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英語やプログラミングより投資価値の高いスキルとは?(3/3) 

企業人事目線で見る 英語やプログラミングより投資価値の高いスキルとは?(3/3) 

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安部敏樹

みなさん、こんにちは。「社会の無関心を打破する」リディラバの安部です。

前回のブログでは大企業が社会課題に取り組むことについて書きました。大企業はスピードではスタートアップにかなわないので、「行政との官民連携」や「ベンチャーが課題認知しにくい領域」で勝負すべき。それって社会課題だよね、という結論でした。

でも、社会課題の現場には、企業・行政・課題当事者…と、それぞれに異なる論理をもったステークホルダーが存在するため、そこへ大企業の傘を着て入っていったところで、合意形成は一筋縄ではいきません。それならば、大企業の中に、社会課題を解決するプロジェクトを推進できるリーダーを育てるプログラムを作ろう!とリディラバが立ち上げたのが「FieldAcademy(フィールドアカデミー)」です。

フィールドアカデミーを立ち上げるきっかけは、経済産業省から「社会課題の可視化・解決に向けた人材育成」について相談を受けるようになったことです。リディラバはこれまで社会課題の解決をビジネス化する事業を行ってきました。じゃあ次はもう一つ視野を広げて、リディラバの持つノウハウを人材育成に活かせるじゃないかと思ったんです。

前述したように、大企業が社会課題に取り組むにあたっての壁はステークホルダーの多さだったり、合意形成の難しさだったりします。さらに、リーダーや担当者が主体性を持ってプロジェクトを推進する必要もあります。しかしながら大企業の中にはこういった人材が少ないのが現状です。

これは社会課題に限らず新規事業全般に言えることで、定型化されていない業務を自分で立ち上げて前に進めるスキルを身に付けることって、シンプルに投資価値が高いですよね。

投資価値の高いスキルとして英語をイメージする人は多いと思います。でも、10年後には「ほんやくコンニャク」的なものが発明される可能性は高いですし、イヤホンを耳にしながらGoogle翻訳が同時通訳するなんてことも近い将来に実現するでしょう。英語は大事ですけど、英語にだけ投資するってのは実は回収効率があまり良くないんです。

ではプログラミングはどうでしょうか。プログラミング言語の技術の変遷はとても早いので、一つ言語を習得しても5年くらい経つと別の技術が台頭してくる。昔は研究室でMATLABでやっていたものが今ではPythonでできちゃう。そうしたら次はPythonを一から勉強するのか…となる(Pythonは勉強した方がいいと思いますが笑)。つまりプログラミング言語をに投資をしても、回収期間は5年くらいで終わってしまうのです。

一方で、主体性を持って課題設定をして合意形成して、周囲を巻き込みながらプロジェクトを推進するスキルって、おそらく10年後も20年後も変わらず必要になってくるはずです。となると投資効率がいいよね、となる。そういう研修プログラムは今までになかったので、経産省とリディラバで考えた結果出来上がったのがフィールドアカデミーなんです。

人材育成も重要ですが、大企業においてもうひとつ重要な要素があります。それは企業と個人のエンゲージメントです。高度経済成長の頃って、経済成長に寄与することこそ個人の幸せとされてきました。でもここ30年、日本はほとんど経済成長していない。じゃあ個人の幸せってなんなのか、本当にやりたいことはなんなのか、という話になるんです。なので、これからは企業の目標と社員の個人的な目標をすり合わせることでエンゲージメントを保つことが重要になります。

そんな時に社会課題ってちょうどいいんです。解決するとかならず誰かが喜ぶので、自分もハッピーになれる。社会課題の解決を個人の目標に設定して、会社という資源を通して自分の力を増幅させて問題に関わるのが健全な形です。多くの場合、「会社」と「社会」って離れていて、「社会」と「個人」の間に「会社」が入っていけてない。そうなると離職が増える原因にもなります。

フィールドアカデミーの受講生の中には、実はスタート時に離職意向がある人も結構いるのですが、研修を進めていくと、むしろこれからも今の会社で頑張っていこう、という考えに変わる人がいることに気付き始めました。というのは、個人の無力さをあらためて実感できるからなのかなと思っています。「会社」という組織がもつアセットを振りかざさないと社会課題は解決できないことを理解して、会社の仕事に向き合う覚悟を持ってくれる、そういう変化を目の当たりにしてきました。

そういう意味でも、「会社の価値」の重要性が再浮上しつつあります。採用でも、「会社」の社会性をちゃんと発信しないと良い人材を獲得できなくなっています。社会課題を事業化する理由を社員にしっかり説明して、エンゲージメントを保つ、そして人材育成にも投資する。それがこれからの組織の正しい姿だと思っています。

私たちリディラバも、投資価値の高い人材育成の取り組みを深めるべく、今後も全国各地で「フィールドアカデミー」を展開していきます!

安部敏樹株式会社Ridilover(リディラバ)

2007年東京大学入学。大学在学中の2009年に社会問題をツアーにして発信・共有するプラットフォームRidilover(リディラバ)を設立。総務省起業家甲子園日本一、KDDI∞ラボ第5期最優秀賞など受賞多数。第2回若者旅行を応援する取組表彰において観光庁長官賞(最優秀賞)を受賞。2007年東京大学入学。大学在学中の2009年に社会問題をツアーにして発信・共有するプラットフォームRidilover(リディラバ)を設立。総務省起業家甲子園日本一、KDDI∞ラボ第5期最優秀賞など受賞多数。第2回若者旅行を応援する取組表彰において観光庁長官賞(最優秀賞)を受賞。

株式会社Ridilover(リディラバ)

代表

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