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超高齢化社会とコロナ禍ーー社会課題解決に向けて加速する【AI×医療】の共創事例

超高齢化社会とコロナ禍ーー社会課題解決に向けて加速する【AI×医療】の共創事例

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。TOMORUBAの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は常に進歩が求められる医療の領域でのAI活用にフォーカスします。日本は超高齢化社会へと向かいつつありますが、これは医療の進歩によって治せる病気が増え、寿命が伸びていることが大きな一因となっています。

これまでも早いスピードで進化してきた医療ですが、AIの登場によってそのスピードはさらに加速することが予想されます。それに加えて、高い技術力を持つベンチャーの台頭で、共創がもたらす医療への貢献度にも注目が集まります。それでは、医療の分野でどのような共創が起きているのか見ていきましょう。

市場の急成長をコロナウイルスがさらに助長

AI医療の市場はまさに急成長の只中にある状況です。2018年12月にリサーチステーションが公開した市場規模予測では、AI医療は2018年の推計21億ドルから、2025年には351億ドルにまで拡大すると記載されています。

また、調査会社Research and MarketsはAI医療が急成長をする理由について、下記を挙げています。

 1.ヘルスケアデータの量の増加

 2.データセットの複雑さの増大

 3.高まるヘルスケアコストの削減

 4.コンピューティング能力の向上とハードウェアコストの低下の増大するニーズ

 5.業界を超えたパートナーシップとコラボレーションの増加

 6.コロナウイルスのワクチン開発

6番目に挙げられているように、コロナウイルスの影響はAI医療の成長をさらに押し上げる一因となっていることがわかります。医療は社会課題の最前線でもありますから、常にホットな領域です。そんな医療分野にも共創の潮流がやってきています。

AI医療の共創事例

ここからはAI医療の共創事例を紹介していきます。

【東京医科歯科大×三井物産】AI活用で連携し歯科分野の診断・治療支援

東京医科歯科大学と三井物産は2019年2月、「オープンイノベーション組織間協定書」を締結し、AIを活用した歯科分野の診断・治療支援システムの社会実装を目的とした共同研究を開始しました。今回の両者の連携は、東京医科歯科大学が2018年度にスタートさせた産学連携プログラムである「TMDUオープンイノベーション制度」に基づいており、歯科分野では初の連携となっています。

歯科分野の診査においては、従来では歯科医師による歯や歯肉の視診、そして2次元画像データから得られる情報を組み合わせて診断することが一般的でしたが、近年これらのデータがデジタル化されたことで、AI活用が可能になりました。

東京医科歯科大学の持つ世界有数の研究能力と豊富なデータ、そして三井物産のグローバルなネットワークや総合力を生かして、今後、歯科分野でのAIを活用した診断・治療を支援するシステムの開発およびその社会実装を通じて、医療の高度化、豊かな社会の実現を目指していくとのことです。

関連記事:東京医科歯科大学と三井物産が連携、AI活用で歯科分野の診断・治療支援

【東芝×金沢大学】AIを活用した糖尿病性腎症重症化予防の共同研究を開始

金沢大学医薬保健研究域医学系の和田 隆志教授らの研究グループと、東芝、および東芝デジタルソリューションズは2019年8月、糖尿病性腎症の重症化メカニズムの解明により精密医療の実現を目指す共同研究を開始しました。

同共同研究では、東芝デジタルソリューションズのアナリティクスAI 「SATLYS」を活用することで、透析導入および重篤な合併症を引き起こす可能性がある糖尿病性腎症重症化メカニズムを解析します。さらに、リスクごとに詳細に層別化・体系化された予防法を開発することで、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上を目指すとのことです。

関連記事:東芝と金沢大学、AIを活用した糖尿病性腎症重症化予防の共同研究を開始

【シンクサイト】16.5億円の資金調達でイメージ認識型高速セルソーティング技術の研究を加速

AIによるリアルタイム細胞分離システムの研究開発を行うシンクサイトは2020年6月、未来創生2号ファンド、テクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合、芙蓉総合リースの3社から16.5億円の資金調達を行いました。なお、同社は経済産業省が認定する「J-Startup」企業の1社でもあります。

シンクサイトは独自に開発したイメージ認識型高速セルソーティング技術であるゴーストサイトメトリー技術の研究開発を推進している企業です。この技術はがんや免疫疾患を始めとする病態の解明や病気の診断などを、豊富な情報量でなおかつ早いスピードで行うことができるというもの。

新型コロナウイルス感染症に対する治療法開発にあたっても、細胞を用いた治療や細胞の形態変化を観察する創薬スクリーニング手法が試みられており、ゴーストサイトメトリー技術の活用が期待されています。

資金調達により、このイメージ認識型高速セルソーティング技術を利用した各領域における共同研究をさらに推し進め、革新的な治療や検査診断の実現を目指すとのことです。

関連記事:【AI医療の「シンクサイト」】 総額16.5億円の資金調達を完了、革新的な治療や検査診断の実現を目指す

【AIメディカルサービス】約46億円を資金調達し、内視鏡AI開発の臨床試験や海外展開を推進

AIメディカルサービスは2019年10月、グロービス・キャピタル・パートナーズ、WiL、Sony Innovation Fund by IGV等の各社が運営するファンド及び複数の事業会社等を引受先とした第三者割当増資を実施し、約46億円の資金を調達しました。

同社は消化器内視鏡分野で医療機関約80施設と共同で内視鏡AIを研究開発しており、医師による診断をAIがサポートすることで病気の見逃がし等のリスクを極限まで減らすことをミッションとしています。

この資金調達により、臨床試験の推進、パイプラインの拡充、優秀な人材の獲得、設備投資などを行い、世界初・日本発のリアルタイム内視鏡AIの開発及び薬事承認に向けた動きを加速するとのことです。

関連記事;内視鏡AI開発のAIメディカルサービス、約46億円を資金調達し臨床試験や海外展開を推進

【メドメイン】複数の病院グループなどから11億円調達を実施し病理AIソリューション「PidPort」事業を加速

病理AIソリューション「PidPort」をメドメイン株式会社は2020年8月、複数の病院グループ、ベンチャーキャピタル、事業会社、および個人投資家を引受先とする第三者割当増資を行い、約11億円の資金調達を実施しました。

今回調達した資金は、主に病理AI開発をはじめとしたソフトウェアの開発、デジタル化領域への設備投資、営業・開発体制の強化、およびマーケティング費用に投資する予定とのことです。

昨今のコロナ禍の影響もあり、デジタル病理へのシフトを目的とした同社事業やサービスについての問い合わせが増えており、提供施設数や提供領域が拡大中だといいます。

今後、病理AIの開発においては、多種の臓器・病変についての病理診断をサポートするAIの開発を進め、人工知能の特長を生かした革新的な疾患予測モデルの創出を行っていく予定となっています。

関連記事:病理AIソリューションを開発する「メドメイン」|複数の病院グループなどから、11億円の資金調達を実施

【編集後記】産官学連携で更に規模を大きくしたい領域

医療分野で共創事例が出始めていることはとても良い潮流ですが、私達の健康や寿命に関わることですから、もっともっとこの流れを加速していってほしいと期待してしまいます。

VCや大企業によるAI医療への投資はある程度波に乗ってきているようなので、次は政府や自治体も今よりもさらに共創に絡んできてほしいところです。

日本の研究開発費はもう何年も横ばいを続けていますが、高齢化社会の到来は避けられない未来なので、医療分野への積極的な研究開発費の投下が医療だけでなく、AIの未来も切り拓いてくれるはずです。

TOMORUBA編集部

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Break Down AI

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