GHG(温室効果ガス)排出量可視化の「ゼロボード」 | 総合商社含むパートナー5社とタイでの脱炭素経営支援を開始
株式会社ゼロボードは、長瀬産業株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、豊田通商株式会社、三菱商事株式会社、住友商事株式会社のパートナー5社とともに、将来的なアジア全土における脱炭素経営支援を目指し、まずはタイへの展開を開始することを発表した。
ゼロボードは企業、自治体向けにGHG(温室効果ガス)排出量算定・可視化クラウドサービス「zeroboard(ゼロボード)」を開発・提供しており、上場企業を中心に約1,800社に利用されている。「zeroboard」は、自社の活動によるGHG排出量(Scope1・2)と自社以外のサプライチェーン排出量(Scope3)の算定が可能だ。特に、Scope3の算定では、環境省等が公表している標準値だけでなく、一次データ(サプライヤの実績値)を収集することで、サプライヤの排出量削減努力を算定値に反映し、サプライチェーン全体の削減につなげていけることが強みだ。
脱炭素化へ向けた動きがグローバルに加速する中、上場企業においては、財務諸表とならび気候関連財務情報(リスク・機会分析やGHG排出量の指標等)の開示と具体的な対応策の提示が求められる。かねてより国内拠点の省エネ化に取り組んできた大手企業が、さらに排出量を削減するには、取り組み余地が残されているサプライチェーン上の取引先または海外製造拠点の脱炭素化を進めることが肝要であり、その排出量の可視化について、多くの問合せが寄せられているそうだ。
このような背景から、今回、海外製造拠点、海外サプライチェーンとの取引が多く、脱炭素を目指すパートナー5社とともに、アジアでの脱炭素経営支援を開始することとなった。ゼロボードによる企業のGHG排出量算定を皮切りに、長瀬産業、豊田通商、三菱商事そして住友商事と協力しつつ、アジア製造業サプライチェーンの脱炭素実現に貢献していく。また、三菱UFJ銀行は削減の実行支援のためのサステナブルファイナンスのソリューション等を提供する。
ゼロボードでは、アジア展開の第一弾として、日本企業が多くの製造拠点を構えるタイへの進出に向け、以下の機能を実装した。
多言語対応:タイ語版の実装
アジア拠点やグループ企業、サプライチェーン、および非日本語ユーザによる算定作業のため、タイ語版を2022年8月24日(水)に実装。本年4月には英語版を実装済みで、さらなる多言語対応も予定している。
▼タイ語版ダッシュボードイメージ
◉排出原単位のカスタマイズ機能
同社では、環境省の公表する産業連関表データベースに加え、海外主要国の排出原単位について、各国政府が公表している排出原単位の自社調査と、主要な海外原単位データベースのライセンシー契約により、すでにユーザへの提供を開始している。また、「zeroboard」ユーザは、自身が保有する外部排出原単位データベースをインポートし利用することも可能だ。
ゼロボードは2022年9月14日(水)からタイのバンコクで開催される「ASEAN SUSTAINABLE ENERGY WEEK 2022」に「zeroboard」を出展する。これを機に、今後国内外の企業との連携の輪をさらに拡大し、パートナー企業と共にグローバルに脱炭素化を推進していく考えだ。
各社のコメント
■長瀬産業株式会社 代表取締役社長 朝倉 研二 氏
『このたび、脱炭素化ニーズが高まるアジア地域でゼロボード社との新たな展開が始まることを大変嬉しく思います。長瀬産業は、同エリアにおいて長年に渡り事業を展開しており、化学品や合成樹脂等の素材販売を中心として、幅広いサプライチェーンと強固な関係を維持しています。zeroboardの普及を通じて、現地企業の脱炭素経営の支援を担い、新たな価値を提供して参ります。』
■株式会社三菱UFJ銀行 常務執行役員 ソリューション本部長 大嶋 幸一郎 氏
『弊行は、現在、200社を超える国内の法人のお客さまに対し、ゼロボードのご紹介を通じた脱炭素経営の支援をさせていただいております。
弊行のグローバルネットワークを活用しながら、ゼロボード及びパートナーの皆さまと協働でGHG排出量の可視化を起点とする各サービスを国内からアジアに広げることで、2050年までのカーボンニュートラル達成およびアジアのお客さまの脱炭素経営のサポートに取り組んでまいります。』
■豊田通商株式会社 副社長 今井 斗志光 氏
『GHG排出量算定・可視化のプラットフォーマーとして業界をリードするゼロボード社とタイ進出を皮切りにアジア展開でも協業できることを大変嬉しく思います。
アジアの中でもタイは当社にとっても、自動車業界を中心に多数のお客様がいらっしゃる重要な地域であり、GHG排出量の可視化および削減のニーズは急速に増しております。
ゼロボード社の算定・可視化プラットフォームと当社の様々な削減ソリューションを組み合わせることで、アジアにおいてもお客様のカーボンニュートラル実現に貢献し、未来の子供たちへより良い地球環境を届けるべく、リーディングサーキュラーエコノミープロバイダーとしての歩みを進めて参ります。』
■三菱商事株式会社 自動車・モビリティグループ/モビリティ事業本部長 髙井 直哉 氏
『今後、低・脱炭素化の加速が予想されるアジア地域に於いて、GHG排出量の算定・可視化クラウドサービスのフロントランナーであるゼロボード社が、タイを皮切りにアジアでの脱炭素化経営支援への取組みを開始することは大変意義深い事と感じております。三菱商事としては、アジアでの長年に亘る製造業サプライチェーンの知見を活かしゼロボード社をサポートすることを通じて、アジアでの低・脱炭素社会の実現に寄与したいと思っております。』
■住友商事株式会社 代表取締役 副社長執行役員 CDO 南部 智一 氏
『当社は、2022年4月から、温室効果ガス(以下「GHG」)排出量算出・可視化、GX戦略ロードマップを策定するGreen Transformation実現支援サービス「GXコンシェルジュ」の提供を開始しており、GHG排出量算出・可視化についてパートナー企業であるゼロボード社と協働しております。
今回ゼロボード社とアジア展開についても協働することで、日本国内のみならずグローバルでの社会のカーボンニュートラル化に貢献していきます。』
■株式会社ゼロボード 代表取締役 渡慶次 道隆 氏
『脱炭素社会へ向けた対応が、覇権争いとも言える地域間・企業間の競争になりつつある今、「ものづくり」の世界で日本企業がプレゼンスを発揮し続けるためには、日本発の「zeroboard」が、サプライチェーン排出量算定プラットフォームとしてグローバルなデファクト・スタンダードとなることが非常に重要だと考えています。今回、日本を代表する企業の皆様と連携し、タイを皮切りにアジア展開を目指していけることを大変嬉しく思うとともに、その担うべき重責を考えると身が引き締まる思いでおります。当社は、本提携を契機に、脱炭素社会の実現に貢献すべくさらに力強く成長してまいります。』
zeroboardについて
「zeroboard」は、企業活動やそのサプライチェーン由来のGHG(温室効果ガス)排出量を、国際基準であるGHGプロトコル(※1)に基づき、算定・可視化できるクラウドサービスだ。企業活動やそのサプライチェーン由来のGHG(温室効果ガス)排出量を、国際基準であるGHGプロトコル(※1)に基づき、算定・可視化できる。
▼GHGプロトコルにおけるScope1・2・3の分類
・膨大なデータ処理が必要なサプライチェーン排出量(Scope1-3(※2))や製品ごとの排出量の算定
・視認性の高いダッシュボードによる排出量の削減管理やコスト対効果のシミュレーション機能
・GHGプロトコル等の国際的な開示形式に加え、国内の各種環境法令の報告形式にも対応したアウトプット
・専門的な知識を必要としないユーザーフレンドリーな操作性
・国際審査・認証機関がシステムの妥当性を保証済み(ISO14064-3(※3)に準拠した検証)
(※1):GHGの排出量の算定と報告の国際基準
(※2):事業者によるGHG排出量の算定・報告対象範囲の区分
(Scope1:自社の事業活動における直接的なGHG排出、Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用により発生する間接的なGHG排出、Scope3:上記以外の事業活動に関わるサプライチェーンのGHG排出)
(※3):国際標準化機構(ISO)が定めたGHGに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様・手引き
※関連リンク:プレスリリース