オープンイノベーションに積極的な大企業ランキング発表ーー1位の座に輝いた企業は?
アクセラレータープログラムの開催やCVC設立によって、オープンイノベーションに取り組む大企業は近年、増加している。その多くが、「大企業×スタートアップ」という座組みによる共創だ。しかし、大企業とスタートアップは、意思決定のスピード感もカルチャーも大きく異なる。このギャップをいかにして克服し、企業規模にこだわらない「対等な関係性」を構築することがオープンイノベーションの成否のカギを握ることになる。
こうした中で、昨年から開催され、大きな注目を集めているのが「イノベーティブ大企業ランキング」だ。これは、イノベーションリーダーサミット(ILS)実行委員会と経済産業省が共同で実施しているアンケート調査(※)で、スタートアップとの連携を通じたオープンイノベーションに積極的な大企業の人気ランキングとなっている。
2018年版のランキングでは、1位:KDDI、2位:トヨタ、3位:ソフトバンクという結果になった。果たして、2019年版のランキングはどのような結果になったのか?――以下に見ていきたい。
※日米のベンチャーキャピタリストなど107名によって選出された有望スタートアップ企業約1,000社を対象としたアンケート調査(2018年版ランキングのアンケート対象のスタートアップ企業は481社)
■2018年に引き続き、1位の座は「KDDI」に。
6月に発表となった「イノベーティブ大企業ランキング2019」の総合上位30位は以下の通りだ。
昨年に続き、スタートアップ投資に積極的なKDDI、ソフトバンク、トヨタがトップ3を維持している。特にKDDIは、インキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」やCVCである「KDDI Open Innovation Fund」を通じて、長年スタートアップの支援を手がけてきたことが、2年連続1位に輝いた要因だと考えられる。
また、パナソニック、JR東日本、デンソーが、昨年から順位を上げて、新たに10圏内にランクインしている。特にJR東日本は36位から7位へと大きく飛躍している。これは、同社が「JR東日本スタートアッププログラム」を開催し、数々のスタートアップとの共創を実現したことが影響しているはずだ。
■業界別ランキングでは、専門領域に強みを持った大企業が上位に。
そして次に見ていきたいのが、スタートアップ業界別のランキングだ。(全20業界のうち、主要6業界を抜粋)
業界別では、三井化学や富士フイルム、三菱UFJ銀行や関西電力などが、専門領域で存在感を示す結果になっている。各社が専門領域で確固たる技術や知見を有しており、それらを柔軟に活用しながらスタートアップとの共創を進めていることが見て取れるランキングとなっている。
なお、イノベーティブ大企業ランキング100位までの企業名や、スタートアップ全業界別ランキング(全20業界)の詳細は、ILS公式サイトから資料請求し入手可能だ。2020年版のランキングでは、どの大企業がスタートアップから支持を集めるのかーー。引き続き、注目していきたい。
■「イノベーティブ大企業ランキング2019」 調査概要
Ⅰ.調査対象 : 過去3年間に開催されたILS(2016-2018)において、国内外の主力VC(ベンチャーキャピタル)等、約100機関で構成されるILSアドバイザリーボードの推薦を受けて、ILSのメインイベントである大企業とスタートアップの新事業協業マッチングプログラム「パワーマッチング」に参加した国内有望スタートアップ全998社の経営者
Ⅱ.調査方法 : インターネット調査(ILS専用サイト上の入力フォームによる回収)
Ⅲ.調査期間 : 2019年5月15日~2019年5月31日
Ⅳ.有効回答 : 483社(回答率48%)
Ⅴ.調査主体 : イノベーションリーダーズサミット運営事務局、経済産業省
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(eiicon編集部)