
静岡ブルーレヴズ×ナビタイム スタジアム渋滞緩和とCO₂削減に向け、実証実験を開始
静岡ブルーレヴズ株式会社と株式会社ナビタイムジャパンは、2025年3月と5月に、ヤマハスタジアム周辺の駐車場混雑緩和とCO₂排出量削減を目的とした実証実験を実施した。これは静岡県のスポーツオープンイノベーションプログラム「FIELD - SHIZUOKA SPORTS OPEN-INNOVATION」の第一弾であり、スポーツ観戦と移動のあり方を見直す取り組みだ。
観戦客の4割以上が車来場、脱炭素経営の壁に
静岡ブルーレヴズはチームとして脱炭素経営を掲げ、カーボン・オフセット付きチケットの販売などを展開してきた。しかし、ホストゲームでは来場者の約45%が自家用車を利用し、ピーク時には約3,000台が集中するため、試合後の出庫に最大50分を要する混雑が観客満足度低下の要因となっており、環境負荷と来場体験の両面で改善が求められていた。
『moveco』で楽しく移動をエコに変える
実証実験ではナビタイムのエコ活アプリ『moveco by NAVITIME』に専用モード「レヴズモード」を搭載。徒歩や自転車、公共交通といったCO₂排出量の少ない移動手段を選択した来場者にはマイルを付与し、選手のサイン入りグッズや抽選会参加券と交換できる仕組みを用意した。さらに駐車場の混雑状況をアプリ内でリアルタイム表示し、混雑回避を促す取り組みも盛り込んだ。試合後にはピッチサイドウォークやグッズ抽選会を開催し、来場者の満足度を高めつつ一斉出庫を避ける工夫も行われた。特にヤマハ発動機コミュニケーションプラザでのイベントには約200人が参加し、名車展示を家族で楽しむ姿も見られたという。
実験では、もっとも混雑する第7駐車場の出庫時間を計測。実証実験前と比べ、どの時間帯でも出庫時間が大幅に短縮し、アンケートでは出庫待ちが5分未満と答えた来場者が約78%、「ほとんど渋滞がなかった」と感じた人も85%にのぼった。また、1月から5月の期間で車移動からのシフトによるCO₂排出量削減効果は約172万gに達し、車移動と比べて約半分の排出量に抑えられた。
観戦をきっかけに「行動変容」へ
来場者アンケートでも、68%が移動手段に変化があったと回答し、脱炭素や地域貢献への意識が高まったという声が多く寄せられた。静岡ブルーレヴズの経営企画室は「交通渋滞の緩和とCO₂削減を両立でき、観客の行動変容を後押しできた」と振り返り、今後も地域連携を通じた取り組みを進めていく構えだ。
スポーツ×交通×地域活性化、次の挑戦へ
ナビタイムジャパンも「スポーツ観戦という一極集中イベントにおいて、混雑ストレスを軽減し、地域周遊の時間を創出することが満足度向上につながる」としており、今後も自治体やクラブと連携しながら経路探索技術や移動ビッグデータを活用して地域課題解決に貢献していく方針だ。
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(TOMORUBA編集部)