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【連載/4コマ漫画コラム(49)】 新規事業しくじり談 #1

【連載/4コマ漫画コラム(49)】 新規事業しくじり談 #1

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■私はしくじったのか(回想)

「新規事業開発とかで瀬川さんの『しくじり』ってどんなことがありましたか?」と言われて、考えてしまいました。

………ない。

改めて「しくじり」の意味をネットで引いてみました。ほとんど「失敗」と同義語だけど、「ちょっと軽い失敗」というニュアンスもあるようです。でも、やっぱり思いつかない。なぜ「ない」のだろう、と考えてみました。

そして辿り着いたのは「一般的に言えば失敗とかしくじりに見えることも、私はそうは思っていなかったのかも」ということです。

確かにシリコンバレーでやった新規事業は大きな投資をしたけれど、それを回収できずに事業終了してしまったし、光ディスクの国際標準化委員会の日本代表になって世界を飛び回ったけれど、結局は光ディスクの事業そのものも最終的には撤退したし、小さな新規事業立ち上げも山ほどやったけれど、殆どが消えたし……まあ、いわゆる失敗は山ほどやりました。

でもそれらの「失敗」の意味は、「大企業なのだから1000億円の売上になって初めて成功と言えるだろう」とか「少なくとも単年度での利益が出るようにならないと成功とは言えない」などの場合の「成功」に対して、それに至らなかったから「失敗」という意味です。

そりゃ、そういう分かりやすい成功をするのが一番スッキリしていることは間違いありません。

■「失敗を学んで」「失敗を避ける」と

でも、だからといって、「そういう成功に至らないのは失敗」という言い方をすると、「そういう成功にならないかもしれないのならやらない方がいい」という精神構造になってしまうのが、一番イヤで悲しいし、実は会社にとっても変化も成長もできずに中長期的に見れば衰退していく道を歩んでいくのは間違いないと思うのです。

分かりやすい「成功しなければ」とだけを「外野」から叫んで自分では何もしない人たちにとっては「単に言い訳にしか聞こえないこと」をここから書こうと思います(完全に喧嘩売っているな……)。

よくある「失敗から学ぶ」という言い方は「失敗を避けるために」ということになっています。でも、実はそれも大抵は「結局何もやらない方がいい」につながります。

大事なのは「失敗」とか最初から考えずに「やる」ことです。「やること」でしか学べないのです。人の失敗の話を聞いて頭だけで考えても「挑戦するため」の学びには全くつながらない。

また、とても大事なことは「同じ失敗はやろうと思ってもできない」ということです。よく「同じことをやっても成功するとは限らない」とは言われていて、それは「そりゃそうだ」と腑に落ちると思いますが、その反対の「同じことをやっても失敗するとは限らない」というのも真実なのです。まずやっている人が違う。会社も違う。そして、時代も違って、世界情勢も技術もいつも変化している。

優秀な人であればあるほど、自らの経験の中の失敗事例に引っ張られて、若い人たちが自分が過去にやった失敗に近いことを提案してくると、「それは失敗するぞ」と思いがちです。

大事なのは「失敗するかもしれないけれど、やってみると本当に色々学べて、また新たな挑戦へ活かせる」ということです。つまり、結果(成功か失敗)までの過程での挑戦活動そのものが、結果が成功しようが失敗しようが、次の新たな挑戦の糧になるということです。

■もうひとつの「しくじり」の意味では

……という考えで長いサラリーマン生活をやってきたのですが、「しくじり」の意味の話に戻ると、実は

「過失などのために、職や地位を失うこと」

という意味もあるようです。これは知りませんでした。

「私もその結果だと、しくじってここには居られないから」という風に使われるそうです。

こちらの「しくじり」の意味では、実は私は何度も「しくじって」います。

別に「過失」をしたとは思っていませんが、あれこれ変なこと(に見えること)にいつも挑戦していたので、社内にどうやら私がやっていることを気に入らない方々も多かったようで、私が担当していた部署からある日私が突然異動になったり、その部署そのものが消滅したりしたことが何度もありました。つまり「しくじり」しまくりました。

でも、私自身はだからと言って「誰が私を異動させたんだ」とか「誰がこの部署を無くしたんだ」みたいな犯人捜しは一切せず、「じゃ、次!」と次の部門に移っていきました。

でも、そのやり方に対して、元の部下から本気で怒られました。「瀬川さんはいいかもしれないけど、一緒に挑戦してきた僕らは本当に困る」と。そういう意味では「職や地位を失うこと」が「失敗」にも直結した「しくじり」をやってきたのだろうなあ、と反省しています(ほんのちょっとですが(^o^;))。

次回のコラムは本テーマの2回目として、私の具体例、つまり「結果は失敗だったかもしれないけれど、やってみて分かったこと・身に付いたこと・なのでその次に挑戦できたこと」を書いてみたいと思っています。あれこれやって本当にあれこれ変な事まで身についたことこそが、ずうっと何か新しいことに挑戦しようとする原動力になってきたなあ、と、このコラムを書いているおかげで改めて思いました。

あー……書けば書くほど言い訳のような気がしてきますが、このコラムも失敗とか決めつけずにやってみています。さて、何が得られるかなあ。


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

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コメント2件

  • Ayuko Nakamura

    Ayuko Nakamura

    • eiicon
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    今回も学ぶところ多し…
    
    抜粋→大事なのは「失敗」とか最初から考えずに「やる」ことです。「やること」でしか学べないのです。人の失敗の話を聞いて頭だけで考えても「挑戦するため」の学びには全くつながらない。
    
    以外に私はリスクというか、一番うまくいかなかったパターンを考える。最悪のシナリオでも我々が耐えられるかを天秤にかけながら耐えられなそうでもやるべきであればGOするタイプです。笑
    でもそれはやはり「やらないとわからない」領域が必ずあるから。

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