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地域版SOIP「ビジネスビルド」3番目の舞台は熱気あふれる<沖縄>!――FC琉球・アスティーダ・楽天イーグルスと共創に挑む4社が決定!

地域版SOIP「ビジネスビルド」3番目の舞台は熱気あふれる<沖縄>!――FC琉球・アスティーダ・楽天イーグルスと共創に挑む4社が決定!

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北海道、関西、中国、沖縄の全国4エリアでスポーツビジネス創出を図り、地域から日本全土を着火する「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD」(ビジネスビルド)。各エリアの地場スポーツチームがビジネスアイデアを募集し、応募企業と2日間のディスカッションを通じて、社会実装可能なスポーツビジネスを練り上げていくイベントだ。2日目の終わりに実施される最終プレゼンで採択された企業は、実証実験に向けたインキュベーションに進むことができる。

これまで関西エリア北海道エリアの2カ所でイベントは開催され、TOMORUBAではその模様をお届けしてきた。そして、先頃、その第三弾となる沖縄エリア「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD OKINAWA」が開催された。

沖縄エリアのホストスポーツチームは、「FC琉球」、「琉球アスティーダ」、「東北楽天ゴールデンイーグルス」の3チーム。サッカー、卓球、野球と幅広いジャンルのスポーツチームが顔を揃え、南の島・沖縄ならではのスポーツビジネスの創出に挑んだ。

本記事では、去る11月19日(金)・11月20日(土)に開催された沖縄エリアのイベントの様子を密着レポート。近年、観光地としてだけではなく、東アジアの経済の中心地としても注目を集めるようになった沖縄。その土地で、どのようなスポーツビジネスが芽生えようとしているのか。熱気あふれる2日間の様子をお伝えする。


東シナ海をのぞむ会場で2日間の熱戦が展開。最終プレゼンには6チームが登壇

INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD OKINAWAの会場は、沖縄県豊見城市のTOYOSAKIプラットフォームセンター(通称「トヨプラ」)。眼前に東シナ海をのぞむ潮風吹き込む場所で、2日間に渡るイベントの幕が切って落とされた。

イベント初日は午後0時30分からプログラムがスタート。スポーツ庁やホスト企業からの挨拶などを経て、同日20時までビジネスアイデア構築が行われた。そして、翌日のイベント2日目。応募企業は午前10時から会場に集い、メンターからのメンタリングなどを受けながら、最終プレゼンに向けた資料づくりを進めていった。最終プレゼンは午後2時30分スタートだったが、応募各社はその直前まで資料づくりを続け、思いつく限りのアイデアをプレゼン資料に詰め込んでいた。


そして、会場が熱気と緊張感に包まれるなか、最終プレゼンはスタート。壇上には6チームの代表者が上がり、二日間に渡って磨き上げたビジネスアイデアを披露していった。続いては、見事、採択企業に選出された4社の最終プレゼンの模様を紹介する。

【FC琉球】「テクノロジーを活用したごみ拾いイベント開催」「飲食アプリを活用したファン層拡大アイデア」の2案が採択

沖縄県内唯一のJリーグクラブチームであるFC琉球は、市場開拓、新たな観戦体験の創出、選手の負担軽減と、幅広い領域から3つの募集テーマを設定した。

■募集テーマ「スタジアムから沖縄全域・全国へ 人々の交流を広げる仕掛け」

・スポンサー、サポーターとの交流を生み出す市場開拓

・サステナブルなスタジアム観戦体験

・選手の「移動」の負担を軽減するソリューション

この募集テーマでは2社が採択。位置情報プラットフォームを開発する「リアルゲームワールド株式会社」、飲食関連のWEBサービスを提供する「OKTコミュニケーションズ株式会社」がインキュベーションに進出した。

■リアルワールドゲームス株式会社

提案内容「琉球クリーンウォーク~沖縄の課題解決ゆいまーるのプラットフォーム~」

リアルワールドゲームスが提案するのは、同社が展開するゲームアプリを活用したゴミ問題解決のアイデアだ。現在、沖縄沿岸に大量漂着し、水産業などに大きな影響を与えている軽石。そのほかにも、海洋ごみの漂着や街中の不法投棄など、沖縄におけるごみ問題は切迫した課題となっている。


そこで、リアルワールドゲームスは、FC琉球とそのスポンサーによるごみ拾いイベントの開催を提案。そのイベントに同社の位置情報ゲームアプリを掛け合わせ、ごみ拾いの様子を写真やマップの位置情報などで共有することで、「楽しみながら参加できるごみ拾いイベント」を目指す。

さらに、こうしたイベントに並行して、FC琉球の選手カードをコレクションできるスタンプラリー企画や、軽石をアップサイクルしてシーサーを作る企画などを展開。FC琉球のコアファン層から一般層まで、幅広い層を巻き込んだクリーンナップイベントに成長させていく。


リアルワールドゲームスは、一連のイベント開催を通じて、沖縄のごみ問題解決を目指すとともに、イベント参加により沖縄県民の健康増進を促し、沖縄県の医療費削減などにも貢献したいとした。

<ホストチーム・受賞者コメント>

FC琉球の取締役事業本部長の荻原直樹氏は、リアルワールドゲームスのビジネスアイデアについて「FC琉球としても、社会貢献活動を基点としたファンづくりには積極的に取り組んでいきたいと思っていました。しかし、コロナ禍の影響もあり、なかなか実施できない状況がありました。そうしたなかで、リアルワールドゲームス様のビジネスアイデアは、まさに『痒いところに手が届く提案』だったと思います」と評価した。

これを受けて、リアルワールドゲームスは「当社はステークホルダーを巻き込んだ取り組みを得意にしています。その強みを活かして、社会貢献活動をどんどん推し進めていきたいです」と、今後の意気込みを語った。


■OKTコミュニケーションズ株式会社

提案内容「AWAPASSプラットフォームを活用した、FC琉球ホームにおける秘密兵器」

OKTコミュニケーションズの提案は、同社が提供する「AWAPASS」のプラットフォームを活用した、FC琉球のファン層拡大アイデアだ。


AWAPASSとは、月額600円(税別)で毎日2杯のお酒が無料で飲める「ちょい飲み支援サービス」。ユーザーは沖縄県内700店舗のサービス加盟店すべてで、お酒の提供が受けられる。OKTコミュニケーションズは、このAWAPASSのプラットフォームを活用して、ユーザーとFC琉球とのタッチポイントを創出し、ファン層拡大を実現するとした。

具体的には、AWAPASSのプラットフォーム上でFC琉球との各種コラボレーション企画を実施する。「FC琉球が試合に勝てばお酒を1杯無料追加」「FC琉球が優勝したら会員費1ヶ月無料」などの企画を展開することで、AWAPASSユーザーにFC琉球への興味関心を抱かせる。さらに、FC琉球の試合会場でもお酒1杯無料提供のイベントを実施し、試合会場への送客も行う。


こうした企画を通じて、これまでFC琉球に関心の薄かった層を取り込み、ファン層拡大を図るのが、OKTコミュニケーションズの提案だ。同社は、このサービスは2週間程度で開発可能だとして、来シーズンにはサービス提供を開始したいと意気込んだ。

<ホストチーム・受賞者コメント>

OKTコミュニケーションズのビジネスアイデアについて、荻原氏は「FC琉球に寄せられた提案のなかで、最も実現可能性が高かったと思います」と採択理由を述べた。それを受けて、OKTコミュニケーションズは「当社はすぐにでも動ける状態です。取り組みをどんどん前進させていくつもりなので、ぜひ今後ともよろしくお願いします!」と、事業創出に向ける熱い想いを語った。


【琉球アスティーダ】沖縄県民の健康増進ソリューションを提案したタニタヘルスリンクを採択!

卓球Tリーグに所属する琉球アスティーダは、国内スポーツチーム初の株式上場やチームトークンの発行など、スポーツ業界でも先進的な取り組みで知られるチームだ。今回のプログラムでは、そうしたカラーが反映された3つの募集テーマが設定された。

■募集テーマ「スポーツ×エンターテインメントによる次世代ビジネスの創造」

・試合会場以外での全国ファン獲得の仕組みづくり

・アスリートメニューの開発や飲食販売ビジネス創出

・エンターテインメント化した次世代のスポーツ観戦体験

琉球アスティーダには2チームがビジネスアイデアを提案し、株式会社タニタへルスリンクが採択企業に選出された。

■株式会社タニタヘルスリンク

提案内容「アスティーダが沖縄の健康をかえる!日本初の【トークン】を絡めた健康プログラム!」

健康計測機器のメーカー・タニタのグループ企業であるタニタヘルスリンクは、琉球アスティーダと連携した健康プログラムを提案した。


健康プログラムの目的は、沖縄県民の肥満解消だ。平成23年度の調査(公益財団法人沖縄県保健医療福祉事業団「県民健康・栄養調査」)によれば、沖縄県内の肥満者の割合は全国一位。かつて根強かった「長寿の島」というイメージからもかけ離れつつある。

そうした状況からの脱却を図るため、タニタヘルスリンクは、健康意識の低い層に届く健康プログラムの構築を目指す。健康プログラムでは、琉球アスティーダの選手によるオンライン筋トレプログラムや、琉球アスティーダ社外取締役である福原愛氏を招いたウォークイベントなどを提供し、健康意識の低い層に様々な健康行動を促す。

さらに、そうした健康行動をタニタヘルスリンクが提供する健康管理アプリや歩数計アプリなどで可視化し、ポイントを付与。ポイントは、琉球アスティーダが発行するトークンや飲食チケットとの交換が可能だ。


タニタヘルスリンクは、これらの健康プログラムをソリューション化し、「アスティーダ健康経営支援プラン」として、琉球アスティーダのスポンサー企業に提供。それを足がかりにソリューションの強化を進め、沖縄県内企業や県外企業への普及を目指す。

<ホストチーム・受賞者コメント>

琉球アスティーダの取締役・平田史隆氏は「健康増進の取り組みは、琉球アスティーダにとって未知の領域です。だからこそ、今回、ぜひ挑戦したいと思いました」と述べ、新たな領域における事業創出に意欲を見せた。受賞したタニタヘルスリンクは「今回、提案したソリューションを必ず確立して、『アスティーダモデル』として全国に展開してきたいです」と、共創の最終的な展望を示した。


【楽天イーグルス】沖縄の子供たちに学びの場を提供する、琉球DigiCoの提案がインキュベーションに進出

宮城県仙台市に本拠地を持つ、楽天イーグルスは、17年間、キャンプ地として沖縄県を利用し、そのなかで地域社会に向けた活動を続けてきた。今回のイベントでは、そうした同チームの沖縄における基盤をさらに強固にするビジネスアイデアが求められた。

■募集テーマ「プロスポーツキャンプを軸とした経済活性化・新たなビジネス創出」

・キャンプ地沖縄との継続的なビジネス創出

・滞在時のフィジカル面をサポートするサービス

・滞在環境の充実に繋がるソリューション

楽天イーグルスには2チームが提案。最終プレゼンの末、株式会社琉球DigiCoが採択企業に選ばれた。

■株式会社琉球DigiCo

提案内容「ならいゴト×コミュニティ~いろんな学びのできるプラットフォーム~」

沖縄県内で40ヶ所以上のシェアオフィス・インキュベーション施設を運営する琉球DigiCoは子供向けの学びのコミュニティプラットフォームを提案した。


想定ターゲットは小学校低学年の子供とその両親。学校以外の居場所を作りたい子供と、様々な体験を通じて子供の可能性を広げたい両親に対して、野球、ダンス、プログラミングが複合的に学べる場を提供する。

尚、野球、ダンスに関するコンテンツには、楽天イーグルスが運営するキッズスクール「楽天イーグルスアカデミー」のノウハウを活用し、プログラミングのコンテンツはIT分野に強みを持つ琉球DigiCoが担当する。これらの教育コンテンツをチケット制で販売することで、子供たちは一つの分野に縛られない、幅広い学習体験が可能になる。

さらにコミュニティでの成果物(ダンスパフォーマンスやグラフィックデザインなど)は、楽天イーグルスのオープン戦で発表される。これにより、コミュニティの活動を県内外に発信し、ユーザー層の拡大を図る。


琉球DigiCoは、コミュニティの展開を楽天イーグルスのキャンプ地である沖縄県金武町・うるま市からスタートし、徐々に那覇市、仙台市、台湾とプラットフォームの規模を拡大していきたいとした。

<ホストチーム・受賞者コメント>

楽天野球団(楽天イーグルス)野球振興部部長の松野秀三氏は「子供たちに選択肢を与え、彼ら彼女らの将来を創っていく、魅力的なビジネスアイデアだと思いました。インキュベーションでは、ビジネス的な観点だけでなく、『子供のため』を意識しながら共創を進めていきたいです」と採択理由を述べた。

琉球DigiCoは「メンターの皆さんのおかげで良いビジネスアイデアを生み出せたと思っています。私たちはまだ創業3年目の若いベンチャーですので、今後も皆様のお力を借りながら、沖縄に貢献できるビジネスを創っていきたいです!」と力強く語った。


健康食やシェアサイクルなど「健康」をテーマにしたビジネスアイデアが続々

このほか、最終プレゼンでは多彩なビジネスアイデアが披露された。以下では、惜しくも採択には至らなかった2チーム(株式会社アスリートフードマイスター、有限会社ツーボックス/株式会社タニタヘルスリンク)のビジネスアイデアを紹介する。

■株式会社アスリートフードマイスター、有限会社ツーボックス ツボデリ沖縄(琉球アスティーダへの提案)

提案内容「スポーツ×食で繋がる〜企業戦士をサポートする『ガンジューFOOD』の提案」

アスリートフードマイスターツーボックスは、健康食の提供を通じた健康経営ソリューションを共同で提案した。琉球アスティーダのスポンサー企業に対して、両社が監修・制作した健康食(ガンジューFOOD)を提供し、スポサー企業内の社員に食を通して直接的なタッチポイントをつくりロイヤリティーの充実を図ることで継続的な帰属性の高い強固な関係性をスポンサー企業とチームとの間で構築する。

さらに、琉球アスティーダブランドの沖縄県産の栄養豊富な食材を利用した食品開発と販売を行い、琉球アスティーダー選手自らが、健康経営を積極的に推進する情報発信をすることで、地元産業の活性化を応援し県民の健康に寄り添うチームであることを認識してもらうことで、親子2世代にわたる様な長期的なチームファン層の獲得を図る。


■株式会社タニタヘルスリンク(楽天イーグルスへの提案)

提案内容「楽天GE×タニタヘルスリンク×自治体における官民連携型健康増進事業」

タニタヘルスリンクは、楽天イーグルスにもビジネスアイデアを提案。自治体を含めた三者で共同し、キャンプ地の金武町・うるま市に楽天イーグルスラッピングのシェアサイクルを展開。走行記録をタニタグループの健康管理システムなどで管理し、シェアサイクルを利用する地域住民や楽天イーグルスファンの健康増進に役立てたいとした。


大きな熱気に包まれたOKINAWA。2日間に渡るイベントが閉幕

採択企業の発表の日には、運営パートナーである株式会社レジスタの宮城尚氏、スポーツデータバンク沖縄株式会社の長瀬貴紘氏、主催者であるスポーツ庁の城坂知宏氏から閉会の挨拶が述べられた。

スポーツデータバンク沖縄の長瀬氏は、「常々、私たちは沖縄には『三つのち』(地の利・地域資源・知の基盤)があると訴えてきました。この三つが揃っている沖縄には、可能性しかないと考えていましたが、今回のプログラムを通して、その可能性が十分に実現可能なものだと確信しました」と述べ、今後のインキュベーションにも全力で取り組んでいくと意気込みを語った。


続いて、レジスタの宮城氏は、イベントの熱量に言及。「2日間、会場の様子を伺っていましたが、皆さんの熱量が凄まじかったです。採択企業の皆さんには、今日のイベントをゴールではなく、スタート地点にして、ますますビジネス創出に取り組んでほしいです」と、今後への期待を述べた。


最後に、スポーツ庁・城坂氏は応募企業をはじめとした全ての関係者に感謝を述べたのち、今回のイベントに大きな手応えを感じたと話した。そして、「私は『スポーツ庁』が『スポーツ省』に昇格されるほど、国内でスポーツビジネスが盛り上がってほしいと願っています。そのためにも、このイベントを始めとした様々な取り組みを通じて、全国にスポーツビジネスの種を広げていくつもりです」と話し、イベントを締めくくった。


取材後記

イベントの2日目。沖縄の最高気温は26.8度。最終プレゼン直前の各チームのメンバーは、その多くが半袖の服でPCの画面に向かい合い、蒸し暑い会場をますますの熱で満たしていた。

その様子こそ、「沖縄の可能性」そのものだった。この後、採択された4チームは各チームとのインキュベーションに進む。その先に見据えるのは、日本、アジア、世界へと羽ばたくスポーツビジネスの創出だ。あの会場には、そうした目標の実現を予感させる熱量が、間違いなく、宿っていた。

(編集:眞田幸剛、取材・文:島袋龍太、撮影:齊木恵太)

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