天地人、カンボジアで人工衛星データを活用した漏水リスク診断の実証実験を完了
株式会社天地人は2月10日、株式会社北九州ウォーターサービスからの委託を受け、独立行政法人国際協力機構(JICA)が進めるカンボジアでの上水道拡張に向けた準備調査の一環として実施していた、人工衛星データを活用した漏水リスク診断の実証実験を完了したと発表した。対象はプノンペン水道公社が管轄する給水区域で、宇宙から得られるデータと現地の管路情報を掛け合わせることで、水道管理の高度化とDXの実現可能性を検証した。
衛星データ×AIで都市水道のリスクを可視化
今回の取り組みは、JICAによる「ニロート上水道拡張事業準備調査」におけるDX導入検討に資するもの。2023年9月から12月にかけて行われた。
天地人は、人工衛星画像や地表面温度、土地利用、人口密度といったオープンデータと、KWSが保有する水道管路図面や漏水修繕履歴を統合。これらを独自のAIで解析し、将来的に漏水が発生する可能性が高いエリアを抽出した。
広域のインフラに対し、地上からの目視や巡回に頼るのではなく、宇宙から俯瞰的に状態を把握するアプローチは、維持管理の効率化や予防保全への転換に寄与するものとして期待されている。
約100mメッシュで5段階評価
実証では、プノンペン都とその周辺地域の水道管路を対象に、約100メートル四方のメッシュ単位で漏水リスクを5段階評価。
その結果、リスクが高い地域と低い地域の分布が明確化され、優先的に対処すべきエリアの特定につながった。
また、リスクに影響を及ぼす要因として、管路の長さや布設年、口径といった設備条件に加え、土地利用や人口密度、地表面温度などの環境要素が関係している可能性も示唆された。衛星データと既存台帳を組み合わせることで、従来は見えにくかった劣化の兆候を統計的に捉えられる点が特徴だ。
データ整備状況とDX導入の現実性を確認
調査の過程では、現地で取得可能な衛星・環境データの状況や、漏水修繕履歴の蓄積度合いも検証された。
その結果、プノンペン都においてはリスク評価を行うためのデータが十分に揃っており、特に修繕履歴は分析に耐え得る量と質を備えていることが確認されたという。
さらに、GISを基盤とした漏水リスク管理サービスの導入可能性についても具体的な検討が進み、PPWSAが将来的に運用主体となることを見据えたデジタル技術の適用イメージが描かれた。
ODA領域での展開にも手応え
今回の成果は、開発途上国における水インフラ分野でも、衛星データとAIを用いたリスク評価が実装可能であることを示した点に意義がある。
JICAや開発コンサルタントらの協力のもと、管路データや修繕情報へのアクセスを確保できれば、同様のモデルを他国へ横展開できることが証明された形だ。
天地人は、宇宙技術を社会課題解決に生かす取り組みを進めており、水道分野においては「宇宙水道局」として国内外での実装を推進している。今回得られた知見は、将来的な国際展開を後押しする重要なステップとなりそうだ。
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(TOMORUBA編集部)