【AI医療の「シンクサイト」】 総額16.5億円の資金調達を完了、革新的な治療や検査診断の実現を目指す
AIが駆動する次世代型の超高速・高精度なイメージ認識型のリアルタイム細胞分離システムの研究開発を行うシンクサイト株式会社は、次の3社を引受先とする第三者割当増資により、総額16.5億円の資金調達を完了したと発表した。引受先となったのは、スパークス・グループ株式会社を運営者とする「未来創生2号ファンド」、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社を運営者とする「テクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合」、芙蓉総合リース株式会社だ。なお、同社は経済産業省が認定する「J-Startup」企業の1社でもある。
資金調達の目的と背景
シンクサイトは、2016年2月の設立以降、独自に開発したイメージ認識型高速セルソーティング技術であるゴーストサイトメトリー技術(GC技術)の研究開発を行ってきた。単一細胞計測技術は、がんや免疫疾患を始めとする病態の解明や病気の診断など、生命科学研究や医療において基盤となる重要な技術であるものの、従来は単一細胞から取得する情報量と分離スピードを両立させることが困難だった。そこで、シンクサイトは革新的な高速イメージング技術と機械学習、マイクロ流体技術を融合したゴーストサイトメトリー技術を世界で初めて開発し、2018年にその成果を科学誌「Science」に発表している。
その後、再生・細胞医薬、創薬、医療検査診断の領域において、製薬企業、医療機器メーカー、研究機関等と、ゴーストサイトメトリー技術を利用した共同研究を進めてきた。新型コロナウイルス感染症に対する治療法開発にあたっても、細胞を用いた治療や細胞の形態変化を観察する創薬スクリーニング手法が試みられており、ゴーストサイトメトリー技術の活用が期待されている。
今回の資金調達により、このイメージ認識型高速セルソーティング技術を利用した各領域における共同研究をさらに推し進め、革新的な治療や検査診断の実現を目指す。同時に、事業拡大に伴い人材を拡充し、大きな需要の見込まれるアメリカ市場の事業開発も積極的に進めるという。
引受先各社のコメント
■スパークス・グループ株式会社 代表取締役副社長 深見正敏 氏
AIを活用した医療技術が日々発表され、現在は次に来るであろうAI医療のまさに黎明期の様相を呈しております。そのような中で、シンクサイト社が持つゴーストサイトメトリー技術(GC技術)は、AI、高速イメージング技術、マイクロ流体技術という先端技術を組み合わせた唯一無二のイメージ認識型高速セルソーティング技術であり、製薬・診断分野の課題解決に資する革新的な基盤技術になると確信しております。
いかなる良い治療法でも、高額すぎると患者様には十分に届きません。高い治療効果とともに高額な薬価でも話題になっているCAR-T療法は、その一例かもしれません。今後、血液がんから固形がんへと適応範囲が広がることが予測されるCAR-T療法の治療効果を高めつつ、製造コストを抑えることに貢献しうるGC技術は、がんと闘う患者様の福音となる可能性があると考えております。
新型コロナウイルス感染拡大により、今ほど医療の大事さを感じるときはございません。GC技術は創薬スクリーニング手法として新型コロナウイルスの治療法開発にも用いられる可能性があり大いに期待しております。未来創生ファンドとして、優れた治療法を生み出す基盤技術を有するシンクサイト社を全力で応援してまいります。
■伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社(ITV) パートナー 小川剛 氏
単一細胞計測にイノベーションを起こす“ゴーストサイトメトリー技術“、またその技術を開発し再生・細胞医薬、創薬及び医療検査診断の領域へと適応する優秀なチーム。シンクサイト社が実現する革新的な治療や検査診断は世界中の多くの人を助け、新型コロナウイルス感染症に代表されるような未知の疾患との闘いにも貢献し、幸せに満ちた健康な未来を創ると信じて止みません。
このような彼らのビジョンに共鳴を受け、私たちも一緒に実現に向け伴走させていただきたく出資を決めさせていただきました。投資家として同社を世界有数の企業にすべく経営支援から営業支援までトータルでサポートさせていただきます。
■芙蓉総合リース株式会社 常務執行役員 織田寛明 氏
芙蓉リースグループは、「医療・福祉」を戦略分野の一つと位置づけ、社会課題の解決を通じた事業の成長を目指しています。この度の出資を機に、 シンクサイト社 が開発する製品の導入が促進されるよう 、リースをはじめとしたファイナンスサービスやノウハウを提供し 、同社が目指すライフサイエンス及び医療の発展と革新の実現に貢献していきたいと考えています。
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