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「信州ITバレー構想」で生産性を首都圏レベルに。長野県が取り組む創業&スタートアップ支援とは

「信州ITバレー構想」で生産性を首都圏レベルに。長野県が取り組む創業&スタートアップ支援とは

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地方自治体のオープンイノベーション事情を探る「CLOSEUP OI」、今回は長野県にフォーカスを当てます。長野県と聞くと関東、北陸、中部からのアクセスもよく、観光資源も農業資源も豊富なイメージがあると思います。さらに中核市(人口20万人以上の市)には、長野市に加えて今年の4月から松本市が加わりました。多くの自治体が人口減少を課題にしている中で人口増に成功している数少ない例と言えます。

長野県には、私たちが抱えているイメージ以外にどのような魅力があり、どんな共創・スタートアップ文化があるのでしょうか。

製造業が産業の土台。低い開業率が課題に

まず、長野県の産業において何が課題になっているのか見ていきます。長野県の産業労働部産業政策課が産業イノベーションの創出に向けて施策を記したドキュメント「長野県ものづくり産業振興戦略プラン【2018~2022年度】」には現状と課題がまとめられています。


県内総生産を見ると、他の地域と同じように平成20年度以降リーマンショックの影響を強く受けていることがわかります。いまだにリーマンショックからの回復と途上と言えるでしょう。


県内総生産の構成比を見ると、製造業が強いことがわかります。農業資源、観光資源が豊富なのは間違いありませんが、それを上回る製造業が長野県の屋台骨となっているのです。

課題に目を向けると、さまざまな点が指摘されていますが印象的なのは開業率の推移です。


開業率の全国平均が堅調な上昇トレンドを描く一方で、県内の開業率は低迷を続けています。この課題を解決するために、創業・起業をサポートする必要性を感じていることがわかります。

参考ページ:現状と課題 第Ⅱ章

創業・起業やスタートアップ文化をサポートする様々な取り組み

前述の通り、長野県の産業イノベーションを実現するための一つの指標として「開業率」があります。この解決策として、創業・起業やスタートアップ文化の醸成をサポートする動きが県内で活発になりつつあります。象徴的な取り組みをいくつか紹介していきます。

長野市、松本市を中心とした「信州ITバレー構想」

長野県はIT産業が盛んになりつつあります。IT産業の事業所は長野市と松本市を中心に集積しており事業所数は全国15位です。県のIT振興課は、IT事業の生産性を伸ばすことで新たな産業の核を創出することをミッションに、「信州ITバレー構想」を立ち上げています。

善光寺門前や松本城下、茅野八ヶ岳山麓などに展開するIT企業と大学、公設試等支援機関によるコンソーシアムを拠点に、グローバルに展開できるIT人材の集積と革新的なITビジネスの創出を支援することで、生産性とIT、IoT導入率の引き上げを狙います。


出典:信州ITバレー構想とは | 信州ITバレー構想とは

参考ページ:信州ITバレー構想/長野県

信州ITバレー構想の拠点「信州スタートアップステーション」と「信州アクセラレーションプログラム」

信州ITバレー構想を実行する拠点として、長野県は「信州スタートアップステーション」を、松本市及び長野市に開設しています。 支援対象は①創業前から概ね創業後5年以内の者、もしくは②既存企業の事業承継により創業する者及び新規事業に取り組む者、となっています。

具体的にはコンサルタント、中小企業診断士、会計士等の経験豊富なコーディネータが、相談者の創業・新規事業に関する相談対応を行い、アイデアの事業化を支援してくれるというものです。

また、信州スタートアップステーションで実施される「信州アクセラレーションプログラム」は、県内の有望な起業家に対する短期間の集中的伴走支援を行うもので、今年度は6月時点で第4期の選考が進んでいます。

参考ページ:信州スタートアップステーション(Shinshu Startup Station)/長野県

参考ページ:信州アクセラレーションプログラム/長野県

また、県とは別に、長野市でも「長野市スタートアップ成長支援業務」という枠組みがあり、短期集中型の伴走型の起業支援が受けられます。

同様に松本市でも、一般社団法人松本ものづくり産業支援センター(ISC)が松本地域の製造業の支援を行なっています。ISCでは松本市の全面的な支援を受けたICT拠点施設「サザンガク」の運営も行なっており、ICTを起点にした共創のサポートを受けることができます。

参考ページ:長野市スタートアップ成長支援業務

参考ページ:松本ものづくり産業支援センター

【編集後記】地方で都心レベルの生産性を達成できるか

コロナ禍でリモートワークが広く浸透したことで、生産性について考えさせられることが増えたように思います。完全リモートを導入している会社であれば、どこに住んでいても生産性を維持することが可能になるかもしれません。

これまで地域と生産性の相関は強いと考えるのが一般的でしたが、そういった障壁は少しずつなくなっているように感じます。そう考えると、長野県の信州ITバレー構想が指標にしている「従業員あたりの売り上げを都内レベルに上げる」という目標も夢物語ではなさそうで期待が膨らみますね。

TOMORUBA編集部

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全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。