高速道路やSA・PAが実証フィールドで費用サポートもあり!第3期を迎えるNEXCO東日本の共創プログラムの中身に迫る
関東以北を広くカバーするエリアで、高速道路を建設・維持・管理する東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)。同社は2021年に新組織「ドラぷらイノベーションラボ」を立ち上げ、アクセラレータープログラム「E-NEXCO OPEN INNOVATION PROGRAM」をスタートさせた。2021年度、2022年度と過去2回プログラムを開催しており、2023年8月から「E-NEXCO OPEN INNOVATION PROGRAM2023」が始動。下記の4つのテーマを提示し、パートナー企業を募っている(早期応募締切9/6、最終応募締切10/2)。
・募集テーマ① 次世代に向けた高速道路事業のアップデート
・募集テーマ② サービスエリア・パーキングエリアの価値向上
・募集テーマ③ 各種アセットを起点とした、地域連携強化や新事業創出
・募集テーマ④ サステナブルな社会への貢献・事業運営
本プログラム最大の特徴は、NEXCO東日本の持つ莫大なアセットとリソースを活用できる点だろう。総距離3,943kmにもおよぶ高速道路はもとより、328箇所のサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)、1日291万台の走行車両データなど、同社しか持ち得ない場所やデータを、共創プロジェクトに活用することができる。
過去のプログラムからは、ドローンを用いた長距離配送や超撥水材コート剤を用いた標識等の雪庇対策ソリューションなど、多彩な共創事例が生まれつつあるという。第3期のプログラム開始にあたり、あらためて本プログラムの特徴や焦点をあてたいテーマ、提供できるアセットについて、事務局を担う「ドラぷらイノベーションラボ」のメンバー7名に話をうかがった。
「道路事業」と「関連事業」の両輪体制を構築、出資スキームも新設
――まず、本プログラムを実施する背景からお伺いしたいです。御社の事業の現状やオープンイノベーションに取り組む理由についてお聞かせください。
上田氏: 当社は2005年に民営化されて誕生した会社です。高速道路建設に要したコストを着実に返すこと、民間の力を取り入れて新しい事業に取り組むことの2点を掲げ再出発しました。民営化からすでに18年近く経ち、われわれも新たな問題を抱えるようになってきました。代表的な課題が道路の老朽化です。また、時代に即した形での「安全・安心・快適・便利」も追求していかねばなりませんし、GXやカーボンニュートラルへの対応といった新しい課題にも着手していくことが求められています。
こうした課題に対して、これまで接点の少なかったスタートアップの皆さんの力も借りて、共創しながら新しいものを創出することを目指し、2021年に立ち上げた組織が「ドラぷらイノベーションラボ(ドラぷら)」です。本組織でアクセラレータープログラムも実施しており今年度で3期目。昨年度よりさらにバージョンアップし、共創に取り組んでいきたいと考えています。
▲東日本高速道路株式会社 技術本部 事業創造部 事業創造課 部長 上田 功氏
――昨年度と比較して、プログラムをどうバージョンアップされたのですか。
市川氏: 大きくわけて2点あります。1点目の変化は、「新事業推進部」と「事業創造部」の両輪体制になったこと。というのも昨年8月より、私たち「新事業推進部」が立ちあげた「ドラぷらイノベーションラボ」に、「事業創造部」が参画することになりました。
私たち「新事業推進部」は、道路事業の周辺で新事業の創出を目指すチーム。一方、「事業創造部」は高速道路事業の根幹で新しい技術創造を担うチームです。この2つが両輪の体制になったことで、さまざまな応募に対して的確に応えやすくなりました。また、社内全体の会議体や手順なども整えてきたので、より着実に共創を開始できるようになったと思います。
2点目の大きな変化が、出資についてです。今年度より小規模なトライアルとして出資を試みるスキームが整いました。出資対象は、本プログラムの実証実験を経た卒業生の中から選びます。逆に言うと、実証実験を経なければ出資も行わない仕組みですので、ぜひNEXCO東日本からの出資に興味がある方々にも、このプログラムを上手く活用してほしいです。
▲東日本高速道路株式会社 サービスエリア・新事業本部 新事業推進部 ドラぷらイノベーションラボ推進チーム 代表 市川 敦史氏
――1期目・2期目を経て、社外連携の解像度が高まってきたという実感はありますか。
市川氏: そうですね。過去の2年間で書類審査は176社、面談は100社以上、そのなかから合計15社の皆さまと実証実験を行いました。こうした経験からスタートアップの皆さまに対する理解が深まりましたし、同時に何を実施するにしても、当社として譲れない部分があることも明確になりました。
たとえば、安心・安全に関わることやお客さまに関わることは、しっかりと手順を踏んで進める、リハーサルを行ってから実行するなどです。それは、社会に大きな影響を及ぼすインフラ分野、あるいは公共性のある企業ではやはり省略できないことだと再認識しましたね。
――上田さんは1年前に、現在の部署に異動してこられたそうですが、上田さんから見て御社が本プログラムに取り組む意義は、どのような点にあるとお考えですか。
上田氏: 私たちは新しい事業の創出や新しい技術の開発に向けて日々取り組んでいます。自分たちで調査を行ったり、論文を読んだり、学会に参加したりと、さまざまな方法でアプローチしていますが、すべてを網羅することはできません。本プログラムは、自分たちでは手の行き届かない部分をカバーしてくれるものだと捉えています。
とくにスタートアップの皆さんは、私たちが思いもつかないようなアイデアや技術をお持ちです。新しい発想に触れることができ一緒に共創に取り組める点が、このプログラムの最大のメリットでしょう。当社のニーズと、スタートアップの技術やアイデアをマッチさせる機会があることは、非常によいことだと思います。
――市川さんはいかがでしょうか。
市川氏: 外部の方、特に高速道路事業に関心がなかったスタートアップの方々からご提案いただくことで、視野が広がる実感があります。一度原点に返って、色々な取り組みを見直すよいチャンスにもなっていますね。多種多様な提案をいただける本プログラムは、当社にとっても大変貴重な機会だと感じています。
「中山間部への長距離ドローン配送」「超撥水コート剤を用いた標識等の雪庇対策」など形になりつつある事例
――続いて、昨年度のプログラムから生まれた共創プロジェクトについてお聞かせください。
長谷川氏: 私からはイバラキエアポートエンタープライズさんと取り組んでいる、水素燃料電池ドローンによる長距離配送についてご紹介します。当社は高速道路の効果を最大限発揮することで、地域社会の発展につなげていきたいとの経営理念を持っています。
そうしたなかで、今回の長距離飛行が可能なドローンに強い興味を持ちました。なぜなら、今まで接点の少なかった地域に対して、高速道路からドローンを使って物資を届けられる可能性があるからです。これは当社の理念とも合致します。色々な観点で今後、期待できるのではないかと考えております。
▲東日本高速道路株式会社 サービスエリア・新事業本部 新事業推進部 ドラぷらイノベーションラボ推進チーム サブリーダー 長谷川 弘幸氏
――具体的にどのような実証実験を予定されているのでしょうか。
長谷川氏: 常磐自動車道の中郷サービスエリア(茨城県北茨城市)から、中山間地域にある高萩市内の廃校に、ドローンを使って物資を配送する実証実験を秋頃に実施する計画です。距離にして片道11km程度。その廃校は今、高萩市の指定避難所になっているので、災害時に生活支援物資を届けることも想定しています。往路は中郷サービスエリアで販売されている商品の中から被災時に役立つものなどを運び、復路は逆に高萩市内の特産物などを運びます。
最大7kgまで積載できるドローンですが、今回は5kg程度のものを運ぶ予定です。国内ではまだ実績のない距離ですし、高速道路から山間部へと飛び立つ実証実験も国内初。注目を集める事例になるのではと期待しています。
▲イバラキエアポートエンタープライズが保有する水素燃料電池ドローン。実証実験は秋頃に実施される予定だ。
――実証実験後の展開は、どのようにお考えですか。
長谷川氏: 今回の取り組みは、中山間地域の過疎地に対して物資を配送するというものですが、採算面では難しいという懸念はあります。ですから配送事業として、どのようなビジネスモデルにするのかは、これから検討が必要になってくるでしょう。一方で、長距離飛行という特徴を活かせば、本業でもある高速道路事業の点検などに活用できる可能性もあります。そうした点も視野に入れて、活用方法を検討していく考えです。
――梅澤さんからも、進行中の共創プロジェクトについてお聞きしたいです。
梅澤氏: 私からは小畑産業株式会社さんと取り組んでいる、超撥水コート剤を用いた標識等の雪庇(せっぴ)対策についてご紹介します。前提として、本プログラムでは9月初旬に早期応募締切、10月初旬に最終応募締切を設けています。小畑産業さんについては、早期応募締切までにご応募いただき、面談を行いました。
面談の際、「いただいた提案だけでは、当社の課題に対して少し足りない部分があるので、こういった要素を加えてみてはどうでしょうか」というお話をさせていただきました。それをもとに、改善した提案を10月の最終応募締切までにご提出いただき、その結果、採択されることになったという事例です。
――具体的に御社との面談の前後で、どのように提案の中身が変わったのでしょうか。
梅澤氏: もともと道路標識の雪を落とすために小畑産業さんの超撥水コート剤を活用するという提案でした。しかし、当社で過去に同様の撥水コート剤を使って試したことがあったのですが、思うように雪を落とせなかったのです。
ですから面談の際に、「プラスアルファの要素を加えてはどうでしょうか」という提案をしました。
▲東日本高速道路株式会社 技術本部 事業創造部 事業創造課 課長代理 梅澤 元樹 氏
――そのブラッシュアップされた提案で採択され、具体的にどのような実証実験を予定されていますか。その後の展望も含めてお伺いしたいです。
梅澤氏: 今まさに、実証実験の準備を進めているところですが、今年の8月から9月にかけて、人工降雪試験場を使わせていただき、実際の着雪状況を確認する予定です。まずは、雪が落ちるのか落ちないのかを検証し、うまく落とすことができれば、次のステップに進めていきたいと考えています。
高速道路やSA・PAのアップデートなど、アセットを活かした多様なアイデアに期待
――次に今年度のプログラムの募集テーマについてお聞きします。募集テーマ①「次世代に向けた高速道路事業のアップデート」を設定した背景は?
上田氏: 自動車の高速な移動空間であるという高速道路の役割は変わりませんが、走る車のほうは変化し続けています。とくに今、自動車メーカーの注力している領域が「自動運転」。高速道路は一般道路と比較して、歩行者はいませんし信号がないため、自動運転の試行に適した環境です。
したがって、一般道路より先に自動運転の普及が進むのが高速道路でしょう。そうなった場合、従来のままでは十分ではないという認識があります。私たちは高速道路サービスを提供する会社として、どのような取り組みを行っていくべきか、そうした問題意識を持っています。
当社の高速道路事業について簡単にご紹介すると、高速道路を建設して、清掃やパトロール、メンテナンスといった維持・管理を行い、料金を頂戴するというビジネスモデルです。それぞれの部分で、どう提供価値をアップデートしていくべきなのか。「安全・安心・快適・便利」を追求するという点では不変ですが、変えていく必要はあると思っています。どうバージョンアップするべきなのかを、スタートアップの皆さんと一緒に考えていきたいというのが、本テーマの背景にある想いです。
――どのような共創イメージをお持ちですか。いくつか例をお伺いできればと思います。
上田氏: たとえば、高速道路は多様な方がご利用されます。インバウンドの方や障がい者の方なども当然、利用されるわけですが、すべてのお客さまが等しく「安全・安心・快適・便利」を実感してもらえるようなソリューションや技術があればいいのではないかと思っています。
また、サービスを提供する私たちにもアップデートが必要です。現在、人手不足が深刻ですから、先ほどご紹介した高速道路事業の運営を効率化するようなソリューションも求めています。とくに老朽化対策は喫緊の課題。老朽化対策では現状を正確に知るための点検が入口になるため、点検業務を効率化できるようなアイデアにも期待しています。
――テーマ②の「サービスエリア・パーキングエリアの価値向上」についてもお聞かせください。
瀬川氏: 当社にとってサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)は、お客さまとリアルな接点を持てる場です。先ほどの話にも出ていましたが、自動運転や新しい技術が次々と生まれています。技術や背景が変化するなかで、将来的にお客さまとの接点をどう構築していくべきなのかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思い、本テーマを設定しました。SA・PAを、新しい価値やサービス、ワクワク感を提供できる場にしていきたいと思っています。
▲東日本高速道路株式会社 サービスエリア・新事業本部 新事業推進部 ドラぷらイノベーションラボ推進チーム リーダー 瀬川 祥子氏
――今年度、とくに強調したいポイントはありますか。
瀬川氏: 強調したいポイントは、SA・PAの「多目的活用・有効活用」です。限られたスペースですし、ラディカルなことは行いづらい場所ではあるのですが、ぜひ新しい目で見ていただき、この場所がより楽しくなる、より効率的になるようなアイデアをいただければと思います。
たとえば、SA・PAエリア内や隣接する園地でのレジャー企画などは、共創イメージのひとつとして持っています。SAにはウォークインゲートがあり、外部からでも入ることができます。そういった特徴も活かし、地域の皆さまにもSAに来て楽しむ体験を提供していきたいですね。
▲リードを外し、愛犬が自由に走り回ることのできるドッグランを併設するSA。
――テーマ③「各種アセットを起点とした、地域連携強化や新事業創出」についてはいかがでしょうか。
瀬川氏: 当社には高速道路、SA・PAをはじめとした多彩なアセットがあります。また、私たち新事業推進部では、当部門で立ち上げた既存事業をいくつか所管しています。それらの各種アセットを俯瞰していただきながら、「こんな新規事業を立ち上げられるのではないか」という提案を、ぜひ募集したいと考えています。
たとえば、移動に関していうと、テーマ①では高速道路の移動に特化していますが、テーマ③についてはより広範なアイデアに期待しています。高速道路やSA・PAにこだわらず、移動、旅行の前後などを含めてトータルで考えていただき、新しい価値、体験をつくっていきたいというのが、本テーマ設定の狙いです。
――テーマ④「サステナブルな社会への貢献・事業運営」についてもお伺いしたいです。
上田氏: 今、どんな事業を行うにしても、必ずサステナビリティ(持続可能性)を問われます。私たちはインフラ企業ですから、サステナブルな事業運営をして、その先に社会へと還元する。そうしたCSRに近い活動も行っていきたいのです。その中身を考えたときに、もっとも分かりやすいのは環境問題への対策や循環型社会の実現でしょう。
これらについては、私たちも必ず考慮しなければならないテーマであり、常に頭の片隅に置いて意識をしています。ですから本テーマでは、当社の事業をよりサステナビリティを重視したものへと変えていくためのアイデアを求めています。
瀬川氏: 4つのテーマを挙げましたが、テーマはあくまで切り口です。「このテーマで応募すれば採択されやすい」といったことは一切ないので、どれを選んでいただいても構いません。自社の技術やアイデアと照らしあわせ、もっとも近いと感じるものでご応募ください。
3,943kmもの高速道路、328箇所のSA・PAや隣接エリアなど、豊富なアセットが活用可能
――共創を推進するにあたり、御社から提供できるアセット・リソースにはどのようなものがありますか。
大崎氏: 私からは、事業創造部が提供できるアセットについてご紹介します。まず、3,943kmにわたる高速道路、それに高速道路に関わる各種データなどが提供可能です。また、当グループには約1.5万人の社員がいるため、社員に協力を依頼することもできると思います。
データに関してより詳しくご紹介すると、高速道路をご利用されるお客さまの走行データやトラフィックカウンターから取得している交通量データのほか、橋梁・トンネルなどの道路構造物データなどもご提供できます。これらのデータは、販売目的ではご提供できませんが、新規事業に活かす目的であれば、ぜひご活用いただきたいと考えています。
▲東日本高速道路株式会社 技術本部 事業創造部 事業創造課 大崎 翔子 氏
――これらのアセットは、過去のプログラムでどのように活用されていますか。
大崎氏: 昨年度のプログラムからは、高速道路のり面(道路脇の斜面)や休憩施設の隣地などを実証実験のフィールドとしてご利用いただく案件が生まれています。また、工事を発注する際の図面を提供しているケースもありますので、さまざまな活用が可能だと思います。
▲北海道~関東3,943kmの高速道路や、東日本エリア328カ所のSA・PA(商業施設、園地など)といった実証フィールドが用意されている。
――新事業推進部からはいかがでしょうか。
石井氏: 当社は高速道路会社ではありますが、高速道路本線やSA・PA以外にも豊富なアセットがあります。たとえば、道路高架下やインターチェンジに隣接したトラックターミナルの敷地、それに日比谷公園地下にある日比谷駐車場も当社で運営しています。それらの敷地のなかには、利用のポテンシャルを秘めているのにも関わらず、現状利用できていない場所もあり、活用方法を検討しているので、そういった場所を使った新しい取り組みの提案にも期待しています。
加えて、インフラツーリズムに代表される旅行事業も手がけていますし、「E-NEXCO pass」という会員数約15万人のクレジットカードも発行しています。旅行事業やカード事業との連携も可能だと思います。
▲東日本高速道路株式会社 サービスエリア・新事業本部 新事業推進部 ドラぷらイノベーションラボ推進チーム 石井 絢佳氏
――提示いただいたアセットの活用方法で、何らかの制限はありますか。
大崎氏: 物理的なアセットに関しては、やはりお客さまの安全・安心が最優先となるため、内容によっては調整に時間がかかったり、ご提供できないという判断になったりすることもあります。ですから、可能であれば9月の早期応募締切までにエントリーいただき、事前にご相談いただけると嬉しいですね。
▲1960年に開業した日比谷自動車駐車場。皇居横に位置する日比谷公園地下の大型駐車場で、日比谷を始め有楽町・銀座・新橋のショッピング・観劇・観光・ビジネスなどで利用されている。
――最後に応募を検討している企業に向けて、一言メッセージをお願いいたします。
上田氏: お互いに手探りの部分がたくさんあると思いますし、実際にここ数年間、私たちも試行錯誤を重ねていて、今でも七転八倒しています。そういう状況においても、新しい価値の創造を目指せる仲間とともに取り組みを進めていきたいと思いますし、こうした活動の先に必ず新しい価値が生まれると信じているので、ぜひ一緒に取り組みましょう。
市川氏: 現在、高速道路会社の中でアクセラレータープログラムを実施しているのは当社だけですし、高速道路アセットはまだまだ未開の地。ですから一度、皆さんの持つ技術やノウハウが、高速道路アセットに適用できないか考えていただき、少しでも可能性がありそうであれば、躊躇することなく積極的にエントリーしていただきたいと思います。
仮に採択につながらなかったとしても、面談などを通じてお互いを理解するプロセスは、将来の糧になるでしょう。当社は日本の社会インフラを支える企業のひとつですから、皆さんの力がそこに加わり活かされれば、その影響力も大きなものとなるはずです。一緒に高速道路インフラを、日本にとってより良いものにしていければと思います。
瀬川氏: オープンイノベーションについて学んでいるときに感動したことがあります。それは、自分が100点ではなくても、お互いの強みや持ち味、個性を活かして補完しあえば、200点やそれ以上も目指せるという考え方です。
今年度のプログラムにご応募いただく皆さまも、持ち味が異なると思いますので、お互いに足りない部分を補いあって、新しいものを生み出し、「1+1=2」ではなく、「3」にも「4」にも、それ以上にもしていきたいと思います。共創により一緒に次のステージに踏み出しましょう。
取材後記
NEXCO東日本の保有する莫大なアセット・リソースを活かした共創を実現できる、非常にユニークなアクセラレータープログラム。インタビューのなかでも語られたように、高速道路会社主催による共創プログラムは、日本において他に例がなく、貴重な機会だといえるのではないだろうか。プログラムも3期目の開催となり、オープンイノベーションを加速させるための体制も整備されつつあるようだ。また、実証実験の費用サポートや出資スキームも見逃せない。少しでも共創できる可能性があるようであれば、ぜひ応募してみることをお勧めしたい。早期応募締切は9/6、最終応募締切は10/2となる。
※「E-NEXCO OPEN INNOVATION PROGRAM2023」の詳細はコチラをご覧ください。
(編集:眞田幸剛、取材・文:林和歌子、撮影:古林洋平)