
JR東日本スタートアップと、一次産業に特化した支援企業として人材支援サービスを行うYUIMEが資本業務提携
JR東日本のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるJR東日本スタートアップ株式会社と、農業人材支援の分野で革新的な取り組みを行うYUIME株式会社は、東日本エリアの一次産業を活性化させることを目的に、資本業務提携を締結した。地域課題の一つである慢性的な労働力不足に対し、特定技能外国人の活用を軸に、農業・漁業の現場に新たな労働力モデルを提案する。
異業種連携で地域を支えるモデルの構築
両社はすでに、JR東日本が主催する「JR東日本スタートアッププログラム2023秋」において、実証実験を実施。特定技能外国人を農業と漁業の双方に派遣することで、地域内での労働力循環を実現する「地域内循環モデル」に取り組んでいる。特に注目されたのが、農業と漁業の“ダブルライセンス”を有する外国人材の活用であり、季節によって繁忙期が異なる一次産業の特徴を踏まえた、合理的かつ持続可能な人材配置の実現が期待されている。
このモデルは、JR東日本グループの「JRフルーツパーク仙台あらはま」や「JRとまとランドいわきファーム」などの現場で成果を上げており、単なる人材供給にとどまらず、地域資源の保全や観光資源の維持にもつながる包括的な取り組みへと発展している。
日本の一次産業を“世界基準”へ――YUIMEの挑戦
今回提携を結んだYUIMEは、2012年に設立された一次産業人材支援のパイオニア企業だ。「日本の一次産業を、世界の一次産業にアップデートする。」というビジョンのもと、日本人だけでなく外国人材の雇用支援を通じて、農業の未来を切り拓いてきた。特に特定技能人材の短期派遣・長期紹介の両面に対応する柔軟な支援体制や、自社試験農場を活用したナレッジ提供などが強みであり、単なる人材派遣にとどまらないプラットフォーム型の成長戦略を描いている。
共創による地方創生の最前線
JR東日本スタートアップは、グループのネットワークとインフラを活かしながら、地域課題を解決するスタートアップとの共創を推進してきた。今回の提携もその延長線上にあり、人材不足という全国的な課題に対し、地域発の実証実験を経てスケール展開を目指す好例といえる。
今後は、地域での労働力循環モデルをパッケージ化し、他地域への横展開も視野に入れる。一次産業の現場において、YUIMEの人材支援ノウハウとJR東日本グループの地域基盤を掛け合わせることで、農産物・海産物・加工品といった地元の誇りを次世代につなげていく構想だ。
単なる資本提携ではなく、「人と地域の持続可能な関係性」を構築するこの取り組みは、人口減少時代の日本におけるロールモデルとなるかもしれない。
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(TOMORUBA編集部)