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コロナ禍で加速するか?自然言語処理AIの市場規模と共創事例を読み解く

コロナ禍で加速するか?自然言語処理AIの市場規模と共創事例を読み解く

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。eiicon labの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は人間の扱う言葉、いわゆる自然言語をコンピューターで解析する「自然言語処理(Natural Language Processing 略称:NLP)」にフォーカスをあてていきます。

コロナショック(コロナ禍)の昨今において、Zoomなどのオンラインサービスを介して人とコミュニケーションをとることが多くなりましたが、AIが解析するデータの蓄積が加速するため、この分野は想定よりも伸びが早くなるかもしれません。

それでは、自然言語処理がどのようなモノで、どのような共創事例があるのか見てみましょう。

自然言語処理の基礎知識と拡大する市場規模

自然言語処理がどのような技術なのでしょうか。前回紹介した「音声認識AI」にも似ていますが、自然言語処理は音ではなく言語に特化したものです。例えば、マイクに声を吹き込むと自動でテキストを打ち込んでくれる自動文字起こしシステムなどは音声認識AIと自然言語処理の技術を用いたものです。人間が発した声をキャッチして解析し、精度高くデータ化する処理を音声認識AIがこなし、そのデータから構造や文脈を解析・予測し、文章に変換するのが自然言語処理の仕事、というわけです。(厳密に言うともう少し複雑なフローなのですが)

調査会社のリサーチステーションが2019年12月に公開した市場調査では、自然言語処理の世界市場規模は、2019年の推計102億ドルから2024年には264億ドルへと急成長が見込まれているとのことです。

参考ページ:自然言語処理(NLP)の世界市場:用途別、ユーザー業界別2024年予測【市場調査レポート】

自然言語処理AIの共創事例

ここからは、自然言語処理を用いた共創事例を紹介していきます。

【グルーヴノーツ×農林中金】JAバンクの照会応答システムに文書検索エンジン「MAGELLAN BLOCKS」導入

福岡発AIベンチャーのグルーヴノーツは2019年11月、農林中央金庫(農林中金)を通じて、JAバンクのグループ内部の照会応答システムに、クラウドAIサービス「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」の文書検索エンジンを導入しました。

MAGELLAN BLOCKSの活用により、利用者は日常で使う自然な表現で質問を入力するだけで、自身の業務に必要な回答一覧や根拠となる関連文書をすばやく参照することが可能になります。年間3万件超のグループ内部における電話による問い合わせのデジタル化・省力化を目指すとのことです。

関連記事:農林中金 | 照会業務効率化のため、福岡発スタートアップ「グルーヴノーツ」のAIエンジンを導入

【帝国データバンク×ゼノデータ・ラボ】調査報告書を解析し未上場企業の業績を予測する「xenoBrain」

帝国データバンクと企業の業績への影響を予測するSaaSサービス「xenoBrain」(ゼノブレイン)を開発するxenodata lab.(ゼノデータ・ラボ)は2019年1月、業務提携契約を締結したと発表しました。

この取り組みによって帝国データバンクの40万社以上の豊富で信頼性の高い未上場企業調査報告書を、ゼノデータ・ラボの高度な自然言語処理技術で解析し、ゼノブレイン上の既存の解析結果と組み合わせることで、国内初となる経済ニュースによる未上場企業の業績予測することが可能になります。

また、ゼノブレインは新型コロナウイルスが63業界に及ぼす影響予測を無料で公開しています。

関連記事:帝国データバンクと企業業績予測AI提供のゼノデータ・ラボが業務提携、未上場企業の業績予測サービスを開始予定

関連ページ:将来予測AIゼノブレイン、新型コロナ感染拡大影響、63業界への影響予測を無料公開、業界別の影響予測レポートのダウンロード及び社内共有が無制限で可能

【FRONTEO×BakerHostetler】米国大手法律事務所で「KIBIT Automator」を用いて文書レビュー時間の短縮に成功

文書レビューAIを開発するFRONTEOは2019年11月、米国大手法律事務所 Baker & Hostetler LLP(BakerHostetler)の協力のもと、電子証拠開示手続きにおける人工知能を活用した文書レビューツール「KIBIT Automator」(キビットオートメーター)を用いた実証実験を実施し、eディスカバリにおいて最も費用がかかる文書レビュー時間の短縮・コスト削減という結果が得られたことを発表しました。

具体的には、KIBIT Automatorを導入することで、従来のレビューツールと比較した場合、弁護士によるレビュー対象となる文書量は20%削減、1時間あたりのレビュー文書数は91.6件と大幅にスピードアップしたそうです。作業効率が向上したことで、レビューコストの28.6%削減を実現しました。

関連記事:FRONTEO、米国でAIレビューツール「KIBIT Automator」の実証実験を実施

【フューチャーモデル×NTT東日本】AI翻訳機を災害時の外国人向けに活用する実証実験を開始

AI自動音声翻訳機「ez:commu」をはじめとしたIoTデバイスの開発を行うフューチャーモデルは、東日本電信電話(NTT東日本)と共に、神奈川県藤沢市で行う実証実験に参加しました。

実証実験は神奈川県藤沢市の協力のもと、多言語音声翻訳システムを活用し、災害時の訪日外国人、在留外国人に対する行政の対応について確認が行われました。具体的には、災害時に多言語音声翻訳システムの活用が見込まれる藤沢市役所関連施設および藤沢市内の各所において、平常時から災害発生直後、そして避難後に至るまで、どのように多言語音声翻訳システムを活用していくか、実証実験を通じて検証しました。

関連記事:AI自動音声翻訳機「ez:commu」|NTT東日本とみらい翻訳が神奈川県藤沢市で実施する、多言語音声翻訳プラットフォームの実証実験で活用

【ヤフー×三越伊勢丹】ヤフーのビッグデータ活用しトレンドと課題を抽出、女性用ロングスカートを開発

ヤフーと三越伊勢丹は2019年9月、三越伊勢丹のECブランド「arm in arm」にて、Yahoo! JAPANのビッグデータとAIを活用し、子育て中の小柄な女性向けのロングスカートを開発し「arm in arm」のECサイトにて発売を開始しました。

「Yahoo!検索」の検索キーワードや「Yahoo!知恵袋」の質問書き込みといったビッグデータを統計化した上でディープラーニングや自然言語処理といったAI技術により解析し、ターゲットユーザーのトレンドや課題を抽出しました。その結果、小柄な女性のロングスカートへの関心が高いことなどのインサイトを得て、商品開発に役立てています。

関連記事:ヤフー×三越伊勢丹 | ビッグデータとAIを活用し子育てママ向けのファッションアイテムを開発、9月下旬より販売開始

【編集後記】非常時にも、高度な専門職にも重宝される技術

自然言語処理がビジネスシーンでどのように活用されているかを見ると、あらゆる場面で重宝されていることがわかります。

まず、災害時での翻訳機能などを筆頭に、非常時に役立つことは間違いありませんし、自然言語処理がインフラの土台を支える一部となることは疑いようがないでしょう。

さらに、市場予測や法的書類のレビューをサポートすることもできます。高度な専門性が必要とされる現場の効率が劇的に改善されるということは、ただでさえ生産性の高い職種がさらに生産性が上がるということです。

自然言語処理は、暮らしの下支えと、生産性の向上の両面をブーストさせる強力な要素だと言えるでしょう。

(eiicon編集部)

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