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【連載/4コマ漫画コラム(63)】 「with/afterコロナ」時代の新しい事業の芽とは?

【連載/4コマ漫画コラム(63)】 「with/afterコロナ」時代の新しい事業の芽とは?

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どうしても変わらなかったことが

まだまだ続く新型コロナウイルスによる影響。まさかこんなことが突然世界全体を覆うとは半年前には想像もしていませんでした。あれもこれも「それまで当たり前だったこと」が突然ひっくり返され、大変な思いをされている方々が沢山います。

しかし、ちょっと視点を変えてみると、「どうしても変わらなかったことが一気に変わった」という側面も沢山あります。

例えば

● どう考えてもおかしい状態だった超混雑痛勤電車がガラ空きになり、今後もテレワークなどの活用で以前ほどは混まないことが予想される。

→ 満員の痛勤電車の状態は人間を人間として扱っていなのに、どの政党も民間も本気で緩和しようとはしてきませんでした。私(個人業をやっています)のことで言うと、6年弱前にサラリーマンを辞めた理由には「痛勤電車が嫌だから」というものは入っていなかったのですが、もし、今から「サラリーマンに戻らないか」という話になったら、それを拒絶する最大の理由が「痛勤電車がイヤだから」です。この感覚は同じくサラリーマンから個人業に変わった多くの友人が同意します。サラリーマン時代は「仕方がない」をベースに慣れてしまっていたのでしょうが、どう考えてもおかしい状態でした。それが今回、テレワークによって「痛勤電車だけはもうイヤだ!」と思うようになってしまったサラリーマンの方々も結構いるのではないでしょうか。

●もう何十年も前から提唱されてきたのにどうやっても広がらなかったテレワークが一気に加速(※関連記事:【連載/4コマ漫画コラム(62)】 テレワーク時代の共創プロジェクトの進め方

●声高に言われてきたけれどなかなか浸透しなかった地産地消の重要性がリアルに認識

●「問題だ!」と言われ続けてきた「東京一極集中」がこれを機に地方移住する会社や人が必ず増えて、(多少は)解消に向かう(と思われる)。

● 温暖化ガスの排出を抑制しないと人類は危ないと分かっていても中々削減できなかったのが、一気に減った。空気がきれいになり、インドでは何十年も見られなかった遠くのヒマラヤ山脈が見られる場所も現れた。温暖化ガスの削減そのものは経済が戻ってくると以前と同じようなレベルになるかもしれないが、少なくとも「もし温暖化ガスを減らせれば、何が起こるのか」の実験ができたため(以前だったら不可能)、今回のデータが今後に生かせるでしょう。

● 今まで規制と本気のニーズ不足が理由で実現ができなかった「遠隔医療」「オンライン診療」が一気に市民権を得ました。「あれ?オンライン診療っていいよね」って気が付いてしまった人が沢山生まれた。

● 世界ダントツで低かった「日本のお父さんの家事分担比率」が、今回、家にいるために上がり、かつ、家事を(少しでも)覚えたお父さんが増え今後も以前ほどひどい状態には戻らない。

● 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として行われている「国民1人あたり一律10万円を支給(特別定額給付金)」も、これまで日本では殆ど本気度が上がらなかったベーシックインカムの実現への入り口になるかもしれない

新たに具体的に生まれるユーザ候補

……などなど、沢山の「これまでなかなか変わらなかったこと/起こらなかったこと」が突然現実のものとなりました。

さて、やっとここで今回のお題である「新しい事業の芽」についてお話しましょう。

もうお気づきだと思いますが、「ずーっと言われ続けていたのに中々起こらなかった/広がらなかったこと」が現実に動き出し、それによって沢山の新規事業のチャンスが訪れることが間違いなくなりました。

単に、「これまで起こらなかった領域」が動き出しただけでなく、重要なのは「その領域でリアルに課題を感じ解決策を求めている人たちが多種多様に沢山生まれていく」ことです。これまではある意味想像の世界だったことが、「テレワークをするためにはXXが問題だ」など、自分事として課題を感じる人達が、様々な異なる環境・状況でリアルに沢山生まれ出ていくことになったのです。

新規事業で最も重要なのが、「どんな人が」「どのような状況で」「どんな課題(Pain/Gain)を持っているか」を「具体的に」「絞って」想定し、それに対して「最適なWow!と言われる解決策≒ビジネスでの提供物」を作ることです。今までは中々リアルに「具体的に」「絞って」想定することは困難でした。ぼんやりしていました。それが一気に具体的な狙いの課題を持ったユーザーが雨後の筍のようにニョキニョキとそこらじゅう生えだしたのです。

もう、新規事業のチャンスの数は計り知れません。「以前頑張ったけどダメだった」という新規事業をこれを機に再考し、具体的なユーザー候補に出会いましょう。

これを機に、と期待するけれど

「これまで中々起こらなかったけど今回は変化のチャンス」の大きなものに「人類が世界的視野を持つ」ということがあります。国とか人種とか宗教とかにこだわって争い続けてきた人類にとって、「世界で全ての人でなんとかしなければならない」という今回の課題は人類の飛躍的な精神的・文化的成長につながる可能性があります。そのことを本当に期待しています。しかし、現実は「自国主義」や「分断」が生じてしまっています。これを乗り越えてその先に行きたいものです。

まあ、自虐的な感じで言うと、COVID-19という正式呼称が決まったあとも、これまでと同じように「新型コロナウイルス」としか殆ど呼ばないわが国は、やっぱり「なかなか変わらない国」の筆頭なのかもしれませんね(あーあ……)


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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