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経験豊富な技術者の「目」と「頭脳」になれるか?AI×映像解析の共創事例

経験豊富な技術者の「目」と「頭脳」になれるか?AI×映像解析の共創事例

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。eiicon labの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は、【AI×映像解析】の領域でどのようなイノベーションが起こっているのかを深堀りしていきます。止まっている画像とは異なり、常に動いている映像は情報量が多く、解析する難易度も高そうなイメージがあります。

人間の目でしか正しく認識できないと思われていた映像解析に、AIのチカラが加わることでどのような化学反応が起こるのでしょうか。有望な共創事例をいくつか紹介していきます。

映像の中からファクターを検知し、解析するのが現在の主流

AI×映像解析の領域でビジネス実装される事例が増えていますが、もう少し具体的に説明すると「映像の中から特定の要素を検知して、その要素を解析する」という利用用途が現在の主流となっています。

これまで、専門知識を持った人間が目視で調査してデータを蓄積し分析する、といったフローの業務効率が改善される可能性があるということです。

出典:ミック経済研究所

AI×映像解析の市場規模を直接的に示すデータは見つけられませんでしたが、映像認識も含まれているミック経済研究所の調査「ディープラーニングを活用した画像認識」では、画像認識の市場規模は2018年度実績で53億円、そして2023年度には約1500億円にまで到達すると見込まれています。年平均成長率で95.1%増を5年続ける計算になる急成長です。

関連ページ:AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望【2019年度版】

AI×映像解析の共創事例

それでは、AI×映像解析の分野でオープンイノベーションが行われている共創事例を見ていきましょう。

【NTTドコモ×京大】動画撮影で橋のたわみと車両重量をもとに劣化を推定する「橋梁劣化推定AI」

NTTドコモと京都大学は2019年12月、橋梁を走行する車両と、車両通過時に発生する橋のたわみや揺れを同時に動画で撮影し、AIで橋の劣化を推定できる「橋梁劣化推定AI」を世界で初めて開発し、富山市の八尾大橋にて橋梁劣化をAIで推定する実証実験を行いました。

橋梁の点検は課題が多く、①点検には経験豊富な技術者の判断が必要であること、②点検場所は足場が悪く点検コストが高いこと、③技術者が不足していることなどが挙げられ、効率よく点検する技術が求められている領域でした。

「橋梁劣化推定AI」を利用することで、橋梁と橋梁上を走行する車両を動画撮影し、車両の重量を推定したうえで、橋梁の複数点のたわみ(変位)から橋梁が劣化しているかをAIで推定し、定期点検やモニタリングで橋梁ごとのデータを蓄積することで、AIでの劣化推定精度がより向上していくことが期待されています。

関連記事:NTTドコモ×京大|世界初、動画撮影で橋のたわみと車両重量をもとに劣化を推定する「橋梁劣化推定AI」を開発

【小田急電鉄×ノキア】AIを用いた踏切異常状態検知に関する実証実験

小田急電鉄は2020年2月から3月にかけて、ノキアソリューションズ&ネットワークスが販売している「カメラ映像とAIによる異常状態検知システム(スペースタイムシーンアナリティクス)」を用いて、踏切内の安全性向上を目的とした実証実験を実施しました。実験に用いられたのは小田急小田原線 玉川学園前8号踏切とのこと。

実証実験では、踏切内における様々な動作を収集し、AIによる分析を行いました。目的は踏切監視カメラの映像を「スペースタイムシーンアナリティクス」を活用して解析することで、踏切内での異常状態の検知をより強化することです。

実証実験を踏まえて、小田急電鉄の中長期計画である「先進的な技術による高度化」を推進したい狙いがあります。

関連記事:小田急電鉄×ノキアグループ | AIを用いた踏切異常状態検知に関する実証実験を開始

【朝日放送×NTT西日本×電通×日宣×イスラエルスタートアップ】AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業で協業

朝日放送グループホールディングス、NTT西日本、朝日新聞社、電通、および日宣は2019年7月、AIカメラシステムに強みを持つイスラエル発のベンチャーPixellot Ltd.(ピクセロット)と、スポーツ映像配信事業において協業すると発表しました。

ピクセロットが開発する円柱状の無人撮影カメラ「Pixellot」は、AIによる自動撮影や編集機能を備え、高解像度で撮影を行うことができます。この「Pixellot」をスタジアムなどの競技施設に設置し、AIが自動でカメラワークを行うことで、撮影コストを約10分の1に抑えることができると試算されています。また、動画内や動画と動画の合間に広告を自動挿入することも可能とのこと。

実証実験では、各社が5G時代のスポーツ映像コンテンツ供給のために、アマチュアスポーツの試合にフォーカスしてAIカメラを活用したスポーツ映像配信事業の事業としての可能性を検証し、将来的な事業化を目指します。

関連記事:朝日放送、NTT西日本ほか大手×イスラエル発のスタートアップ|AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業で協業

【コニカミノルタ×Rist】空間をスキャンして人や物体を検知する「3Dレーザーレーダー」

コニカミノルタはeiiconを介して京都大学発のAIベンチャーRistと共同で空間をスキャンして人や物体を検知する「3Dレーザーレーダー」の精度向上を目指した共同開発を推進しています。

3Dレーザーレーダーは、この技術を活用した行動モニタリングシステムによって状態監視からリスク予知までを行い、交通インフラ/セキュリティ領域の社会課題解決を目指しているプロダクトです。そしてこの映像解析技術の精度を高めるべく、Ristが持つディープラーニングによる判断システムとの共創を実施しました。

協業によって、解決したかった2つの課題「物体検知の精度」と、「黒い車両など低反射率の物体の距離の推定」をクリアすることができたようです。詳しくは、事例インタビュー記事に掲載されています。

関連記事:コニカミノルタ×Rist共創事例 | 3Dレーザーレーダー×AIで社会課題を解決する

【編集後記】コロナ禍のサーモグラフィーでも重宝される映像解析

すでに専門知識のある人材は不足していますが、人口減少時代においてこの傾向はさらに加速するでしょう。そんな現代においてAIによる映像解析は重要なポジションを担うことになりそうです。

直近では、新型コロナウィルスの影響で施設の出入りなどに体温を検温するケースが増えました。IoT企業のSPYGIGは、自立運転デバイスによるサーモグラフィーカメラとクラウドサービスを組み合わせたパッケージを開発し、検温を自動化するキットを提供しています。

コロナ禍で生活が激変するなかで、AIによる映像解析のような技術が一気に一般に普及する可能性は十分にあるでしょう。

関連ページ:PSYGIG、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、サーモグラフィ―キット提供開始。自動で体温測定して高熱検知時にアラート通知するWebプラットフォームも同時提供

(eiicon編集部)

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Break Down AI

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