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地域版SOIP「ビジネスビルド」最終戦は<中国>で開催――サンフレッチェ、ドラゴンフライズ、レノファに5社がプレゼン、2社が採択!

地域版SOIP「ビジネスビルド」最終戦は<中国>で開催――サンフレッチェ、ドラゴンフライズ、レノファに5社がプレゼン、2社が採択!

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共創によって新たなスポーツビジネスの創出を図る「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD」(ビジネスビルド)――。地域に根差したスポーツチームをホストチームに迎え、各チームの実現したいテーマに対してビジネスアイデアを公募。2日間のディスカッションをへて、ビジネスアイデアをブラッシュアップし、社会実装へとつなげるプログラムだ。スポーツ庁が主催している。

本年度は、北海道、関西、中国、沖縄の全国4つのエリアで、プログラムを同時開催。関西を皮切りに、北海道沖縄と採択企業が決定。最終戦の「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD CHUGOKU」が11/24(水)・11/25(木)の2日間、広島駅からほど近いRCC文化センターにて開催された。

中国エリアのホストチームは、「サンフレッチェ広島(サッカー)」「広島ドラゴンフライズ(バスケットボール)」「レノファ山口(サッカー)」の3チームだ。全73件のビジネスアイデアがよせられるなか、厳正な選考により5社が一堂に会し、ビジネスビルドに挑んだ。参戦した5社は、ホストチームとのディスカッションや、メンターによるメンタリングを通じて、ビジネスアイデアをブラッシュアップ。2日間の集中プログラムで、事業の骨組みまでつくることに挑んだ。本イベントの様子を、最終発表と審査結果を中心に紹介する。

2日間の集中ブラッシュアップで、事業の骨組みを創る

DAY1は、インプットとメンタリングが中心となる。ターゲットと課題の明確化、ソリューションの方向性の検討をゴールとして、ホストチーム・応募企業・メンターが膝をつきあわせて白熱した議論を交わした。



メンターには、ビジネスの第一線で活躍する多彩なメンバーが参戦。中間フィードバックを挟んでメンタリングを入念に行い、時には厳しい意見を交えながら、実現可能なビジネスプランにむけてターゲットや課題の解像度をあげていった。


▲各界で活躍するメンター陣が参加

DAY2は、ビジネスモデルの骨子策定、今後の事業展開に向けたマイルストーン、そしてPoCの計画策定をおこなう。そして、練り上げたビジネスプランを、各チーム(応募企業)の代表者がプレゼン。最終的にホストチームが、採択企業を選定する。採択基準は(1)新規性、(2)市場性、(3)実現可能性、(4)事業拡張性の4つだ。

2日間にわたるメンタリングを経て、どのような共創アイデアがブラッシュアップされたのか。そして、次なるステップに進むビジネスプランはどのようなものだったのか。最終発表の内容を、採択プランを中心に紹介していく。

【広島ドラゴンフライズ】XR・NFTを活用したコンテンツで、ファンエンゲージメントを高める

「広島に、バスケでつながる風景を。」をクラブスローガンとして活動する広島ドラゴンフライズは、現在Bリーグ1部西区に所属。2026年に新アリーナの建設を目指すが、まずは現アリーナにてホームゲームの観戦体験向上を目指している。今回は、「ファンのエンゲージメントを高める新たな観戦体験の提供」を軸に、以下2つの募集テーマを設定した。

(1) 来場者に向けたここでしか見られない特別な演出

(2) 来場者に向けた特別な体験による価値創出

最終ピッチの結果、「株式会社ビーライズ」が選ばれ、インキュベーションへと進むことになった。

■株式会社ビーライズ

提案内容「新たなXRコンテンツ制作によるファンエンゲージメントと収益性の向上」

株式会社ビーライズは、広島に本社を構え、XR(VR/AR/MR)技術を核としたデジタル技術活用の企画・開発・運用をワンストップで実施する企業だ。同社からは25歳の若手社員、藤田氏・髙原氏が登壇し、フレッシュなプレゼンテーションを行った。


今回のビジネスプランは、ビーライズのデジタル技術と、広島ドラゴンフライズの既存資産を融合した新たなデジタルコンテンツの制作・販売だ。既存ファンクラブ会員1700人をターゲットに据え、XRとNFT技術を活用したチームの裏側を見せるコンテンツを公開し、収益性やエンゲージメントの向上を目指すという。

具体的には、2026年に建設を目指す新アリーナや、2022年にオープンするクラブハウスの内部をバーチャル空間で体験できるコンテンツ、選手が施設を紹介する360°動画、練習風景やテクニックを紹介する動画など、ファンが楽しめる企画を継続的に発信する計画立てている。将来的には、ファンクラブ会員だけではなく、新規ファン獲得も狙う見込みだ。


最後に2人は、「広島から夢を届けるドラゴンフライズと、広島からXRを届ける株式会社ビーライズで、広島から夢のあるデジタルビジネスをスタートさせんといけんじゃろ!」と締めくくった。

<ホストチーム・受賞者コメント>

広島ドラゴンフライズの下山氏は、採択理由として「ファンクラブの課題に向けて実現可能な提案」である点と「XRやNFTという新しい技術を活用する」点を挙げ、そして広島の企業として共創していきたいと述べた。

ビーライズの藤田氏は、「当初は明確でなかったアイデアが、この2日間で明確になり、充実した2日間だった」と語り、髙原氏は「メンターからさまざまな考え方を学ぶことができ、提案をブラッシュアップできてよかった」と話した。


【レノファ山口】 施設に入居・入所する高齢者に向けた観戦サポートプラン

2006年に設立されたレノファ山口は、現在J2に所属。山口県の全19市町とホームタウン提携し、県内では絶大な知名度を誇る。ダイバーシティを軸とした新たな観戦体験の提供を目指すレノファ山口は、今回以下3つの募集テーマを設定し、共創パートナーを募集した。

(1)障がいをお持ちの方も楽しめる新たなスタジアム観戦体験

(2)高齢者の方も楽しめる新たなコンテンツ

(3)世代・性別・サッカーの知識レベルに関わらず楽しめる新たな観戦体験

最終的にケアプロ株式会社の提案を採択し、共創をスタートすることとなった。

■ケアプロ株式会社

提案内容「誰もが集うスタジアムに」

ヘルスケア事業の専門家集団であるケアプロ株式会社は、「ケアをプロデュースする」「誰も取り残さない」「難民・弱者を救って道を作る」ことを目指し、事業展開をしている。予防医療事業部では、自己採血でのワンコイン健診を開発し健康診断を受診できない人を救済、在学医療事業では大規模訪問看護ステーションを運営し、看取り難民を救済。そして交通医療事業では、お出かけやイベントの支援をして交通弱者の救済をおこなっている。こうした独自のノウハウを活用した高齢者の観戦支援プランを提案した。


想定ペルソナは、施設に通所・入居する高齢者。彼らの外出は一大イベントであり、慢性的な人手不足を抱える施設には、さまざまな課題が立ちはだかる。また、施設を出てから戻るまで、多くのペインがあり、お出かけプランを立てるのも一苦労だ。

そこで、ケアプロがこれまで蓄積したノウハウを活用して、高齢者が安心して観戦を楽しめるプランを策定。施設を通じてスタジアム観戦をしたい高齢者を募り、「誰もが集うスタジアム」を実現していく。まずはレノファ山口のスポンサーの福祉施設と連携して成功事例を創出し、それを山口県内、さらには全国展開していくことを目指すという。



<ホストチーム・受賞者コメント>

レノファ山口の柴田氏は、「こちらのニーズをくみ取っていただき、2日間でテーマに合致したプランを創り上げていただけた。実証実験も、柔軟に進めていけると期待している」と、選定理由を語った。

ケアプロの山崎氏は、「現地の様々な方と一緒になって、これまでスタジアムに来場できなかった人たちが観戦できるようにしていきたい」と、今後の見通しを話した。そしてケアプロの古川氏は、「メンターの方々から、私たちの思い込みを壊していただいたおかげで良い企画ができた」と感謝を述べた。


【サンフレッチェ広島】 新スタジアムから拡がる新たな地域連携 ※採択なし

1992年設立、Jリーグ発足当初から加盟する”オリジナル10”であるサンフレッチェ広島。2024年に広島市中心部に開業する新サッカースタジアムを核として、新たな地域連携を目指し、3つのテーマを設定した。

(1) 地域を巻き込んだ、新たなエンターテインメント

(2) スタジアムから始まる街づくり

(3) ファンのエンゲージメントを高めるソリューション

審査の結果、今回サンフレッチェ広島は採択プランなしという結論となったが、継続的に議論を進めることに。新スタジアム開業に向けて中国地方を盛り上げる取り組みを、今後も続けていく。

周辺商店街との相互送客施策・アリーナのデジタルエンタメ化・センサーテクノロジーを活用した高齢者の健康づくり――地域発のスポーツビジネス振興につながるビジネスアイデア

惜しくも採択に至らなかったが、以下3社(株式会社フューチャーセッションズ/株式会社ShimaFuji IEM/TANOTECH株式会社)も今回のビジネスビルドに参戦。新たなスポーツビジネスの創出を期待させるビジネスプランを発表した。

■株式会社フューチャーセッションズ(サンフレッチェ広島への提案)

提案内容「広島市都心の様々な事業者の連携による賑わい・相互送客施策」

営利・非営利・行政のセクターを超えた対話と共創を推進する共創コンサルティングを実施するフューチャーセッションズは、小田急電鉄株式会社と共に「広島の街中を歩いて見つけて食べて・飲む」ビジネスプランを提案。アプリを活用して、クラブの既存ファンには新スタジアム周辺の商店街の割引クーポンを配布したり、街の消費者にスタジアム誘客特典を付与するなどして、クラブと商店街の相互送客を狙う。


■株式会社ShimaFuji IEM(広島ドラゴンフライズへの提案)

提案内容「メタバース広島新アリーナ」

VR/ARコンテンツおよびAI・DX企画戦略コンサルティングを行うShimaFujiIEMは、VR技術を活用してアリーナをエンタメ化し、リピート率のアップを狙う施策を提案した。ターゲットを、独身女性やファミリーといったライト層に絞り、コンテンツを展開。バーチャル空間の中のアリーナを通して選手やルールなどを知ってもらい、次の来場につなげると共に、将来的なコアファンへの展開、さらには新規スポンサー獲得を目指すものだ。



■TANOTECH株式会社(レノファ山口への提案)

提案内容「高齢者が楽しんで健康になれるレノファ山口×TANO」

TANOTECHは、非接触・非装着型トレーニングシステム「TANO」を開発し、教育・福祉の課題解決に取り組む企業だ。同社は、レノファ山口が考案した「レノファ健康・元気体操」と自社のテクノロジーを掛け合わせたプログラムを提案。三世代で楽しめるゲーミフィケーションや、孫と一緒にレノファ体操を行うイベントなどをスタジアム周辺で開催、高齢者の来場につなげるとともに、健康増進にも役立てていく。


「スポーツの成長産業化の可能性を改めて感じられた2日間」――閉会の挨拶

最終プレゼンテーションと採択企業の発表後、MTG Venturesの藤田氏が総評を、運営パートナーである伊藤忠ファッションシステム株式会社の上井氏が挨拶を行った。そして、地域版SOIP主催者であるスポーツ庁・山縣氏が閉会の言葉を述べた。

藤田氏は、「地域でスポーツチームと共に新しいことに取り組むのは、1度のイベントで終わるものではない。広島はコンパクトな町でスポーツ熱も高い街。だからこそ、今回のイベントだけで終わらず、周囲を巻き込み仲間を増やし、大きな動きにして欲しい」と熱を込めて語った。


上井氏は、「熱量あふれる素晴らしい2日間だった。メンターのみなさんが、自分ごととしてとらえ、事業化に向けて真剣に伴走している様子が印象的だった。これからPoC、そして事業化に向けたフェーズに進んでいくが、今後も事務局としてサポートしていきたい」と話した。


そしてスポーツ庁・山縣氏は、「地域版SOIPは今年度初めての事業だが、4地域で非常に多くの応募をいただいた。応募アイデアには非常に面白いものがたくさんあり、スポーツの成長産業化に向けた可能性を改めて感じる機会となった。採択された2企業はもちろん、惜しくも採択されなかった企業も、今回の地域版SOIPで築いたネットワークをぜひ活用して、イノベーションを創出していただきたい」と締めくくった。


閉会後には、懇親会の時間が設けられた。2日間のプログラムの熱はそのままに、会場の至るところで交流したり、記念撮影をしたりする様子がみられた。スポーツ庁・山縣氏が話したように、今回のイベントを契機に新たなつながりが生まれていきそうな予感のする時間だった。

取材後記

XRやNFTを活用したファンエンゲージメントの向上、誰もが安心してスタジアム観戦に行ける仕組み――採択されたアイデアは、現状多くのスポーツチームが抱えている課題解決にもつながる提案だ。ぜひ、中国エリアから事業化を実現し、全国に広げていって欲しいと感じた。

関西、北海道、沖縄、中国と開催されてきた「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD」は全日程を終了。採択された事業アイデアは今後、メンター・サポーター企業とともに、社会実装を目指してインキュベーション・実証実験を行い、事業化に向けた検討を進めていく。さらに成果発表の場として、2022年2月にDEMODAYを予定している。各地域からどのようなスポーツビジネスが生まれていくのか、今後も楽しみは続く。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:齊木恵太)

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