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世界トップシェアを誇るモバイルデバイスに新たな付加価値を――サムスン電子が実施する共創プログラム「Samsung Mobile Advance 2023」に迫る

世界トップシェアを誇るモバイルデバイスに新たな付加価値を――サムスン電子が実施する共創プログラム「Samsung Mobile Advance 2023」に迫る

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スマートフォンやウエアラブル端末、ディスプレイ製品、家電製品などを展開し、グローバルシェアナンバーワン製品を多数生み出すサムスン電子。世界各地に研究開発拠点を擁し、常に新技術の探索やオープンイノベーションを推進する同社は、モバイルデバイス製品に 『新しい価値』 を搭載し、ユーザーに『これまでにない体験』を提供することを目的としたプログラム『Samsung Mobile Advance』を2021年より開催している。

本年開催されるプログラム『Samsung Mobile Advance 2023』では、サムスン電子本社のモバイルデバイス製品を扱うMX事業部向けにユーザーを魅了する製品・サービス(TV関係の記載があるがTV関連は募集していない)につながる技術を募集する(応募締切:3月31日)。

採択されれば、サムスン製品に技術が搭載され、瞬く間に世界60カ国で販売されるグローバルナンバーワン製品として世界中で利用される可能性もある。また、最大500万円の開発助成金を受けられるほか、さらなるパートナーシップや投資につながるサポートを受けられるチャンスも広がる。

今回、日本国内からの応募窓口となるサムスン日本研究所 代表取締役の多田充氏、MX事業部を担当する乙部英一郎氏、TVなど大型ディスプレイ製品を扱う事業部を担当する田中俊幸氏にインタビューを実施し、プログラムの詳細やスタートアップが参加するメリットなどについて聞いた。

先行開発拠点として、高い期待を寄せられるサムスン日本研究所

――まずは、皆さんのプロフィールをお願いいたします。

多田氏 : サムスン入社前は、家電メーカーでの材料開発を経て、化学メーカーで研究開発マネジメント及び企業経営を経験、併行してオープンイノベーションの推進役も担っていました。サムスン日本研究所には2021年に入社し、現在は代表取締役に就いています。


▲株式会社サムスン日本研究所 代表取締役 多田 充 氏

乙部氏 : 前職では無線機器の開発を行っていました。2001年にサムスン日本研究所に入社してからも、15年ほど無線機器の開発を続けていました。その後、オープンイノベーションチームに異動し、MX事業部にて今回のプログラムを担当しています。


▲株式会社サムスン日本研究所 Principal Engineer MD-4Lab 乙部 英一郎 氏

田中氏 : 画像処理分野が専門で、サムスン日本研究所にはデジタルカメラに注力し始めた2004年に入社し、デジタル一眼などカメラの開発を担当していました。その後、2016年よりディスプレイ部門にて技術ソーシングに携わっています。


▲株式会社サムスン日本研究所 Principal Engineer MD-1Lab 田中 俊幸 氏

――サムスン日本研究所の事業内容と、グローバル各拠点の中での役割について教えてください。

多田氏 : 当社は1992年、日本の研究開発施設として発足しました。日本では横浜と大阪に拠点があり、テレビなどのディスプレイ、モバイル製品、スマートフォン、スマートウォッチ、生活家電など幅広く開発を行っています。

サムスン電子では世界14カ国に研究拠点を構えており、それぞれの強みを活かした研究を行っています。日本の強みは、素材や精密なメカトロニクス、センシング技術、画像処理などディスプレイ関連領域です。それらの先行開発拠点として、数年先の製品に搭載される技術の開発を中心に行っています。

田中氏 : 私が担当するディスプレイ領域において、日本に対する期待度は高いと感じています。しかし、だからといって安泰だというわけではありません。グローバル各拠点がよきライバル関係にあり、世界から刺激を受けながら自らの技術をブラッシュアップさせています。グローバル展開するサムスン電子だからこそのスピード感、求められる技術の質の高さを常に感じていますね。

乙部氏 : サムスン電子は、常にグローバルでナンバーワンであり、オンリーワンであろうとする会社です。その姿勢は、グローバルの各拠点にも求められています。新しい技術については、各拠点がワールドワイドに競い合い、その中からナンバーワンの技術を採用するというスタイルですね。

だからこそ、私たちも強みを持つスタートアップとは密にコミュニケーションを取ってお互いの強みを認識するとともに、コラボレーションのポイントを常に探索しています。

スタートアップとの共創を世界中で推進

――続いて、貴社のオープンイノベーション活動について伺います。これまで様々な活動をしていらっしゃったと思いますが、どのような体制で、どういった活動をしていらっしゃるのでしょうか。

乙部氏 : 私が担当しているMX事業部では、スマートフォン、スマートウォッチ、イヤホン、VR/ARのヘッドマウント、ディスプレイを開発する事業部のオープンイノベーションを、私を含めた3名で活動をしています。

内容としてはソーシングとセンシングです。ソーシングは、主にスタートアップや大企業の技術を発掘して韓国本社にコラボレーションのポイントを提案します。そしてセンシングでは、日本の先端技術をレポーティングしています。

――これまでスタートアップと共創した事例を教えてください

乙部氏 : スタートアップと共創の例としては、本社とスタートアップとでGalaxy Note、Galaxy S、Galaxy FoldでのS Pen関連での協業とGalaxyのカメラ画像処理での協業した例があります。

――今回募集するオープンイノベーションプログラム『Samsung Mobile Advance』は、どのような背景で実施が決まったのでしょうか。

乙部氏 : サムスン電子本社のオープンイノベーションチーム主導で、新たな取り組みとしてインキュベーションプログラムを日本で運営してはどうかというアイデアが出たのは、2021年のことです。既に2018年からヨーロッパを中心にスタートしたプログラムでその可能性を見つけ、2021年に日本を含めいくつかの国に拡大したものです。単発ではなく数年のスパンで実施をしてみて、そこからどのような成果があり、プロダクトに展開されるのかを見ていこうということで、『Samsung Mobile Advance』がスタートしました。

――2022年度に開催された『Samsung Mobile Advance』で、採択された技術や進捗についてお話しいただけますか。

乙部氏 : 2022年のプログラムでは、およそ20社の応募から書類選考で数社が通過しました。その後、書類選考を通過した企業については提案資料を精査し、具体的なアピールポイントや改善点などをアドバイスした上で、サムスン電子本社も含めた最終ピッチを実施。2社を採択しました。

採択ポイントは、本社にない技術であること、そして将来性が高いことです。現在、TWSイヤホンの要素技術1件と、画像処理技術1件の共創プロジェクトが、2月のデモデイに向けて進んでいるところです。


完成品に限らず、ユーザーに新しい体験を提供できる技術を募集

――今年度開催する『Samsung Mobile Advance 2023』での募集テーマや技術領域について教えてください。また、どのようなパートナー企業像をイメージしていらっしゃいますか。

多田氏 : ソフトであろうとハードであろうと、ジャンルは問いません。そしてお客様に付加価値やサプライズ、面白い体験を提供できる技術があれば、完成品でなくてもいいというのが、このプログラムの特徴です。可能性のあるスタートアップと共創し、開発資金を提供するという意味で、スタートアップの育成にもつながっていると考えます。

乙部氏 : モバイル端末やウエアラブル端末ユーザーの価値観は多様化しているため、新たな体験や価値を提供していきたいと考えています。

MX事業部としては、スマートフォン、スマートウォッチ、TWSイヤホン、AR/MR/VR HMDに関連する技術、AIを活用したアプリケーション、カメラ関連技術、画像・動画編集処理技術、ヘルスケア・フィットネス関連技術、生体データセンシング技術、オーディオ関連技術、革新素材、放熱ソリューション、バッテリー、センサー&アルゴリズム、メタバース関連技術、ESG関連技術、ゲーム周辺技術、そして複数のサムスン製品を活用したマルチデバイスエクスペリエンスなど、幅広い技術領域で募集しています。


――それらの領域において、どのようなパートナー企業像をイメージしているでしょうか。

乙部氏 : 共創パートナー像としては、大きく3つあります。1つはスマートフォンの機能や性能のさらなる向上、そしてヘルスケア領域の課題解決に意欲を持つ企業。2つ目はターゲットユーザーのニーズやペインポイントをよく把握し、その対策のためのアイデアをお持ちの企業。そして3つ目は、サムスン電子が目指す世界観(特に顧客中心で新しいUX、価値を提供することを重視)に共感いただけるパートナーであることです。

――ディスプレイ分野の募集テーマやパートナー企業像はいかがでしょうか?

田中氏 : もはやディスプレイはテレビ番組を見るだけのデバイスではなく、様々なサービスを付加していかねば魅力的な製品にはなりません。ディスプレイを見ていない時に何か他のサービスを提供できないか、非常に興味があります。

MX事業部と重なるところが多いのですが、色々なセンシングをして、それを視聴者にフィードバックするような技術を検討しています。これまでにない技術を組み合わせてできる新しいサービスなど、私たちが気付いていない差別化のアイデアがあれば、ぜひお聞かせいただきたいですね。

一方でMX事業部と異なるのは、ディスプレイは身に付けることがあまりないデバイスということです。そのため、非接触は重要なひとつのキーワードになります。

――日本はある種特殊なマーケットであり、サムスン電子のディスプレイが流通していませんが、ぜひ製品の特徴についても教えてください。

田中氏 : サムスンのディスプレイはグローバルナンバーワンの出荷数を誇ります。そして数だけではなく、品質でも常にナンバーワンです。薄さは、ぜひ見ていただきたいですね。他社の多くのテレビは電源部の基盤にどうしても厚みが出てしまいますが、私たちの製品は本当に美しくフラットです。


▲サムスン電子のスマートテレビ(60" QLED 4K Smart TV Q60B)。ディスプレイは非常に薄く、背面もフラットだ。

またリモコンも、ボタンがたくさん並んでいるものとは異なり、非常にシンプルなインターフェースです。どこにも負けないという意気込みと、それを実現させる技術力を併せ持つところが大きな強みですね。


▲スマートテレビのリモコン。ボタンの数は少なく、直感的に操作できるデザインとなっている。

採択されれば、瞬く間にグローバルナンバーワンの製品に技術が搭載される可能性も

――スタートアップがこのプログラムに参加するメリットについて教えてください。

多田氏 : ひとつは、先ほどもお話しした開発資金の提供です(最大500万円)。この共創により私たちは新しい技術を製品に搭載でき、またスタートアップにとってはプロダクトを製造する側のニーズを知る機会にもなるので、win-winの関係を築くことができると考えます。

また、サムスン電子はスマートフォンだけで2億数千万台、スマートウォッチは1400万台、イヤホンも1400万台を、年間で生産しており、Galaxy関連製品は約60カ国で販売。そうしたグローバルナンバーワンの製品に技術が搭載されることは、スタートアップにとって大きなメリットとなるでしょう。かつ、開発のスピード感も非常に早いため、一気にグローバルでナンバーワンとなれるチャンスが生まれます。先ほど乙部が話したS Penでの共創は、まさにその一例ですね。

さらに、サムスングループには、サムスンベンチャーキャピタルというVCがあり、私たちも常に情報交換をしています。そうしたところからも資金提供を受けられる可能性もあります。


――韓国本社主導のプログラムになるかと思いますが、語学面でのサポートなどはいかがでしょうか。

多田氏 : 応募いただく上で、窓口は私たち日本国内の拠点となります。提案書についても私たちがサポートいたしますので、安心していただければと思います。

――最後に、今回のプログラムへの期待、そして応募企業に向けたメッセージをぜひお願いします。

乙部氏 : 日本の場合、国内に閉じた世界で完結してしまう傾向が、スタートアップであっても多いという印象があります。そうではなく、ぜひ最初からグローバルを目指す意気込みあるスタートアップと共創していきたいですね。ぜひ一緒に日本発の技術を搭載して、グローバルでナンバーワンになっていきましょう。

田中氏 : サムスン電子のディスプレイは、日本では流通していないため、あまり馴染みがないかもしれません。しかしグローバルに目を向けると、15年以上の長きにわたって世界シェアナンバーワンであり続けています。その出荷数は、日本国内の大手企業に話すと驚かれるほどです。今回のプログラムをきっかけとして、スタートアップの方々と夢を語り、新しいサービスや製品を一緒につくっていきたいです。

多田氏 : 『Samsung Mobile Advance』は、まだ始まって歴史は浅いのですが、これまでお話しした通り、グローバル規模で大きな可能性広がるオープンイノベーションプログラムです。私たちもしっかりとサポートいたしますので、ぜひ積極的にご応募ください。

また、サムスングループ全体として、オープンイノベーションに注力しています。今回募集する分野のみならず、生活家電領域でも共創パートナーを探索しています。具体的な製品イメージがなくとも、他の事業部などでご一緒できる可能性もあるため、ぜひ積極的にアピールしていただければ幸いです。


取材後記

自社の技術やアイデアでユーザーに新しい体験を提供したいと望むスタートアップにとって、非常に大きなチャンスとなるプログラムだと感じた。開発・実証助成金や、世界で最先端の開発を行う技術者との共創、そしてグローバルナンバーワン製品に技術が搭載される可能性など、採択の折には様々なメリットを享受できる。日本の研究開発拠点が窓口になることで、提案書のブラッシュアップのサポートや、本社のニーズなどのアドバイスを得られることも魅力だ。世界に目を向けているスタートアップは、ぜひ応募を検討して欲しい(応募締切:3月31日)。

※『Samsung Mobile Advance 2023』の詳細は以下URLをご覧ください。

https://eiicon.net/about/samsung-ma2023/

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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