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【連載/4コマ漫画コラム(79)】オンライン時代の情報収集法

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新規事業で大事なセレンディピティ

コロナのせい(とおかげ)で一気にやってきた「オンライン時代」。

テレワークもWeb会議もウエビナーも日々の一部となりました。

その分、「リアル」での打ち合わせや出張が激減しました。一旦慣れてしまうと、オンラインで結構OKだということが分かり、益々「出不精」ならぬ「リアル無精」になりがちです。

でも、やっぱり「実際に会う」「実際に行く」に比べるとオンラインでの活動はどうしても浅く狭くなってしまいます。

新規事業の推進で大事なことの一つが「偶然の出会い」。セレンディピティです。思わぬ人やモノや情報に出会うことで、不確実性に満ち満ちた曲がりくねった新規事業の道に突破口を作ってくれます。その面ではオンラインはリアルには中々かないません。

分かりやすい事例でいうと、リアル本屋でプラプラすると、思わぬ本に出合えますが、オンラインで本を買う時は、変に「履歴や嗜好」が考慮された「幅が狭い」ものばかりが出てくる、というようなことです。

よく言われる「オンラインになって雑談が減った」というのも「偶然の出会いの機会が減った」ことにつながります。やることが決まっていて、効率だけを追い求めるのであれば、目的に一直線で行くことができる「道」だけを歩めばいいのですが、「偶然の出会い」は脇道や一見無駄に見えるものこそが重要です。雑草とか雑念とか「雑談」とかです。

親密さ:人間も動物なので

そして、リアルになかなかかなわないのが「人との親密さ形成」です。人間も動物なので、動物としての距離についての本能が働きます。遠いとことにいる人(や動物)は基本的には敵の可能性が高いので警戒対象です。数mくらいでやっと群れの仲間として認識するようになります。そして手が届く距離になって、家族や恋人として感じられるようになります。

「偶然の出会い」と「人との親密さの形成」をオンラインでどうやれば少しでも「マシ」になるのかを考えてみましょう。

仕事以外のネタ元を

「オンライン会議で雑談をするのは難しい」という声はよく聞かれます。当たり前ですが、リアルで雑談が出来ない人はオンラインでもできません。「最近、面白かったことあった?」という「定番の雑談きっかけ」に対して「別に」と「雑談ターミネートコマンド(終了合図)」を出さないように、普段から経験したり目にしたものから「面白くなる可能性のあるネタ」を見逃さずに、それを「短いストーリーにして話す」ことをやり続けましょう。そんなスキルが磨くためのオススメは「4コマ漫画日記」を書くことです(すいません……私の土俵のことしか思いつきません)。

「普段目にするもの」としては、仕事とは直接関係ないものに触れ続けることが大事です。雑談のネタ元になるだけでなく、進めている新規事業プロジェクトに思わぬ気づきを与えてくれることも多々あります。多くの人が30歳とか40歳とかになると、本も読まなくなり、読んでも仕事関係の本だったり、ビジネス本だったりで、「偶然の出会いや広がり」が得られないようになってしまっています。「でも時間の余裕もないし、無限にある本や情報に触れる事はできない」と思うのは当然です。「自分が(仕事以外で)好きな領域」を軸として読んで、その中で出会った「気になる本やコト」にちょっと踏み出していくのがいいでしょう。本だけでなく、オンライン上に溢れる情報についても同じです。

今できる「ちょっとマシ」

オンライン会議での「雑談」の質も大事です。よくある季節の挨拶とかの浅い雑談ではない「何かを気づかせてくれたり次の展開につながる偶然の話」をするためには、「親密さ」が重要になります。しかし、オンライン会議で初対面の方と「親密な感じ」になるのはとても難しい。

細かい工夫としては、顔がちゃんと見えるようなライティングや、なるべく大きくはっきり見えるような距離(画面からはみ出すのは行き過ぎですが)は当然ですが、やはり笑顔が大事です。初対面の方が安心して「ちょっと深い話」をしてくれるためにはいい表情(ベースは笑顔)が必要です。アメリカなどではエグゼクティブの人たちは、毎朝、鏡を見ながら笑顔の練習をします。日本人ではそんなことをやる人は少ないです。オンライン会議の前に自分だけでPCで自分の表情・笑顔をチェックして練習してみるのもいいでしょう。

会社などからオンライン会議をやる時は、他の人が同じ部屋にいたりして、マスクをつけたまま臨まないといけないことがありますが、目だけでいい笑顔や表情ができないかを練習してみましょう。(マスク有だと不可能かな……目だけが画面にでるくらいに近づいてみるとか、マスクに笑った口を書くとか・・・やり過ぎかな。)

もちろん「親密で安心感のある雰囲気」を作るためには表情を含んだ画像だけでなく、「声」も重要です。最近は、オンライン会議で録画ができることも多いので、自分の声の感じがどのように他の方に聞こえているのかを録画で確認して、練習(声のトーンを変えてみるとか)するのもいいでしょう。こんなことができるのはオンラインだからこそです。オンラインだと録画の画像・音声が、そのまま相手に伝わっているものと同じだからです。リアルだとボイスレコーダーに録音された自分の声は決して相手が聞いている声と同じではありません。

アバターロボでオンライン出張

ここまで「なんとかオンラインでも少しはマシにできないか」について書きましたが、まあ、あまり大したことはできないですね。でも、大丈夫。テクノロジーやサービスはどんどん進化していきます。4コマ漫画に書いたような「オンライン出張」もまもなく日常の一つになると思います。「オンライン出張」について、もう少し詳しく述べてみましょう。

「オンライン出張」のポイントは、ここまで述べてきたように「偶然の出会い」と「親密感」を大事にすることです。

リアルの出張で現場に行くと、色んなものが(無意識にも)目に入ってきたり、聞こえたりします。また、触ることもできます。それらを行うために、出張先(現場)に回りを見渡せる「目」をもち、方向などをリアルに感じられる「耳」を持ち、かつ(できれば)モノを触ったり持ったりして重さや柔らかさを感じられる「手」を持つ「出張用アバターロボット」が「オンライン出張」の中核になります。出張者は、自宅や会社からVRゴーグルや触覚手袋(ハプティクス)を装着して使います。

脳は遠隔を受け入れる

「でも、遠隔ロボットでリアルに感じるのは無理では?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。大丈夫です。人間の脳はとてもフレキシブルなものです。人間という肉体も、手や目は脳に神経でつながっていて、手や目というセンサーやアクチュエータ(駆動)は遠隔です。

しかし、脳はその神経の距離を感じません。私は漫画をPCにペンタブレットを使って書いています。ペン先をタブレットに当てて、PCの画面上のペン先を動かして絵を書くのですが、使っている内にあたかもPCの画面に直接ペンを当てて描いているように思えてきて、何の違和感もなくなります。脳とペンを持っている手の間は神経で信号が伝達され、ペンタブレットとPCの画面の間は電気信号で伝達されているのですが、あたかも脳が直接PCの画面の上でカーソル(ペン先)を動かしているように思えてくるものです。同じように、遠隔地でのロボットと自分の脳は直接つながった感覚になっていくのは間違いないことでしょう。もちろん、十分な信号伝達速度や高解像の画質などは必須です。

そして、「親密感」を醸し出せるデザインが重要なポイントになります。SDガンダムのように(若い人は分からないかも……すいません)、自分自身を可愛く2頭身にしたようなロボットをイメージしていています。

「オンライン出張パックサービス」企画原案

でも、この「出張用アバターロボット」だけでは、「オンライン出張」はできません。

オンライン会議で初めて会った人と話しているうちに、「では、是非現場を今から見せて下さい」という話ができるかどうかが大事なことです。リアルでの打ち合わせならこういうスピード感があることが行えます。新規事業での一番の肝と言っていいのは「スピード」です。オンライン会議で「では見学させてもらいます」となったら、それから10分ほどでこの「出張用アバターロボット」が届くようにしたいものです。

そのやり方としては、全国に拠点を持ち、その拠点で自分の顔を模したかわいい顔の部分を3Dプリント(か曲面プリント)し、ドローン配達で届けるのです。その際に、訪問先からセキュリティに関する許可をもらったり、電波の設定もサービスの一環として行います。そういうトータルの「オンライン出張パックサービス」が作られて、初めて世の中に広がっていくでしょう。レンタルとしての値段は実際に出張に行く場合の交通費+日当と同額であれば、みんな喜んで使うでしょう。

もっと未来では自走ができる機能(自走というより歩行かな)も付加されるでしょうが、しばらくはそれだと値段が高くなりすぎたり、重くてドローンで運ぶのは大変だったりするので、漫画に描いたように「歩けない」ことを逆手にとって「親密さ」を醸成することなどを狙ったりするのがいいと思います。(「肩車」でなくて、「だっこちゃん」でもいいかも……これも若い人にはわかりませんね(^o^;))

書いていてワクワクしてしまって、長くなってしまいました。

オンラインはこれからもっともっと発展していきます。リアルも大事だけれど、オンラインでOKなことが増えていきます。……とかいいながらリアル飲み会がやりたくて仕方がない今日この頃です。


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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