『煙のない未来』を加速させる、次世代のストア体験を――フィリップ モリス ジャパンの共創プログラム始動!3つのプログラムテーマを深掘りする
「煙のない社会」の実現を掲げ、加熱式たばこ市場を牽引するフィリップ モリス ジャパン合同会社(PMJ)は、主力製品「IQOS(アイコス)」で日本国内の圧倒的なシェアを有している。しかし、同社は現状に満足していない。次に目を向けているのは顧客体験の進化。五感を満たす上質で洗練された時間を過ごす――「Luxury Tech」の実装を目指している。
こうした中、共創プログラム『IQOS STORE Open Innovation Challenge』が始動した。舞台となるのは、銀座や心斎橋などで展開するフラッグシップストア。募集テーマは以下の3つだ。
【募集テーマ】
●テーマ01:感動をデザインする。次世代のフラッグシップ体験
●テーマ02:ブランドと顧客を繋ぐデジタル接点の開発
●テーマ03:おもてなしに集中できる環境を。先進技術による店舗オペレーション革命
今回、プログラムをリードするフィリップ モリス ジャパンの町田勇次氏にインタビューを実施。オープンイノベーションに取り組む背景から「次世代型ストア」の未来像、募集テーマの詳細、パートナー企業への期待などについて語っていただいた。
フラッグシップストアを、五感を刺激するブランド体験の場へ
――まず、御社のビジョンと、日本市場での立ち位置についてお聞かせください。
町田氏 : フィリップ モリス ジャパン(以下、PMJ)は、「煙のない社会」を企業ビジョンとして掲げています。私たちは、喫煙者にとって最善の選択は禁煙することだと考えていますが、喫煙を続ける意思のある方に対しては、従来の紙巻たばこよりもリスクを低減できる選択肢として、科学的根拠に基づいて開発された加熱式たばこへの切り替えを推奨しています。
グローバルで事業を展開するフィリップ モリス インターナショナル(以下、PMI)で、日本は最も重要なマーケットの1つであると位置付けられています。当社の調査では既に日本の喫煙者の6割以上が紙巻たばこから加熱式たばこへ移行しており、これは世界的に見ても極めて先進的です。おかげさまで当社商品は、日本の加熱式たばこ市場におけるパイオニアとして、圧倒的なシェアを有しています。しかし、だからと言って、当社の挑戦が終わったわけではありません。今、注力しているのは良質なブランド体験を提供することです。
▲フィリップ モリス ジャパン合同会社 コマーシャル オペレーションズ ブランド リテール マネジャー 町田 勇次氏
――体験の提供に重きを置くのは、なぜですか。
町田氏 : デバイスの進化が大きな転換点となりました。以前のモデルでは、定期的なクリーニングやメンテナンスが必要で、フラッグシップストアのスタッフの業務もデバイスの説明やアフターケアなどの機能的サポートに多くの時間を割いていました。
しかし、加熱方法を改良し、最新機能を搭載したデバイスの登場により、デバイスの信頼性が飛躍的に向上し、故障などのトラブル対応が劇的に減少しました。この結果、フラッグシップストアのスタッフのリソースを、接客に注力できる環境が整ったのです。フラッグシップストアは今「ブランドの世界観を五感で楽しんでもらう場所」へと役割を変えています。
――詳しく教えてください。
町田氏 : 接客のフローを「デバイスファースト」から「フレーバーファースト」へと刷新しました。現在は30種類以上の銘柄を展開しており、フレーバーマップやVR体験などを使ってお客様一人ひとりの好みやライフスタイルに合うフレーバーへお導きするサポートに重点を置いています。
フラッグシップストアが重視する提供価値は3つあります。1つ目は、購入の有無に関わらず利用できる「くつろげる場所」。2つ目は、会員様向けに無料でドリンクを提供する「カフェスペース」。3つ目が、デバイス購入時に刻印サービスとセット購入された方への、刻印サービスです。特にカフェでは、フレーバーにインスパイアされたオリジナルドリンクを提供する「マリアージュ」体験にご好評をいただいています。
▲銀座店の2階には、Signature Caféを設置。プレミアムな空間で、会員限定の特製ドリンクが味わえる。
▲Signature Caféにはラウンジも併設されており、ドリンクを飲みながらリラックスした時間を過ごすことができる。
フラッグシップストアで体感した「スタートアップ共創」の可能性
――フラッグシップストアでの体験価値を高める手段として、オープンイノベーションプログラムを選んだ理由をお聞かせいただければと思います。
町田氏 : お客様の期待が「製品」から「体験」へとシフトする中で、私たち自身も発想の転換を迫られています。これまでは自社リソースを中心にマーケティングを展開してきましたが、自分たちだけで考え得るアイデアには、どうしても限界があります。
特にたばこ業界は、マス広告などで直接的な宣伝に頼ることが難しい環境です。だからこそ、店舗やデジタルの接点を通じて、いかにお客様の心を動かす深い体験を提供できるかが勝負になります。その突破口を開くには、自社に閉じこもらずに共創をする、すなわち外部の新しい視点や技術が必要だと判断しました。
オープンイノベーションの優位性を確信したのは、2025年5月〜9月に大阪・道頓堀で開催したポップアップストア「IQOS Lounge Osaka」です。スタートアップとの協業で、ARを活用したデジタルスタンプラリーを実施しました。実際に開催してみると、その成果は驚くべきものでした。なんと9割以上のお客様が体験に参加してくださったのです。ARで浮かび上がる演出や、スタンプを集めた後に提供される特典が、お客様の心を掴んだのだと推察されます。
この経験は、大きな衝撃であり学びとなりました。スタートアップの持つ尖った技術やスピード感、常識にとらわれないクリエイティビティがあれば、お客様を熱狂させる「新しいスタンダード」は作れるのだと証明されたからです。
――その成功体験が、今回のプログラムへとつながっているわけですね。
町田氏 : はい。オープンイノベーションを単発のキャンペーンで終わらせず、本格的なプログラムとして展開すれば、これまでにない価値の創出につながっていくのではないでしょうか。パートナーの皆様の力を借りて、これまでの常識を覆すような体験を一緒に作り上げていきたい。それが、本プログラムを立ち上げた最大の動機です。
募集テーマ01:感動をデザインする。次世代のフラッグシップ体験
――ここから、今回募集する3つのテーマについてお聞きしたいと思います。1つ目のテーマは「感動をデザインする。次世代のフラッグシップ体験」を掲げています。どのような狙いがあるのでしょうか。
町田氏 : 私たちが目指しているのは、製品選びそのものをエンターテインメントに昇華させることです。フレーバーの豊富なラインナップはブランドの大きな魅力となる一方で、言葉や文字の説明だけでは自分に合う一本を見つけるのが容易ではありません。
このため、直感的にこれが好きだと感じられる、感動と驚きのある体験を作りたいと考えました。中でも、嗅覚、視覚、触覚への訴求を重視しています。そこに辿り着くまでのプロセスを、五感を刺激する特別な体験にしたいのです。
――具体的にはどのような技術やアイデアを求めているのでしょうか。
町田氏 : 例えば、バイオメトリクス技術を活用したアプローチなどが考えられます。お客様のその時の表情や脈拍などの生体反応から気分を解析して、最適な香りを提案するような仕組みです。あるいは、プロジェクションマッピングや空間演出技術を用いて、フレーバーの世界観に没入してもらうことも一つの手でしょう。
単なる診断ツールであれば既存の技術で十分ですが、私たちが求めているのは先進技術を用いながらも冷たさを感じさせない、上質な体験です。お客様が楽しみながら、自然と自分に合う製品に出会える。記憶に残るアクティベーションを創出できるパートナー企業と出会いたいと考えています。
募集テーマ02:ブランドと顧客を繋ぐデジタル接点の開発
――2つ目のテーマ「ブランドと顧客を繋ぐデジタル接点の開発」についてはいかがでしょうか。
町田氏 : 先ほどもお伝えした通り、たばこ業界ならではの構造的な課題があります。自社製品は20歳以上の喫煙者の方に向けた製品です。既存のユーザー様であれば、会員システムを通じて直接コミュニケーションを取ることができますが、まだPMIの加熱式たばこ製品をご存じない方や、関心はあるものの会員登録に至っていない方々に対して、情報を届ける手段が必ずしも多いとは言えません。この状況下でいかにしてお客様との接点を作るか。お客様が自ら足を運びたいと感じ、楽しみながら店舗との距離を縮められる新しい手法を模索しています。
――具体的にはどのようなソリューションの共創をイメージされているでしょうか。
町田氏 : 期待しているのは、ゲーミフィケーションやUGCを活用したアプローチです。例えば、ゲーム感覚でミッションをクリアしながらブランドの世界観に触れられるミニアプリや、熱量の高いファンが発信する情報をきっかけに未認知層の興味を喚起する仕組みなどが考えられます。
その上で、実際の店舗への来店を促すO2O(Online to Offline)の流れを作ることが理想です。デジタルの楽しさがリアルへとつながり、エンゲージメントが高まる。そうした循環を生み出せるアイデアを持つ企業と共創したいです。
募集テーマ03:おもてなしに集中できる環境を。先進技術による店舗オペレーション革命
――3つ目のテーマ「おもてなしに集中できる環境を。先進技術による店舗オペレーション革命」について教えてください。
町田氏 : これは、店舗の現場が抱える切実な課題に直結するテーマです。インバウンドも含め来店客数は増加傾向にあります。しかし、それに伴いスタッフの業務負荷が高まっているのも事実です。
フラッグシップストアでは、ドリンクの配膳や在庫管理、施設案内など、多岐にわたる業務が発生します。このため、オペレーション業務に追われ、私たちが最も大切にしたい「人にしかできない接客」、つまりお客様一人ひとりに寄り添う深いコミュニケーションに割ける時間が削がれています。この状況を打破するためテクノロジーの力で付帯業務を効率化し、スタッフが接客というコア業務に集中できる環境を整えたいのです。
――どのようなソリューションを共創していきたいですか。
町田氏 : あくまで「プレミアムな体験」を損なわない効率化を求めています。例えば、ブランドの世界観に馴染むデザインの配膳ロボットや、多言語対応が可能なAIアバターのコンシェルジュなどが挙げられます。簡単な案内はAIに任せ、より深い相談はスタッフが対応するなどの役割分担を思い描いています。
また、バックヤード業務の自動化も重要な領域です。画像認識技術で在庫を瞬時に把握するなど、裏側の作業時間を極小化できれば、その分スタッフはフロアでお客様と向き合うことができます。店舗DXやロボティクスに強みを持つ企業の知見を借りて、おもてなしの質をさらに高めていきたいと考えています。
▲フラッグシップストアの接客スペース。お客様一人ひとりに寄り添いながら深いコミュニケーションができるよう、店舗オペレーションを改革するソリューションを共創したい。
フラッグシップストアを開放。成功はグローバル展開へのパスポートになる
――今回のプログラムで、パートナー企業に提供できるリソースやメリットは何になるでしょうか。
町田氏 : もっとも大きなリソースは、ブランドの世界観を体現するフラッグシップストアです。実証フィールドとして開放します。銀座や心斎橋などに構える店舗は、単なる製品販売の場ではありません。プレミアムな空間で、実際の顧客反応をダイレクトに検証できる環境です。リアルなフィールドでフィードバックを得られるので、ソリューションの質を随時、高めていくことが可能です。
――フィールドの提供以外に、実証実験を支える仕組みはあるでしょうか。
町田氏 : はい。必要なリソースを柔軟に投入できる体制を用意します。当社の専門チームが企画から実装まで伴走します。あわせて、仮説検証の精度を高めるためのデータ提供も行います。具体的には、店舗での販売データやデモグラフィック情報など、実証に活用可能な各種データです。客観的な数値に基づく分析を行うことで、より効果的なソリューション開発につなげられます。
また、ストアでの成功事例は、国内の他チャネルへとつなげていけます。加えて、PMIのネットワークを通じ、グローバル展開への道も開かれています。日本市場はPMIでも重要な位置を占めており、モデルが確立されれば世界中から注目されるでしょう。日本発のイノベーションが世界へ波及していく。ここでの共創は、世界市場への足掛かりになり得ると考えています。
――最後に、応募を検討している企業へメッセージをお願いします。
町田氏 : 私たちが目指すゴールは、単なる店舗の改善や効率化ではありません。「ブランド体験の新しいスタンダード」を共に創り上げることです。
今回掲げたコンセプト「Luxury Tech」には、お客様の五感を満たす上質で洗練された体験を提供したいという思いを込めました。デジタルでシームレスな接点を築きつつ、五感に響く演出と、人にしかできない「おもてなし」を融合させる。お客様にとって唯一無二の価値を提供するフラッグシップストアを実現したいのです。私たちの思いに少しでも共感いただければ、ぜひご応募ください。私たちと共に、「煙のない社会」の実現を加速させましょう。
取材後記
インタビューを通じて強く印象に残ったのは、PMJが目指す「変革」の本気度だ。町田氏は、フラッグシップストアをブランドの世界観を五感で味わう「体験の場」へと進化させようとしている。AIやロボティクス、空間演出などの先端技術が、フラッグシップストアのプレミアムな空間と融合した時、どのような化学反応が生まれるだろう。プログラムの舞台となる日本は、PMIにとって最重要マーケットの一つ。ここでの成功モデルは、グローバルネットワークを通じて世界へ展開される可能性を秘めている。日本のスタートアップや企業の技術が、銀座から世界へと羽ばたくパスポートになるかもしれない。
※『IQOS STORE Open Innovation Challenge』の詳細はこちらをご確認ください。(エントリー締切:2026年2月27日)
(編集:眞田幸剛、文:中谷藤士、撮影:佐々木雅智)