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スマホから5G・IoTへ移行するスポーツテックのトレンド。AI×スポーツの共創事例を紹介

スマホから5G・IoTへ移行するスポーツテックのトレンド。AI×スポーツの共創事例を紹介

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。TOMORUBAの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は、スポーツ市場におけるAI活用に注目します。スポーツ分野でテクノロジーを活用することをスポーツテックと呼びますが、近年スポーツテックは社会実装に向けて大きな波がやってきていると言えます。

テレビCMなどを見ていても、5G技術の文脈などから「ICTでスポーツ観戦がもっと楽しくなる」という訴求が増えているのは皆さんも実感しているのではないでしょうか。

それでは、実際にビジネスの現場ではどのようにスポーツ分野でのAI活用が行われているのか、見ていきましょう。

スマホファーストで勃興、5Gで急拡大するスポーツテック

野村総合研究所が公開したレポート「ITナビゲーター2020年版」によれば、スポーツテックの市場規模は2019年に310億円の予測で、2025年には1547億円にまで拡大すると見られています。

興味深いのは市場規模の内訳です。2019年は市場規模のほとんどを「動画配信サービス」が占めていますが、それ以降「IoTを活用したスポーツ用品・サービス」が急拡大し、2025年には約44%のシェアに達しています。


出典:ITナビゲーター2020年版|株式会社野村総合研究所

同レポートには、スポーツテックはスマホファーストの潮流を受けて加速したとされており、スポーツ中継配信サービスの『DAZN』を中心にスマホでスポーツを楽しむユーザーが拡大したことが市場の拡大を牽引しているようです。

そして今後は「観る」だけでなく、アスリートを支える、あるいは誰でもスポーツを楽しめる、新しいスポーツを創出する、といった役割がスポーツテックに求められていくことが予想されます。

AI×スポーツの共創事例

ここからは、実際にスポーツ分野でAIを活用した共創事例を紹介していきます。

【Google×マンC×クオンタム】「長期的な記憶」武器にAIエージェントコンペで5位入賞

Googleが運営するAIコンペティション『Kaggle』の取り組みの一環として、Googleとサッカーチームのマンチェスター・シティがホストとなって開催した『Google Research Football with Manchester City F.C.』において、AI開発のQUANTUM (クオンタム) のデータサイエンティストとしてquantum AIである大渡勝己氏を含むチームが日本人チーム最高位となる5位に入賞しました。

同コンペは、フットボール(サッカー)をプレイするAIエージェントの作成と研究加速を目的として開催されたもので、グローバルで活躍する大手企業や研究所などに所属する機械学習エンジニアたちが参加しました。コンペでは、参加者が提出したAIエージェント同士による多数の試合(Google Research Football Environmentという実際のビデオゲームと同じような環境で動作)が行われ、その勝敗結果をもとに順位付け/レーティング計算が行われました。

多くのAIは「反射的な判断」が得意なのに対して「長期的な記憶」を苦手としています。大渡氏のチームが開発する『quantum AI』は長期的な記憶を読み解く研究をしていたため、今回の結果に繋がったとのこと。

クオンタムは今後もquantum AIを用いた新規事業でデータサイエンスを導入する企業向けに、アカデミアによるAI研究から機械学習の開発・運用までを一気通貫で提供していく予定です。

関連ページ:Googleとマンチェスター・シティーF.C.主催のサッカーAIコンペティションで、quantumのデータサイエンティストを含むチームが5位入賞。

【アジラ×オンザウェイ×ペスカドーラ町田】行動認識AIで人体動線分析の実証実験を実施

行動認識AIを開発するアジラは、カメラシステム販売のオンザウェイ、フットサルのプロリーグであるFリーグに所属するペスカドーラ町田及び町田市立総合体育館と共同で、AI機能搭載カメラシステムの製品開発に向けた、人体動線分析に関する実証実験を実施しました。

人員不足やコロナ禍による省人化を背景に、アジラとオンザウェイは共同で、人体動線分析、群衆密度分析、アクシデント検知、及び人物属性推定等のAI機能搭載のカメラシステムの開発を進めています。同実証実験では、搭載予定機能の一つである人体動線分析機能の運用を行い、その有用性を検証しました。

2種類の実証実験が行われ、ひとつは既設監視カメラを用いた、体育館入り口付近における利用者の人体動線分析が実施されました。ふたつ目に、仮設カメラシステムを用いた、ペスカドーラ町田等のFリーグ所属6チームの関係者の人体動線分析を実施しています。

同実証実験では、クラウド、エッジAIデバイスの双方にて実証実験を実施し、高い精度(90%弱)で検出できたものの、未検出/誤検出も認められています。今後は製品化に向けた課題や改善箇所を洗い出し、より良質な製品の開発を進めていく予定です。

関連記事:行動認識AIのアジラ×オンザウェイ×ペスカドーラ町田 | 人体動線分析の実証実験を実施

【朝日放送×NTT西日本ほか】イスラエル発のスタートアップと協業しAIカメラを活用したスポーツ映像配信事業

朝日放送グループホールディングス、NTT西日本、朝日新聞社、電通、および日宣は、AIカメラシステムに強みを持つイスラエル発のベンチャーPixellot Ltd.(ピクセロット)と、スポーツ映像配信事業において協業すると発表しました。

Pixellot Ltd.が開発した円柱状の無人撮影カメラ『Pixellot』は、AIによる自動撮影や編集機能を備え、高解像度で撮影を行うことができるというもの。スタジアムなどの競技施設に設置し、AIが自動でカメラワークを行うことで、撮影コストを約10分の1に抑えることができます。また、動画内や動画と動画の合間に広告を自動挿入することも可能。

本実験では、各社の強みを生かし、新たな配信ビジネスの創出につなげていくため、AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業の事業としての可能性を検証しました。将来的には、本実験の検証で得られる知見を活かし、AIカメラによるスポーツ配信事業の事業化を目指していくとのことです。

関連記事:朝日放送、NTT西日本ほか大手×イスラエル発のスタートアップ|AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業で協業

【NTT×ハンドボール協会】山鹿市総合体育館にAIカメラを常設、映像配信事業の実証実験を実施

こちらもイスラエルのベンチャーPixellot Ltd.(ピクセロット)に関する事例です。NTT西日本日本ハンドボール協会(JHA)は、AIを用いてスポーツの自動映像配信を実現するカメラシステムを手がける「Pixellot Ltd.(ピクセロット)」のAIカメラを、「山鹿市総合体育館(熊本県)」に常設し、AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業に関する共同実証実験を実施しました。

この事例もひとつ前の事例でも紹介したNTT西日本、朝日放送グループホールディングス、朝日新聞社、電通および日宣による、「AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業の実証実験」の枠組みで実施されています。

同実証実験は、「2019女子ハンドボール世界選手権大会」の会場にもなった熊本県の山鹿市総合体育館にAIカメラを常設し、体育館で行われるハンドボール試合映像の自動撮影および配信をおこない、AIカメラを用いたスポーツ映像配信事業の有効性を確認するものです。

なお、撮影された映像は、JHA公式ホームページ内に設置する専用ページにて、生中継映像や、過去試合のアーカイブ映像等を見ることができます。

関連ページ:ヤマガチャンネル 

関連記事:NTT西日本×日本ハンドボール協会 | 山鹿市総合体育館にAIカメラを常設、映像配信事業の実証実験を実施

【編集後記】テクノロジーでスポーツの定義が広がるか

事例を見ていくと、スポーツテックの台頭によってメジャースポーツはもちろん、マイナースポーツにも多くのチャンスが生まれつつあるのがわかります。eスポーツの潮流も忘れてはいけないところで、いよいよゲームがメジャースポーツと肩を並べるのも遠くない未来に訪れそうな予感がします。

また、5Gの普及によって高速・低遅延のネットワークが多くの人に行き渡れば、新しいスポーツの形も創出されるかもしれません。例えば、リモートでロボットを操作して勝ち負けを競う競技などもスポーツとしての側面を持ち始めるかもしれません。

スポーツが人々を魅了することはすでに実証されていますから、その可能性が広がっていくことは人々の健康のためにも、ビジネスの成長にとっても追い風になるでしょう。

TOMORUBA編集部

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Break Down AI

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