
京都大学発のディープテックスタートアップのOOYOO、境港バイオマス発電所でCO₂回収の実証実験を開始 分離膜技術で「カーボンネガティブ」発電へ
京都大学発のディープテックスタートアップ、株式会社OOYOOは株式会社東京エネシスおよび同社100%出資子会社である合同会社境港エネルギーパワーと連携し、鳥取県境港市の境港バイオマス発電所においてCO₂回収に関する実証実験を開始した。実証では、OOYOO独自開発の高性能分離膜を用い、同発電所の燃焼排ガスから年間約10トンのCO₂を回収する。
バイオマス発電を「カーボンネガティブ」へ
バイオマス発電は、再生可能資源を燃料とすることからカーボンニュートラルとされているが、OOYOOの分離膜技術を用いることで燃焼排ガス中のCO₂を効率的に回収でき、実質的に大気中のCO₂を減少させる「カーボンネガティブ」な発電が可能となる。OOYOOは今回の実証を、CO₂回収技術の社会実装に向けた重要なマイルストーンと位置づけている。
分離膜技術の優位性
OOYOOの分離膜技術は、従来のアミン吸収法と比べてエネルギー消費が少なく、設備構成がシンプルで経済性に優れる。また、装置は小型化・モジュール化が可能で、中小規模プラントへの導入に適している一方で高いスケーラビリティを備えており、大規模産業施設への展開も視野に入れている。今回の実証は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」の支援を受けて実施。燃焼排ガス条件や膜性能、運転安定性を検証し、商用展開に向けた基礎データを取得する。

今後の展望と事業拡大
OOYOOは、国内外のバイオマス発電所のみならず、CO₂排出が課題となるさまざまな産業分野への技術展開を進める。2026年度初頭には小規模システム(〜100kg-CO₂/日回収)の初期モデルを提供予定で、同年中には中規模システム(〜10t-CO₂/日回収)の開発および実証実験も計画している。加えて、化学・エネルギー関連事業会社との実証実験を通じ、技術検証とスケールアップを推進していく。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)