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【連載/4コマ漫画コラム(66)】「ジョブ型雇用」時代に持つべき視点とは

【連載/4コマ漫画コラム(66)】「ジョブ型雇用」時代に持つべき視点とは

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今が変わる時期?

COVID-19の影響で急速に広がったテレワークに引っ張られるような感じでやたら話題になっている「ジョブ型雇用」。テレワークだと働いている様子が分からないので、仕事の定義を明確にして、それに対して成果が出ているかを評価しよう、ということが背景にはあるようです(じゃあ、今までは目の前にいれば何が分かったのか、ということは不思議ではあるけれど)。

ジョブ型雇用はCOVID-19以前からあちこちで検討されてきました。それが一気に加速された感じです。日本型の終身雇用は無理が来ているので(そりゃそうだ)、違う採用・人事制度を導入せねばならない、ということです。

「ジョブ型雇用になるぞ!大変だぞ!」となんとなく恐れを抱いている人も多いかもしれません。でも、採用や人事の制度なんて、時代時代でどんどん変わるのは当たり前です。世の中や競争の環境が変わるから、ということもありますが、「制度」というものは元々完璧なものは存在せず、かつ、ある制度が長く定着すると必ず腐ってくるから時々は変更しないといけないのです。

20年位前に多くの企業が導入した「目標管理制度」も、曖昧だった人事評価を評価される側も納得感があるようにできる、という面では画期的だったかもしれませんが、運用しているうちに「できる目標を設定した方が、いい評価につながる」という姑息で挑戦をしない文化が蔓延するという負の面が強く出てしまいました。(関連記事:【連載/4コマ漫画コラム(10)】新しい組織の作り方② :新しいことに挑戦する風土に大事な評価

ジョブ型雇用時代を生き抜く、なんて

今回のジョブ型雇用は日本ではまだまだこれからなので、その内容もどんどん具体化されて進化していくでしょう。まだだいぶ先になりそうですが「これでいいな」と定着して変化しなくなると、制度なので必ず腐り、「他の手段はないか」と新たな方法へ移行していきます。

私は「ジョブ型雇用時代を生き抜く」のような言い方は好きではありません。今の時代や制度に合わせる浅いハウツウが感じられます。もっとドシっと構えて(かつ軽く)「どんな時代だって楽しく生きる」ことの方が大事です。(「生き抜く」という言葉もなんか切羽詰まった感じであまり好きではない……)

まともな会社は「ジョブ型雇用」が持っている危うさをしっかりと認識しているので、単に「こういう仕事ができる人」を「ジョブディスクリプション(職務記述)で明確」にして、それに「合っている人を雇って、その記述内容の仕事だけで評価する」ということにはならないようにあれこれ工夫をしています。

しかし、「他社もジョブ型雇用に移行しているし、テレワークの普及でどうすればいいか分からなくなってきたので、ウチもやろう」なんていう会社も沢山出てくるでしょう。そういう会社では、本来「ジョブとして記述」はしづらい「新たなことへの挑戦」などが益々やりにくい文化に陥っていく危険性があります。このコラムを読んでくださっている方のように「新規事業」や「オープンイノベーション」に自ら前向きに取り組んでいる方には不向きです(と、言い切ってもいいと思います)。しかし、一時的なことにしろ、そういう制度が蔓延してしまう可能性が高いのも事実です。

私個人の狭い経験の中では20年ほど前にアメリカに駐在していた当時に、このジョブディスクリプションという言葉に出会いました。その時は、「契約で決められた仕事だけをする」というイメージの理解しかできず、実際、「Aという製品を売る」というジョブディスクリプションの営業の人は、新規事業での製品を売る事を頑なに拒んでいた記憶があります。ジョブディスクリプションに記載されていないことをやっても評価対象にならないからだよ、と教えてもらったことを覚えています。

自分のジョブを言語化する

自分は自分であること。当たり前で青臭い言い方ですが、それが人生でとても大事なことでしょう。誰かや何かに合わせてキュウキュウと生きるのでは限りある人生、もったいない。

自分がやりたいこと、なりたいことをしっかりと持ち続けて、それを軸にして現実の身の回りの会社や仕事に必要なことはとりあえずはやれるようにはする、くらいの感じがいいでしょう。

一方、ジョブ型雇用を「ジョブの言語化」として捉えると、自分自身の強みや社会での価値を言語化できるチャンスでもあります。

これを機会に自分を雇いたくなる「ジョブ」はどんなことか、雇う側の会社(今勤めている会社でなくていい)になり切って「ジョブディスクリプション」を考えて「言語化」して書いてみるのもいいかもしれません。その作業をやってみると、「あ、こういうことも追加できれば雇う側へのアピールにもなるし、それ以上に実は自分自身がやりたい(なりたい)ことでもあるな」という発見もあるかもしれません。

人生、雇われるためだけにある訳ではありません。

一見、目先のジョブディスクリプションなどには現れない「リベラルアーツ系」の知見を充実させていくことが、ジョブ型雇用時代も含め、逞しく生きていける人間になる豊かな土壌を形成することにつながっていくでしょう。(関連記事:【連載/4コマ漫画コラム(58)】 新規事業に役立つ「学び直し」とは

「じゃ、いいでスゥ!」で、いいでスゥ!

最後に、(いつものように?)どうでもいい話を。

このコラムを書くのに当たって、頭に浮かんでいたのが、AirPAYのテレビCMです。変な外人が「カード使えますか?」と聞いてきて、オダギリジョーが「ウチは現金だけ」と言うと、(名セリフの)「じゃ、いいでスゥ!」と去っていくシリーズです。

「このジョブディスクリプションできますか?」と聞かれて、無理に合わせずに断ると、「じゃ、いいでスゥ!」と去られたって、人生が豊な方がいいな、と。

こんなコトを思うのが私の強み♡(だけどジョブディスクリプションには書けないか)



■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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