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介護の枠を超え、元気な「アフター60」に向けた生き方支援の新規事業に挑むツクイホールディングス。共創で目指すこれからの新しいシニアの生き方提案とは?【BAK NEWNORMAL PROJECT 2022】

介護の枠を超え、元気な「アフター60」に向けた生き方支援の新規事業に挑むツクイホールディングス。共創で目指すこれからの新しいシニアの生き方提案とは?【BAK NEWNORMAL PROJECT 2022】

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「人生100年時代」「ライフ・シフト」といった言葉が広く語られるようになって久しい。アフター60(シックスティ)の長い年月を、単なる余生としてではなく、積極的に暮らしを楽しむ日々とすべきだという考え方は、もはや常識になりつつある。

株式会社ツクイホールディングス(以下、「当社」)は、「介護のツクイ」として、全国で介護施設を展開し、多くのシニアたちをサポートしてきた大手介護事業者だ。だからこそ、人生100年時代において、アフター60を充実させて過ごすことの重要性を誰よりも熟知している。

そのなかで、これまで培ってきた介護事業を中核としながら、その枠を超えて、シニア層の充実した生き方を支援する取り組みの事業展開を進めている。そのための拠点として、2021年12月、さまざまなイベントや事業実験が可能なスペース、ミライ想造ラボ「ミラボ」を神奈川県横浜市の弘明寺駅近くにオープンした。

今回、これらの取り組みをさらに推し進めるために、神奈川県主催の「ビジネスアクセラレーターかながわ(通称:BAK(バク))」に参画し、アフター60世代への新たな事業提案を共に進めるパートナー企業を募集する。同社イノベーション推進室課長の真崎絢子氏、同主任の湯原絵里子氏に、「BAK」参画への意気込みや募集テーマ、共創パートナーへのメッセージなどをうかがった。


【写真左】株式会社ツクイホールディングス イノベーション推進室 課長 真崎絢子 氏

【写真右】株式会社ツクイホールディングス イノベーション推進室 主任 湯原絵里子 氏

日本でトップ5に入る大手介護事業者が、イノベーションに取り組む理由

――御社は、日本では5本の指に入るトップクラスの介護事業者です。その御社において、イノベーション推進室が起ち上げられた経緯から教えてください。

真崎氏 : 私たちはもともと、株式会社ツクイとして介護事業を中核事業としながら業容拡大し、2020年に組織再編を行い、現在はツクイグループとして株式会社ツクイホールディングスが子会社6社を有し、介護を要としたさまざまな事業展開を進めています。

一方、「人生100年時代」といわれる昨今、高齢化が進み、元気なお年寄りが年々増えています。アフター60(シックスティ)をシニア期とするなら、その前半期から中盤まで、多くの方はとてもお元気かつアクティブで、充実した日々を過ごして人生の幅を広げたいと考えていらっしゃる方が多いです。私たちにも、そういったお客様からのご要望が寄せられることが多々ありました。

しかし、従来からの「介護事業」という枠組みの中では、制度的な規制もあり、そのようなお元気なシニアの皆さまの生活を充実させるサービスや、介護の予防支援などに取り組むことが積極的にできない状況でした。

そこで、介護以外の事業にも本格的に取り組めるように、まずグループ体制への組織再編がおこなわれ、そのうえで、グループ内での新規事業を担当する部署としてグループ戦略室(現イノベーション推進室)が起ち上げられました。

――イノベーション推進室では、具体的にはどんな業務をなさっているのでしょうか。

湯原氏 : 1つは、グループ全体の、外部企業との連絡窓口の役割です。私たちは多くの企業との共創を進め、グループシナジーを最大化するため、窓口を集約しました。そしてもう1つが、今年の1月にグランドオープンした「ミライ想造ラボ」の運営管理など、新規事業への取り組みです。

――今回、BAKに参画されたきっかけはなんだったのでしょうか。

真崎氏 : もともと、ツクイグループに株式会社ツクイキャピタルと言う会社があり、「ツクイ・ケアテック」という介護・福祉・医療領域に特化したベンチャーキャピタル・ファンドを運営しています。現在まで8社のベンチャーへ投資を実現しており、投資のみならず、ツクイグループとのオープンイノベーションにも取り組んでいます。

そうした背景があり、以前からAUBAさんには情報を掲載させてもらっていました。ただ、自社での募集には限界があり、広くパートナー企業を集めて協業の幅を広げることが難しいと感じていたのです。

そんなタイミングで、今回「BAK」を知り、多くの企業と出会う絶好の機会だと思い参画を実現しました。


アフター60の長い年月を「幸福」に過ごすための支援がミッション

――今回募集されるテーマとして「アフター60の1人ひとりにあった自分らしい“生き方”を支援する仕組み構築」が大枠としてあり、「自立した暮らしの実現」「社会性を持った支援」「シニア視点に立つリサーチ」の各項目が設定されています。これらのテーマ設定の背景や目的を教えてください。

真崎氏 : 人生100年時代とはいっても、シニアが社会から孤立して悩んだり、病気に苦しんだりする状態が長く続くことは、決して望ましいことではないと思います。

そこで私たちツクイグループはミッションとして、「人生100年を幸福に過ごす時代を創る」を掲げています。そこには、シニア層の心と体の健康を保つことはもちろん、なるべく長く住み慣れた住まいで暮らすことや、地域や社会とのかかわりを持ちながら自分らしく充実した生き方を追求することも含まれます。

しかし私たちは、長らく介護保険の枠内での事業を中心におこなってきたため、そういった面での事業についての経験値は高くありません。そこで、私たちが経験のある介護分野以外の面で、シニアの生き方をサポートする事業をお手伝いしていただきたいというのが、募集の趣旨です。

湯原氏 : ミライ想造ラボ「ミラボ」も、ラボ(LABO)=研究室という名前からもわかるように、私たちがこれまで経験のなかったさまざまな事業のチャレンジやリサーチなどをおこなうために設けられました。

実は、介護事業を専門としている私たちには、以前から、シニア層の行動や興味などに関する調査の依頼や、介護系の企業から協業の申し出などはありました。ただ、それを事業所単位で引き受けることは難しくて、先に進められないことがありました。

そこで、それらを引き受けて実行する場であり、地元の方たちに実際に集まっていただける場としてミラボをオープンしました。つまり、ミラボは自社サービスの開発を行ったりパートナー企業の開発協力を行ったりする研究所であり、シンクタンクであり、また、情報提供スペースでもあるのです。


▲ミライ想造ラボには、試飲・試食ができる開発商品のモニタースペース「コミュニティカフェ」や「多目的ホール」などが完備されている。(画像出典:プレスリリース

――具体的には、ミラボではどんなことがおこなわれているのですか。

湯原氏 : 今年の1月にグランドオープンイベントを開催し、様々な企業さまにご協力いただきました。たとえば、昨年度のオープンイノベーションイベントにエントリーいただいた企業様に遠隔操作アバターロボットを操作してもらう体験会の実施、他にも、利用させていただいておりますAUBAからの応募でご縁があって繋がった方が、口笛の世界大会に出場されており、オーラルフレイル予防の一環として口笛体験会を開きました。

また、オンライン歯科のサービスを開発している企業様にご協力いただき、ミラボでオンライン歯科の体験もおこないました。専用のミラーで口内を撮影して送信すると、歯科医師から指導してもらえるという仕組みです。

「写真が撮りにくい」「問診票の文字が見にくい」など、ミラボ体験者の生の声を取り入れて、現在改良中だと伺っています。まさに、サポーターと協力企業とミラボが一体となってサービス開発に取り組んだ実績例となります。

一過性では終わらせたくない。介護の枠を超え、地域貢献や循環型社会を目指す共創に取り組みたい

――今回のBAKを通じた募集では、どんな共創相手を求めていますか。

真崎氏 : 私たちイノベーション推進室やミラボは、研究シンクタンク的な機能と、もう1つ、大人のテーマパーク的に楽しめる場やサービスを提供する役割の、2軸を追求したいと考えています。

今回のBAKでは、後者のテーマパーク的に楽しめる、いわば「シニア版キッザニア」のような場が作れたら嬉しいですね。そんなサービスを創るお手伝いをしていただける企業様にたくさん集まっていただきたいと考えています。

湯原氏 : やはり「介護のツクイ」のイメージが強いので、これまではどうしても介護に関連した共創が中心でした。私たち自身も、これまでの介護事業者としての経験や知識があるために、良くも悪くも介護事業者としての視線でのシニアに対する見方の枠から抜け出せないところがあります。

今回はそこからあえて外れて、私たちには思いもつかないような、シニアが楽しく、自分らしく暮らすための共創アイディアを求めたいと思います。

真崎氏 : もう1つ付け加えるなら、今回は「在宅」ということも1つのテーマに据えているので、オフラインのみならず、オンラインの企画も求めたいと考えています。これは、体が不自由になって外出が困難になっても、自宅から参加したり、オンラインで暮らしをサポートできるものを期待しています。

――たとえば、どんな技術やリソースを持っている企業が望ましいとイメージはありますか?

湯原氏 : 私たちには思いつかないような、意外性のある企業様に応募いただきたいという気持ちもあります。いま思ったのは、畑とか、古民家とか、あるいは最近のコロナで空いているホテルだとか、そういう場をお持ちの企業様だと、いろいろご活用いただけるかもしれません。

そうしたリソースを活用させていただくことで地域に貢献し、循環型社会の一助になる共創にも着手してみたいですね。


――逆に、共創パートナーに対して、御社からご提供いただけるリソースやアセットにはどのようなものがあるでしょうか。

湯原氏 : まず、介護業界トップである全国約500ヶ所のデイサービス事業所と、そこで毎日実際にシニアに触れている約2万人のスタッフがいることです。

また、デイサービスは月間4万5000人を超えるお客様にご利用いただいています。それらの事業所の協力を得ることができます。事業所は全国に展開しており、都市部にも郊外にもありますので、たとえば事業所でなにか検証をする場合、全国どこでも実施可能です。

真崎氏 : 付け加えると、各事業所には送迎車を備えています。朝晩の送迎には利用していますが昼間の間は基本的に使われていません。これらの車もなにか使っていただけるかもしれません。もちろん、車を停める駐車スペースもあります。

それから、先ほどから出ているミラボも、もちろん使っていただけます。ミラボは、カフェスペースは30名ほど、ホールが16名ほどのスペースで、机を移動し自由に利用いただけます。

――では最後に、今回のプログラムへの期待や、応募を検討される企業へのメッセージなどがありましたらお願いします。

湯原氏 : 単に楽しんで終わりではなく、たとえば、その地域になにか貢献できるような、地域社会との接点を持った仕組みができればさまざまな可能性も広がると思います。

高齢者、とくに単身の方は社会との接点が少なくなりがちで、それが心身の健康の衰えにも結びつきやすくなります。今回のプログラムを通じて私たちが実現したいテーマパーク型のサービスなどでも楽しんでもらうことに加えて、少しでも社会貢献、あるいは貢献までいかなくても、社会とのつながりに結びつく内容があれば、生きがいにもつながり、ひいては、介護の前段階の未病やフレイルと呼ばれる状態になることも防げるのではないかと思います。

真崎氏 : 先ほどの繰り返しになりますが「介護」のイメージにとらわれない、さらにいえば、これまで一般的に持たれてきた「シニア」のイメージにもとらわれない、自由な発想がたくさん集まれば嬉しいですね。シニアの皆さんをびっくりさせて、笑顔になってもらえるようなアイディアを楽しみにしています。


取材後記

介護会社グループのシニアサポートビジネスと聞けば、どうしても「安全」や「守る」といった言葉が想起される。しかし、今回のプログラムでは、シニア層が「自分らしく楽しむ」ことを中心に、よりポジティブな姿勢のアイディアが求められている。

今回のプログラムから生まれた共創により、アクティブに人生を謳歌するシニア層が増えれば、ご本人にとっての幸福だけではなく、その人たちが生活者、消費者として積極的に地域社会へ参加し続けることで、社会全体の活力増大にもつながるだろう。今後の大きな発展が期待できる共創分野でもあり、積極的な応募を期待したい。

●「BAK NEW NOMAL PROJECT 2022」の詳細についてはこちら(最終応募締切:7/11まで)


(編集・取材:眞田幸剛、文:椎原よしき、撮影:加藤武俊)

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ビジネスアクセラレーターかながわ、通称BAK(バク)。新型コロナウイルスの感染拡大により、顕在化した様々な課題を神奈川県の企業とベンチャー企業との共創で解決を目指すためのプロジェクトです。今年もパートナー企業大手6社が出揃い、オープンイノベーションに取り組む背景や課題、募集テーマや共創パートナーに伝えたい熱いメッセージをお聞きしました。