DNPの新規事業プログラムから出向起業型カーブアウト第1号として「DigKnow」設立ーードキュメントづくりの負担をAIで解消するクラウドサービスを開発
大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、社員が在籍したまま社外資本を受けて起業できる「出向起業型カーブアウト」制度を活用し、その第1号案件となる新会社DigKnow株式会社が2025年10月に設立されたと発表した。DNP の新規事業プログラム「OneABスタジオ」から生まれた初のスピンアウト企業であり、社員自身が資金調達を実施して立ち上げに至ったケースは社内でも初めてとなる。
社員が在籍したまま起業できる“新しいキャリアモデル”
DNPは2024年より、新規事業開発プログラム「OneABスタジオ」を通じて、社員のアイデア起点による事業創造を支援してきた。実証環境の整備や外部パートナーとの共創、事業開発スキル向上の機会を提供し、多様なテーマの創出を後押ししている。その出口戦略として導入したのが「出向起業型カーブアウト」だ。
この仕組みでは、社員がDNPに籍を残したまま自己資本を投じて起業し、外部VCなどから追加資金を調達しながら独立経営に挑戦できる。DNPもパートナー企業として出資・事業支援を行う。社員にとっては安定した環境のもとで経営経験を積めるメリットがあり、DNPにとっても“社外で学び社内へ還元する”循環型のイノベーション創出につながる。
「仕様が分からないコードが残る」課題をAIで解消
DigKnowが開発するのは、ソースコードの変更をAIが自動検知し、設計書や仕様書などの技術ドキュメントを自動生成・更新するクラウドサービス「Codeledge(コードレッジ)」だ。
システム開発現場では、スケジュール逼迫や仕様変更の連続により、ドキュメント更新が後回しになることは少なくない。その結果、コードと仕様書が乖離し、「誰も仕様を理解できない」状態が発生する。また、AIによる自動コーディングが普及するにつれ、“人がコードを理解できない”という新たな問題も顕在化しつつある。
Codeledgeは、これらの課題を解決するために生まれた。AIがコード変更を常時監視し、最新の技術ドキュメントへ自動反映させることで、属人的な開発環境を解消。「理解コスト」の削減に寄与し、開発スピードと品質の両立を実現する。非エンジニアでも仕様を把握できるようにすることで、企業のDX推進にも寄与する。
今後の展開 “挑戦する社員”を増やす仕組みに
DigKnowのCEO 伊藤悠一氏は、「エンジニアとして長年感じてきた“ドキュメントづくりの負荷”をAIでもっと楽にしたい。この想いを社会実装するために、スピード感を持って挑戦できるのが出向起業型カーブアウトでした。社内外の支援を受けながら、より豊かな社会づくりに貢献していきたい」と語っている。DNPは今後も出向起業型カーブアウト制度を推進し、「OneABスタジオ」を中核とした新規事業開発の裾野拡大に取り組む。社員一人ひとりが自らのアイデアをもとに社会課題解決へ挑戦できる環境を整備し、持続的な企業変革と新規事業創出を目指す方針だ。
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(TOMORUBA編集部)