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オープンイノベーションとは?意味や事例・戦略を徹底解説

オープンイノベーションとは?意味や事例・戦略を徹底解説

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企業の成長戦略の手段としてオープンイノベーションを採用する企業が2015年以降、急速に増えています。ビジネスを加速させるエンジンは「競争」から共に事業を創るという意味の「共創」に移り変わりつつあります。

現在、日本においてオープンイノベーションは一種のブームとなり、「オープンイノベーション」という言葉もバズワード化しています。ですから、本来的な意味で「オープンイノベーション」について知るためには語源や歴史、背景などを理解することが近道です。

eiicon companyが展開するオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、20,000社以上の企業に登録いただき(2021年4月現在)、17,000件を超える企業同士の繋がりを創出しています。

オープンイノベーションが発祥したのはアメリカですが、近年では日本でも浸透しソフトバンクグループや富士通など、大手企業もオープンイノベーションを積極的に取り入れているのです。成功事例の詳細は後述します。 

数多くの共創を支援したAUBAが考えるオープンイノベーションの意味や定義、類似の言葉との違いなどを解説していきます。 

オープンイノベーションとは?


オープンイノベーションとは「イノベーション」を起こすための方法の一つです。

オープンイノベーションは様々なメディアで多種多様な取り上げられ方をしており、言葉は聞いたことがあっても、オープンイノベーションとは何かを端的に説明できない人も多いのではないでしょうか。

そのため、本記事では日本におけるオープンイノベーションの定義や、意味・語源について解説します。


オープンイノベーションの定義、意味、語源について

【定義】社内外でイノベーション効率を最大化すること


オープンイノベーションについて内閣府は2010年に以下のように定義しています。

オープン・イノベーションとは、(必要により失敗を内生化するエクイティ・ファイナンスと外部のベンチャー企業群も活用し、)自社内外のイノベーション要素を最適に組み合わせる(mix & match)ことで新規技術開発に伴う不確実性を最小化しつつ新たに必要となる技術開発を加速し、最先端の進化を柔軟に取り込みつつ、製品開発までに要する時間(Time to market)を最大限節約して最短時間で最大の成果を得ると同時に、自社の持つ未利用資源を積極的に外部に切り出し、全体のイノベーション効率を最大化する手法。

(出典「オープン・イノベーション」を再定義する ~モジュール化時代の日本凋落の真因~   内閣府 科学技術基本政策担当 より抜粋)

つまりオープンイノベーションとは自社内外のイノベーション要素を組み合わせて、イノベーションを起こすまでの過程を効率化するとともに、イノベーションのインパクトを最大化することだと定義されています。

【意味】企業同士で新たな価値を創造すること


定義は前述のとおりですが、オープンイノベーションとは何か、をさらに端的に表すと、「自社以外のパートナーと連携し、共に新たな価値を創出すること」です。

そうはいっても、かなり広い意味を持つ言葉なので、角度を変えて説明してみましょう。

オープンイノベーションの反意語はクローズドイノベーションであると考えられますが、これは「自社のリソースで自社内に閉じた取り組み・開発によってイノベーションを起こす」という意味になります。

自前でイノベーションを起こすことはこれまで日本企業が得意としてきた分野ですが、昨今の技術の発展やITツールの進化により、スピード・インパクト・工数などの点において、自前のリソースに限定し進めることが得策ではない場合も出てきていると言えるでしょう。

このような背景から、自社の強みと外部のリソースや知識を掛け合わせることで効率よくイノベーションを起こすことをオープンイノベーションと定義できます。

ここで注意したいのは、新しい技術を単純に買い入れて技術開発する手法はオープンイノベーションとは呼べないということです。買い入れてしまえば、それはインハウスでの技術開発ですから、クローズドとなりますし、同様に製品の受発注も今あるものを活用しているに過ぎず、新たな価値を生み出す「オープンイノベーション」とは呼べません。

【起源・語源】ヘンリー・チェスブロウ氏が提唱

次に、オープンイノベーションの起源と語源についてさかのぼってみます。

はじめてオープンイノベーションという言葉を用いたのはハーバード・ビジネス・スクールやカリフォルニア大学バークレー校で教授を務めたヘンリー・チェスブロウ氏です。

チェスブロウ氏は2003年に著書「OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて (Harvard business school press)」でイノベーションはクローズドからオープンへ変化するべきであるとして、オープンイノベーションという概念を提唱しました。

1980年代以前までは、イノベーションは既存製品をアップデートして既存市場に対してインパクトを与えるスタイルが一般的でした。このイノベーションのスタイルを「リニアモデル」や「リニアイノベーション」などと呼びます。

大企業の研究所で新たな技術を発見し、その技術を基にして事業部で製品開発が行われるのがリニアイノベーションの流れです。このモデルは1980年代以前の欧米で主流となっていました。

しかし、1980年代以降、東アジアが技術を磨き欧米の競争相手として台頭したことで潮流が変わります。この流れを受けて欧米ではふたつの制度の転換が起こります。ひとつは知的財産権の保護強化、もうひとつが独占禁止法の緩和です。

制度の転換が功を奏して、欧米では企業が共同で技術開発を推進できる土壌ができたと言えるでしょう。

それ以降、社外リソースや知識を取り入れてイノベーションを起こすことがオープンイノベーションと呼ばれるようになります。

オープンイノベーションとクローズドイノベーションの違い



オープンイノベーションの反意語はクローズドイノベーションであると考えられますが、これは「自社のリソースで自社内に閉じた取り組み・開発によってイノベーションを起こす」という意味になります。自前でイノベーションを起こすことはこれまで日本企業が得意としてきた分野ですが、昨今の技術の発展やITツールの進化により、スピード・インパクト・工数などの点において、自前のリソースに限定し進めることが得策ではない場合も出てきていると言えるでしょう。

また、注意したいのは、新しい技術を単純に買い入れて技術開発する手法はオープンイノベーションとは呼べないということです。買い入れてしまえば、それはインハウスでの技術開発ですから、クローズドとなりますし、同様に製品の受発注も今あるものを活用しているに過ぎず、新たな価値を生み出す「オープンイノベーション」とは呼べません。

オープンイノベーションに間違われやすい言葉 


オープンイノベーションには間違われやすい言葉がいくつか存在します。よく間違われる言葉2つとの違いを理解することでオープンイノベーションの理解を深めましょう。

オープンイノベーションと共同研究


オープンイノベーションという言葉が「共同研究」と同じ意味で使われることもままあります。間違ってはいないのですが、厳密に言えば違います。

「共同研究」とは「共同で研究する」ことであり、中には予算の関係から止む無く共同で研究するケースや、そもそも違う目的を持つものの、ある一定の利害が一致し区切られた一定期間のみ共に研究するケースなども含みます。
確かに、オープンイノベーションを推進する過程で、ある目的に沿い自社の研究リソースとは別に外部の研究リソースを組み合わせ、双方向的に共同研究をするケースは多くあり、オープンイノベーションを実施するための数ある工程のなかのひとつではあります。しかしながら、同義ではないと言えるでしょう。

また、イノベーションは「技術革新」と訳されることが通説でしたが、「イノベーション=技術革新」という考え方は現在、少し古い訳し方だと言われています。

日本におけるイノベーションの起源をたどってみると、1958年の「経済白書」でイノベーションが「技術革新」と翻訳されていることがわかります。

現在では当時よりも理解が進んで、イノベーションは技術だけに限らず「革新」全般を表現する言葉として使われています。

オープンイノベーションと外注


オープンイノベーションは社外のリソースや知識をかけ合わせて新たな価値を創り出すことだと前述しました。また、注意したい点として「製品の受発注」も「オープンイノベーション」とは呼べないとお伝えしました。
しかし、その定義を、そのまま解釈すると「外注とどう違うのか?」と思うかもしれません。例えば、企業がホームページを作成する際にWEBの制作会社に開発を外注することがあるとします。確かに、制作会社はWEB制作を得意とするスペシャリストではあるのですが、この場合両者がイノベーション要素のある新しい価値を共に創造しているかと言えば、そうとは言えません。
ホームページを外注するケースでは、発注側の企業にはすでに「作りたいもの」のアウトプットは固まっているため、発注側と受注側は一方通行の関係になります。一方で、オープンイノベーションは企業同士が共同で知識を交換しあいながら価値創造をするもので高い「双方向性」があります。

言い換えれば、オープンイノベーションにおいては両社が対等であり、どちらかが上の主従関係にはならないということです。
オープンイノベーションにおいて金銭の授受が発生する場合、その金銭はいずれかの企業の「強み」として提供されたものであり、「発注」とは全く異なることを頭に留めておく必要があります。

オープンイノベーションが注目されはじめた理由


オープンイノベーションが盛んに行われている他の先進国に遅れながら、日本でも徐々にオープンイノベーションが注目され始めてきました。なぜ今、日本でオープンイノベーションが求められているのか、その要因について見ていきましょう。

短期化するプロダクトライフサイクルへの対応


1つ目の理由はプロダクトライフサイクルの短期化です。ビジネスにも人の人生と同じようなサイクルがあり、どんなに成功した事業もいずれは終わりを迎えます。企業は一つの事業を成功させて満足するのではなく、成功しているときにこそ次のビジネスを仕込んでおかなければなりません。

そして、ビジネスの寿命ともいえるこのプロダクトライフサイクルが、以前に比べて短期化してきました。人々は次々に現れる新しいサービスに目移りし、一つのサービスが収益を上げられる期間が短くなっているのです。

その現象により、企業は次々に新しい商品・サービスを生み出さなければならなくなりました。しかし、これまでのクローズド・イノベーションの考え方では、スピーディにサービスを生み出すことはできません。

そこで、より短期間で事業を生み出すために、オープンイノベーションに注目する企業が増えているのです。オープンイノベーションは他社のリソースを活用するため、事業に必要なリソースをゼロから自社で用意する必要がなく、それだけ事業立ち上げの期間を短期化できます。

また、既存のサービスにオープンイノベーションで新しい価値を付加できれば、それだけサービスを成長、延命することも可能です。新しい事業を作るにしても、既にある事業の価値を高めるにしても、オープンイノベーションは非常に重要な役割を担っているのです。

VUCAの時代への対応


オープンイノベーションが注目されるもう一つの理由が「VUCA」に対応するため。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたもので、つまり「予測が難しい時代」のことを指します。

インターネットやスマホの登場で私達の生活は加速度的に変化し、将来を予測するのがどんどん難しくなっています。かつては未来を予測して備えるのがビジネスの鉄則でしたが、予測が難しい現代では、下手な予測が自分の首を締めることにもなりかねません。
何年もかけて事業の準備をしても、予想がはずれれば全てが無駄になることもあるのです。そのような時代で大事なのは、10年後を予測して動くのではなく、少し先の未来を予想して、どんな事態になっても柔軟に動けるようにすること。

クローズド・イノベーションでは一つの事業を作るのに何年もかかりますが、オープンイノベーションなら状況に併せて柔軟に対応できます。時代に適した協業先を探して、短期的に事業を作っていく。それによって事業の成功確率は格段に上がるでしょう。
特に先を読めないコマース市場では、オープンイノベーションによって柔軟にビジネスを組み立てていく力が求められています。


オープンイノベーションのメリット・デメリット


これからの時代に必要になってくるオープンイノベーションですが、どのようなメリット・デメリットがあるのか把握していなければなりません。それぞれ見ていきましょう。


オープンイノベーションのメリット


まずはオープンイノベーションによって得られるメリットを紹介していきます。

①低コストで新規事業が始められる


オープンイノベーションにより新規事業におけるコストを抑えることができます。新しい事業を始めるには新技術の開発やマーケティングなど、様々な費用がかかります。
しかし、オープンイノベーションではそれらを既に持っている企業と組むため、コストを最小限に抑えられるのです。

②他社の技術を学べる


他社と一緒に事業を進めることで、自分たちにはない技術を学ぶことができます。テクノロジーなどの分かりやすい技術に限らず、営業の仕方や仕事の進め方など、他社から学べることはたくさんあるでしょう。
そのまま自社に適用できるとは限りませんが、学んだことを活かせばオープンイノベーションが終わった後も、自社のリソースとして大いに役立つはずです。

③事業スピードを促進出来る


他社のリソースを活用することで、事業立ち上げにおけるスピードを何倍にも上げられます。自社で用意するなら数年かかるような技術も、既に持っている他社と組めば一瞬で済むからです。
事業立ち上げのスピードが求められる現代において、一番のメリットと言えるでしょう。

オープンイノベーションのデメリット


様々なメリットが期待できるオープンイノベーションですが、もちろんデメリットもあります。予めデメリットを把握することで、対策を練りましょう。

①自社の技術の流出の恐れがある


他社と一緒に事業をするということは、技術が流出するリスクが付きまといます。もしも、その技術が競合優位性の要だった場合、事業の存続を左右することにもなりかねません。
盗まれたくないリスクがある場合には、事前に契約を交わして技術が流出されないように守りましょう。

②利益分配トラブルのリスクや利益率の低下


オープンイノベーションでスピーディに事業を立ち上げても、その収益を全て自社のものにできるわけではありません。大抵の場合は、利益をシェアすることになるので、自社で全てをするよりは利益が下がる可能性があります。できるだけコストを下げて、利益が下がっても利益率が低下しないように工夫しましょう。
また、事業が始まってから利益配分でトラブルが起きないよう、事前に契約を細かく決めておくことも重要です。とは言え、実際にビジネスを始めると予想外のことも起きるため、柔軟に契約を見直せる余裕も作っておきましょう。

オープンイノベーションで活用するリソース


一般的にオープンイノベーションではテクノロジーの組み合わせに注目が集まりがちですが、活用できるリソースは様々あります。どのようなリソースを、どのように活用できるのか見ていきましょう。

技術


最も分かりやすいリソースは技術です。特許をとっているような技術であれば、なおさら価値が高まります。特許をもっていなくとも、最新テクノロジーなどまだ多くの企業が持っていない技術であれば、多くの企業から引き合いがあるでしょう。

人材


人材も重要なリソースです。例えば大企業がもつ大量の人材は、スタートアップからすればとても魅力的に映るでしょう。人数が多ければ、それだけ営業活動などのインパクトも高まるからです。
また、人数だけでなく特殊なスキルを持っている人材も、魅力的なリソースになります。例えば、技術が人に起因しているものであれば、人材の価値は非常に高まります。

アイデア


目に見えないアイデアやノウハウも重要なリソースの一つです。例えば新規事業を作った経験のあるメンバーが少ない大企業では、スタートアップの新規事業立ち上げのアイディアを求めている場合があります。
アイディアだけでなく、専門領域におけるノウハウや知識も価値が高いです。新しい領域に参入する場合、その領域における知識は重要なリソースとなります。

その他


上記の他にも、抱えているユーザーやコネクションなども企業のリソースとなります。自分たちがアプローチしたいターゲットをユーザーとして抱えている企業と組めば、マーケティングをして集める手間とコストを省けます。
また、例えば専門家とのコネクションを持っている企業と組めば、一人ずつ専門家を集める必要もないでしょう。自分たちしか持っていないリソースであれば、どんなに小さくともリソースになり得るのです。

オープンイノベーションの成功事例


オープンイノベーションはアメリカで発祥・普及した概念ではありますが、近年では日本でも成功事例が出てきています。
オープンイノベーションはその性質上、ビジネスインパクトをもたらすには一定の年月が必要ですが、eiiconではそのシーズとなりうる多くの事例を取材し続けてきました。

オープンイノベーションにおける成功とは、これもまた定義が多く存在するものですが、オープンイノベーションを方法・手段だとして捉えた際その方法を用いて実現したい目的ごとに「成功」の定義があってよいと我々は考えています。

今回は、オープンイノベーションという手法が功を奏しているという点において成功と言える事例をいくつかご紹介します。
ソフトバンクグループでサブスクリプションサービス事業を展開するビューンと、パワーサラダ専門店「HIGH FIVE SALAD」を運営するハイファイブはeiiconを介して出会い、サラダのサブスクリプションサービス「Sub.」をローンチしています。

ビューン×ハイファイブの成功事例


ハイファイブのCEO水野裕嗣氏は、健康志向の人に対して、サラダのサブスクリプションサービスは相性良いと考えていましたが、自社で新規サービスを展開するのではなく、サブスクリプションを得意とするビューンとのコラボレーションを選びました。
その結果、Sub.のサービスローンチから1ヶ月で7ブランド22店舗でのサービス導入を成功させています。さらに、利用者のアクティブ率は高まり、解約率も低下するなど、好調なスタートを切っています。

関連記事:ビューン×ハイファイブサラダ | 店舗向けサブスクサービスを共創、トラディショナルな業界に風穴をあける

富士通×アジラの成功事例


富士通株式会社と、AIサービスとAIソリューションを展開するアジラはeiiconを介して出会い、高齢者の見守りサービスを共創しました。
アジラと富士通の共創は、技術マッチング<ビジョンの共感と言えるでしょう。
帰宅困難の課題を本気で解決したいという思いが、2社を結びつけました。
両者はこう語ります。

アジラ 木村氏:当社はAIの技術を持っており、この技術で高齢社会の課題を解決したいという思いを持っていました。
そうした思いをアクセラレータプログラムでプレゼンさせてもらったところ、黒瀬さんからお声がけいただいたのです。
富士通 黒瀬氏:私は帰宅困難の課題解決について3年ほど取り組んでいますが、なかなかビジネスとして成立させられませんでした。
しかし、今回アジラさんにビジョンを共感していただき、一緒にやりましょうという言葉をもらえた。これまで良いビジョンだ、と言われることは多々ありましたが、一緒にやりましょうと言ってくれたのは、アジラさんが初めてです。

コーセー×MDRの成功事例


研究開発技術とカウンセリングのノウハウを活かした高付加価値化粧品のブランドビジネスに強みを持つコーセーと、量子コンピュータ開発に強みを持つ株式会社MDRとの共創チームが提案した「きれいCAD構想(CAD;Computer−Aided Design)」は、現在プランの実用化に向けて邁進しています。
量子コンピュータとは非常に簡単に言うと量子力学的原理を用いた新しいコンピュータの概念で、この量子コンピュータ開発のプロフェッショナルと、コーセーのノウハウを掛け合わ去ることによって実現が見えているのは「思考の可視化」です。
コーセーの執行役員 研究所所長である林氏は「うまくいけば、現在のものづくりの体制をガラリと変えることになると思う。」と語っています。

オープンイノベーションを自社ではじめるには


オープンイノベーションの成功事例を見てきましたが、それを社内で再現するにはどうすればいいのか。ステップを踏んで見ていきましょう。

①目的の明確化


オープンイノベーションはあくまで手段でしかありません。まずはなんのためにオープンイノベーションを始めるのか、その目的を明確にしましょう。目的が変われば、この後のステップで考えるべきことも全く変わります。オープンイノベーションを進める上で壁にぶつかった時に立ち返る場所でもあるので、できるだけ明確に目的を考えましょう。

②参入領域の明確化


目的を明確化したら、今度は参入領域を明確にしていきます。オープンイノベーションでは新しい領域に参入することが多いため、どの領域に参入するのか予め目星をつけなければなりません。
どの領域に参入すべきかは、先に決めた目的に沿って考えます。目的を果たすために最も適した領域はどこか考えましょう。

③ターゲットの明確化


参入領域を決めたら、その中のどんな企業にアプローチするのか明確にしていきます。いきなり一社ずつ探すのではなく、どんな条件の企業と組むべきなのか条件を探していきます。
どんな技術を持っている企業なのか、どんなユーザーに対してサービスを提供している企業なのか。条件が曖昧だと候補先が多すぎて絞り込めませんし、条件が厳しすぎると候補がいなくなることもあります。何度か試してみながら、適切な粒度の条件を決めましょう。

④共創候補との面談


先に決めたターゲットの条件にマッチする企業を探したら、面談を申し込みます。この最初の面談での目標は、お互いを理解しあうこと。相手を理解することも重要ですが、同じくらい自分たちを理解してもらうことも重要です。
お互いにどのような目的をもってオープンイノベーションに取り組んでいるのか、どのような課題を抱え、どのようなリソースを持っているのか。それらの情報をもとに本当にいいオープンイノベーションを実現できるのか検討していきます。

⑥共創候補との商談


共創するイメージが具体的に決まったら、本格的に商談を進めていきます。お互いにどのようなリソースを持ち寄り、どのようなプロジェクトを進めていくのか具体的に詰めていきます。
重要なのはお互いの役割を明確にして、Win-Winな関係を築くこと。一方だけが得をするような関係ではオープンイノベーションはうまくいかないでしょう。お互いに気兼ねなく意見を主張できるような関係を築けるように意識してください。

オープンイノベーションの注意点と社内理解


①トップ層の理解/コミットメント


オープンイノベーションを成功させるために最も重要なのが、トップ層の理解とコミットメントです。経営層がオープンイノベーションの重要性を理解していないと、プロジェクトはスムーズに進みません。
まずは会社のトップにオープンイノベーションがなぜ必要なのか理解してもらい、コミットしてもらえるかが成功のカギとなります。

②ミドル層に全社の巻き込み


実際にオープンイノベーションが進んでいくと、重要な役割を担うのがコーディネーター役のミドル層になります。全社に幅広いコネクションを持っている中堅社員が、全社を巻き込めるかがオープンイノベーションを失敗させない上で重要になっていきます。
巻き込み力が弱いと、担当者ばかりがコミットして、実際に共創相手と一緒に動く現場社員の不満ばかりが大きくなることも。オープンイノベーションの重要性を説いて、全社に協力してもらえるような体制を整えましょう。

③現場でのイノベーション人材


オープンイノベーションで共創先と一緒に動くのは現場の社員です。その現場の社員にイノベーションマインドがなければ、いくら他社と組んでもプロジェクトはうまく進んでいかないでしょう。
オープンイノベーションでは前例のないことにチャレンジすることも多く、いちいち過度にリスクに反応していては、うまくいくプロジェクトもうまくいきません。オープンイノベーションを始める前に、まずは社員にイノベーションの研修を受けさせるなどの対策が必要です。

オープンイノベーションは戦略のための手段


オープンイノベーションはブームになりつつありますが、あくまでも企業の成長戦略における手段のひとつです。
インターネットやSNSがブームになった際にも、目的が不明確なままで取り入れようとする企業が散見されました。もちろん、インターネットやSNSを導入したからといって企業が成長するわけではありません。
オープンイノベーションにも同じことが言えます。「目的と手段の取り違え」を起こさないためにも、オープンイノベーションという方法を導入するか否かを検討する際には「実現したいこと」・ミッションを見つめ直したうえで、戦略上オープンイノベーションが必要かどうかを判断するべきです。

これまで、大企業の新規事業担当者やスタートアップ経営者にとって、オープンイノベーションを実践するためには社外にパートナーを探すことができるような広い人脈が必要とされてきました。ブレイクスルーのアイデアがあったとしても、それを実現できるパートナーと繋がることができなければプロダクトは誕生しません。
ですが、IT・インターネットの発達によって人と人、企業と企業が出会うことは容易になってきています。手前味噌になりますが、まさにeiiconが提供するのはオープンイノベーションの民主化です。企業の成長のための「次の一手」を模索しているならば、eiiconで未来のオープンイノベーションパートナーを探してみてはどうでしょうか。

オープンイノベーションプラットフォームAUBA


オープンイノベーションを実現する上で、最も課題となるのは共創候補の探索です。目的やターゲットの明確は社内だけでも行なえますが、いざ共創候補を探すとなると、自分たちだけではなかなか進みません。闇雲に候補にアプローチしても、商談まで進まずに時間を無駄にすることになります。
そのような事態を避けるためにも活用してもらいたいのがオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」です。オープンイノベーションに特化したサービスとなっているので、登録しているのは全てオープンイノベーションへの意向がある企業ばかり。


新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

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