アグリテックスタートアップ TOWING、我孫子市と「地産地消の強靭化」に向けた連携協定を締結――関東初の自治体連携で「宙炭(そらたん)」の普及を加速
サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会の実現を目指す株式会社TOWINGは、2025年9月1日、千葉県我孫子市と「地産地消の強靭化に向けた連携協定」を締結した。TOWINGが関東圏の自治体と連携するのは今回が初となる。本協定は、我孫子市が掲げる「あびこエコ農業推進基本計画」に基づき、環境保全・再生型農業およびスマート農業の推進を通じて、みどりの食料システム戦略を実践し、地産地消の強靭化を目指すものだ。
協定では、TOWINGが開発した高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の活用を軸に、環境負荷を低減しながら地域の農業基盤を強化する取り組みを展開。市内農家や教育現場との連携を図り、地域全体での循環型農業の実現を目指す。
宙炭(そらたん)を活用した7つの連携項目
今回の協定において、TOWINGと我孫子市は以下の7項目で連携・協力を行う。
高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の普及
みどり認定数の増加促進
環境保全型農業を含む農業技術・知識の向上
食育分野への応用
水田二毛作への新規取り組み
宙炭を活用した農地整備・耕作条件の改善
宙炭製造プラント設置に向けた検討
特に注目されるのは、宙炭の製造プラント設置を視野に入れた項目だ。地域内でのバイオマス資源を活用した炭の地産地消体制を整えることで、物流コスト削減や地域経済の活性化も期待されている。TOWINGはこの協定を関東展開の足がかりとし、今後さらに普及を広げていく方針を示している。
宙炭(そらたん)とは──土壌改善と脱炭素を両立する革新的資材
「宙炭」は、TOWING独自のバイオ炭前処理技術と微生物培養技術に、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の技術を融合させて開発された農業資材だ。
土壌中の微生物活性を高め、肥料の吸収効率を改善することで化学肥料の使用量を削減し、有機転換を促進する。また、作物の品質・収量を向上させるため、農業経営の安定化にも寄与する。
さらに、地域で発生する未利用バイオマスを炭化・再利用することで、農地への炭素固定を実現。温室効果ガス削減にも貢献する“カーボン・ネガティブ”な技術として、国内外から注目を集めている。
宇宙農業にも挑むTOWINGのビジョン
TOWINGは「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会の実現」を掲げ、2020年に名古屋大学発のグリーン&アグリテックスタートアップとして創業。宙炭を活用した地上農業だけでなく、内閣府の宇宙開発利用加速化プログラム(スターダストプログラム)にも参画し、月面農業の研究開発にも取り組んでいる。
同社は農林水産省「みどりの食料システム法」基盤確立認定事業者としても認定されており、2024年には農林水産省の「中小企業イノベーション創出推進基金事業(SBIR)」フェーズ3にも採択。科学的根拠に基づいた技術で、環境再生と食料生産の両立を実現するモデルを築いている。
地域循環型社会の実現へ、関東展開を本格化
今回の我孫子市との協定は、TOWINGにとって関東での事業拡大に向けた重要な一歩となる。地域資源の循環と炭素固定を両立する宙炭の技術は、地球環境課題の解決と農業の持続可能性向上を同時に実現する鍵を握る。
TOWINGは今後、他の自治体や農業団体との連携を進め、地域に根ざした“宙炭モデル”の確立を目指す考えだ。
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(TOMORUBA編集部)