方が今のうちから「新型コロナ明け」の時のために何を準備しておけばよさそうかについて今回はお話しします。

「戻すための準備」と「戻さないための準備」の二種類があります。

戻すための準備

①足腰と気づき力

テレワークが主体になり、自宅にいることに慣れてしまい、どうしても足腰が弱っています。まずは肉体的に足の筋肉を取り戻すために、歩きましょう。

元々体を鍛えることが好きな人は「歩くために歩く」ことも厭わないと思いますが、「歩かなきゃと思っているけど中々続かなくて」という人も多いでしょう。私もそういうタイプなので、「ついで散歩」を推奨します。私の場合は犬の散歩という「単に歩く」のではなく「犬の散歩」のついでに歩いていることに加えて、いつも小さなゴミ袋を持って散歩道のゴミを「ついでに」拾っています。これが結構楽しいのです。

毎日やっていると、ゴミが目につくようになってきて、普通の住宅地や公園でも結構ゴミが落ちていることに気が付くようになります。「昨日はあの辺りを歩いたから、今日はあっちの方に行ってみようかな。一週間ほど行っていないからゴミも結構落ちているだろう」とか思いながら。

または、自宅近所でも「テーマ」を決めて目を凝らしながら「歩く」のも「ついで」として面白いです。例えば、「壁の色が白の家は何件あるか」「咲いている花は何種類かるか」などです。いつもは意外と何も見ていないことに気が付きます。

そういう「(ゴミ拾いも含めて)何かを探しながら歩く」というのは、実は「新規事業開発」でも大事な「ボーっと見過ごさず、色々なことに気がつくクセ」を取り戻すことにもつながります。新型コロナの生活のせいで行動範囲が狭まり、「よく知っている」と思い込んでいる環境ばかりにいると無意識のうちに「見ているけど見ていない」状態になりやすいからです。

②腰の軽さ

足腰に関して、新規事業開発で重要な「腰の軽さ」も衰えているかもしれません。

痛勤電車のばかばかしさに気づき、電車もなるべく乗りたくないと思うようになり、ましてや出張も減って、「ちょっと行ってくる」という感じが減っていることでしょう。「なんのために遠出しなければならないのか」と思うことも以前より増え、無意識の壁が高くなっている可能性があります。「目的」と「そのための行動によって得られると期待される成果」がはっきりしないと動かなくなってしまうと、新規事業を進めるために重要な「セレンディピティ(偶然の出会い)」を失います。

そのため、今のうちから「目的がないお出かけ」を週末にすることをオススメします。所さんの「ダーツの旅」風に、日帰り可能な距離の地図にコーヒー豆を上から落としてみるとかもいいですね。

③雑談力

テレワークの最大ともいえる難点は「雑談の機会が減ってしまった」ことでしょう。

雑談によって思わぬ発見をして、広げたり深掘りしていくことは新規事業を進めていく上でとても大事なことです。オンラインで雑談することもできないことはないですが限界を感じます。私自身がおじさんなので、「雑談」と言えばどうしても「飲み会」が最強の場だと思ってしまいます。酒類の提供の解除も段階を追って進んでいくでしょうから、「コロナ明け飲み会の練習」とか謳って少人数(の方が雑談に向いている)の飲み会を無理やりでもやるようにしたいものです。

その際、できれば、あまり知らない方も同席してもらうようにするのが「雑談力」を取り戻すポイントでしょう。(もちろん新型コロナ対策はちゃんとやりながら)

また、テレワーク中心の生活によって、気が付かないうちに「心が小さく」なってしまっているメンバーが増えている可能性があります。それも「本格飲み会の事前練習飲み会」とか言って誘い、解きほぐしておきましょう。

④予算

新規事業開発のための経費が、昨年は新型コロナのせいで激減していませんか?それを少なくとも一昨年のレベルに戻すための画策を早めにやっておきましょう。

多くの企業では予算は「前年度比較」で決められてしまうので、そうなってしまうと昨年度や今年度の「低額」に固定化されてしまいます。そうならないようにするためには、予算交渉の相手(上司や経理など)に、まず「一昨年の予算・実績額」を思い出しておいてもらうことです。

また、「新型コロナが明ければ、こういう新規事業領域がどんどん伸びるのは間違いがないので、そのための活動ができるように(予算も)しておきましょう」と、具体的な新規事業開発の活動の魅力と可能性を早めに話をして刷り込んでおくことです。(参考:(第63回)「with/afterコロナ」時代の新しい事業の芽とは?

予算は一旦固まってしまうと中々変更しづらいものですから、早目にじっくりと時間をかけて画策しましょう。

そして、これを機会に「会社の財務状況」にも詳しくなっておきましょう。P/LやB/Sが新型コロナによってどのようにダメージを受けたか(もしくは恩恵を受けたか)など、特に技術系出身の新規事業担当者の方は実はあまり分かっていないことが多いので、これを機会に調べて、自分が経営者であれば、どのように今後経営や予算策定をしていこうとするかイメージしておきましょう。

また、新型コロナの影響で、どの会社でも「これからの当社の方向性」を以前よりは明確にメッセージとして発するようになっています。DX、SDGs、ESGなどを無視して経営は成り立たなくなったからです。そのメッセージもしっかり読んで、「社長のこのメッセージは新規事業のXXに適応できるな」というものを見つけて、そのストーリーを予算策定の責任者などに刷り込んでおきましょう。その刷り込みの場としても「飲み会での雑談」は最適でしょう。

戻さないための準備

新型コロナが明けて、目の前の暴風雨が過ぎ去ると、「新型コロナのおかげでやっと進みだした『これまで中々動かなかったあれこれ』」をなかったものとして単に昔の状態に戻ろうとする勢力が間違いなく強くなってしまうことが懸念されます。テレワークの比率くらいは以前のレベルにまではさすがに戻らないでしょうが、DXの世界的な発展や環境問題から目を背けてしまったり、単に目の前の利益のみを追い求めて既存事業にしがみつき、新規事業への協力を控え(たり邪魔したりす)る人達が増えることが予想されます。

それを少しでもマシにしておく準備が必要になります。

今の新型コロナの環境の中では、そういう人たちでも「これまで通りに世の中は続くものではない」とさすがに感じているので、「完全コロナ明け」の前に、その人たちと一緒に「これから」を考えていく場を設けてみるといいでしょう。「コロナ収束の後のために」とか題した検討会を一緒に催すなどです。

敵対してもいいことはありません。味方になってもらう努力をするいいタイミングなのです。そういう方も現時点での気づきをキープしながら自ら未来や世界を考える機会に参加してもらえば、もう単純に昔に戻ろうとはしないでしょう。(で、「飲み会」へ (^o^))

もう一つの「戻さない」こととしては、オンライン会議の活用ですが、まあ、これは戻らないでしょう。もしかしたら社内の旧態依然とした人達が無駄な会議をリアルで開きたがるかもしれませんが。

長いテレワークの間、どうしても目の前数十センチ先のディスプレイを見つめる時間ばかりになっていたかもしれません。ずーっと遠い未来や広い世界に目を向けて、数十センチの呪縛から解き放たれた上で、リアルに動ける足腰をしっかり準備して、新しい世界に踏み込んで楽しく前に進んでいきましょう。(で、飲み会!(やりたい……))


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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コメント4件

  • 小杉博俊

    小杉博俊

    • 株式会社シスパック
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    「コロナ明け」の時のために(どこかで読んだフレーズ・フフ)と、AUBAからTOMORUBAへとあれこれと覘いていたら、瀬川秀樹先生の『オープンイノベーションあるある4コマ漫画コラム』に出会いました。ご活躍ですね!コラム、ひとつづく胸に響きます。僕はオンラインでスタンプデザイン実習授業をしています。
  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

    • eiicon company
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