JCB×トッパンフォームズ×Keychain | NFCカードを利用したオフライン環境向け決済システムを実装
株式会社ジェーシービーおよび、トッパン・フォームズ株式会社、ブロックチェーン技術のリーディングカンパニーである合同会社Keychainの3社が提携し、NFC(Near Field Communications、近距離無線通信)に対応したカード形状およびキーホルダー型ICタグ(※)のユーザーインターフェースを活用し、オフライン環境の店舗用決済端末で取引を行うシステムの開発、検証を行うという。
今回の取組の背景・実施内容
現在のキャッシュレス・ソリューションは、センターサーバーとの通信を前提としているものが大半を占めている。一方、山間部や海上など通信の途絶が発生する環境や、停電などにより通信サーバーが機能しないケースなど、キャッシュレスが利用できない局面での対応が課題で、中央銀行デジタル通貨(以下 CBDC)においても、オフライン環境下での決済が必要機能の1つとして議論されている。
JCB・トッパンフォームズ・Keychainでは、これらの課題に対し、これまでJCB・Keychain両社が取り組んできたMachine to Machine(M2M)向け決済システムの活用を検討してきた。今般技術的な実現の目処が立ったこともあり、3社共同で決済ソリューションを開発し、実証実験を行うこととなったという。
このシステムでは、汎用的な非接触ICカードの限られたメモリー内に認証機能を組み込むためのノウハウと、決済を行う店舗用決済端末および端末に搭載するアプリケーションをトッパンフォームズが提供する。エッジデバイスの限られた性能に対して、機器のなりすましやデータの改ざんを防ぐためにKeychainが持つ技術(Keychain Core※)をベースとすることで小さなアプリケーション(分散台帳技術を用いた認証情報/デジタルID)として組込み、近距離通信(NFC)規格を利用してタブレット・スマートフォンなどの店舗用決済端末との決済処理を安全に行っていくという。
※Keychain Coreは、Singapore Fintech Awardなど、多数の表彰を受けているアプリケーション開発フレームワーク。ブロックチェーン技術や分散台帳技術を一般的な開発チームでも実装できるような環境を提供し、自己主権的デジタルアイデンティティ、データセキュリティ、さまざまな端末や通信環境における合意コンセンサス・取引を実装できるよう取り組むという。
JCBとKeychainのこれまでの取り組み
今後モノとモノがヒトを介さず自動的に契約執行や決済をおこなうM2Mの世界が到来し、ヒトの意志表示による契約行為や商行為ではなく、モノとモノが事前に決められたルールに従って契約行為・商行為をブロックチェーンやスマートコントラクトを用いて自動執行するようになる近未来の姿(※)を見据え、M2M領域におけるマイクロペイメント向け決済インフラに着目し、両者共同でソリューションの開発と実証実験を行ってきたという。
※ユースケースとしては、自動運転車が道路やインフラと自動的に取引を行うほか、ドローンが自動配送や自動給電により自律的に動きまわるといった社会インフラのあり方がイメージされている。
2021年11月には、NFCを活用し、スマートフォンやスマートウォッチを利用した、新たなシステムの実証実験を実施し、店頭での非接触型のモバイル決済と同様のユーザビリティを実現したことを発表している。このシステムは、外部の決済処理センターとの通信を必要とせず、デバイス間の相互認証処理やデバイスに近接した上位レイヤーのデバイス(ルーターやサーバーなど)での承認処理により、オフラインでも決済ができるシステムとなっている。
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