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meet ▶[UPBOND]:「個人がデータを管理する時代」を作るUPBOND。既存ビジネスはどう変わるのか?

meet ▶[UPBOND]:「個人がデータを管理する時代」を作るUPBOND。既存ビジネスはどう変わるのか?

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Web3技術の台頭により、変わりつつあるデータの主体者。これまで企業が管理するのが一般的だったユーザーデータを、消費者自身が管理できるようになる。データの主体者が変われば、ビジネスのあり方も当然、変化する。そのような市場環境の中で、Web3時代の新しいビジネスのあり方を提供しているのが株式会社UPBONDだ。同社は、これまでデータを保有してきた企業とデータを活用する企業、そして消費者にメリットのある仕組みを開発している。

eiiconのオリジナルピッチ企画「eiicon meet up!!」登壇企業に話を聞くインタビュー企画『meet startups!!』。――今回は、UPBOND 代表取締役 水岡駿氏にインタビューを実施し、起業の背景から同社のサービス、目指すビジョンまで語ってもらった。

▲株式会社UPBOND 代表取締役 水岡駿氏

「GAFAを超える会社を作る」――中国での起業経験を活かし再チャレンジ

――まずは水岡さんが、UPBONDを起業するまでの経緯を聞かせてください。

水岡氏 : 私は社会に出る前からずっと、日本からGAFAを超えるようなインパクトのあるビジネスを作りたいと思っていました。最初は中国で起業し、その経験を携えて日本で挑戦しようと思い立ち上げたのがUPBONDです。

私が実現したかったのは、個人がデータを保管し、どこまで情報を公開するか選べる「ソーシャルCRM」という概念。既に中国では普及しつつある概念だったのですが、日本ではまだ知られていない世界観だったので、自分で実現しようと思い、起業したのです。

――当時からWeb3技術を活用しようと思っていたのでしょうか。

水岡氏 : いえ、創業当初はWeb3という表現は使っていませんでした。そのため、企業にサービスを提案しても、構想を理解してもらうのが難しくて。

しかし、日本でWeb3の概念が流行り始めたころ「Web3を取り入れて、ユーザーとの関係性をアップデートしませんか」と提案すると、多くの企業が共感してくれるようになりました。実現したいミッションは起業当初から変わりませんが、より早く実現するためにWeb3スタートアップを謳うようになったのです。

Web3技術で生まれる新たなビジネスチャンス

――ソーシャルCRMが実現し、個人がデータを管理するようになると、何が変わるのか教えてください。

水岡氏 : ビジネスのあり方が大きく変わります。たとえば、数年前にファッションECサイトが独自のボディースーツを配ってデータを収集しようとしたことがありましたよね。一人につき1万円以上の予算をかけた大掛かりなプロジェクトでしたが、それでもデータの収集はうまくいきませんでした。

一方でボディデータの収集に成功したのが、ワコールさんです。ワコールさんは実店舗でボディスキャナーを使い、データの収集に成功しました。もしもこのボディーデータをユーザーが管理できるとしたらどうでしょう。

ユーザーの中には、ファッションECサイトにボディーデータを提供し、服選びに活用したいと思う方もいるのではないでしょうか。ファッションECサイトはボディースーツを配らなくても確実にデータを得られますし、用意していた予算を直接ユーザーに払えばWin-Winですよね。私たちのサービスでは、それをトークンという形で払えるようにしたのです。

――ファッションECサイトとユーザーにはメリットがありますが、もともとデータを持っていたワコールのような企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

水岡氏 : 例えば、ユーザーがファッションECサイトにデータを提供することで、データを持っていたワコールのような企業もトークンを得られるのです。ファッションECサイトがデータを取得するために用意していた予算を、データを取得したワコールとユーザーで分配するようなイメージですね。

ワコールもこれまで自社で活用するしかなかったデータを使って、新たなキャッシュポイントを作れることになります。大企業の中には、「データは持っているけど、うまく活用できない」というケースも少なくありません。しかし、そのデータを他の企業に提供することで、新しい利益の柱も作れるのです。

――ファッションECサイト以外にも、データが欲しい企業がいれば、それだけ利益に繋がるということですね。

水岡氏 : そうですね。ボディーデータはアパレル業界だけではなく、フィットネス業界やヘルスケア業界にも需要が見込まれます。他にも医療データなど、需要の高いデータは、それだけでも大きな市場が見込まれるでしょう。

また、私たちが取り組んだユニークな事例でいうと、建設業界のキャリア情報を扱ったこともあります。建設業界は労働者の高齢化が進んでいる上、労働人口も減っているため、国も「建設キャリアアップシステム」を用意して、若い労働者が適切なキャリアアップを目指せる仕組みを作っていました。

しかし、実際には業界の8%しか使われなかったのです。そこで私たちのサービスを取り入れ、キャリアデータを蓄積することで、労働者本人にもトークンによるインセンティブが支払われるようにしました。

▲2023年2月16日に開催されたピッチイベント「eiicon meet up!!vol.6」に登壇した水岡氏。

日本が「Web3先進国」になるチャンスを掴むには

――Web3を使うことで、御社のサービスにどのような特徴があるのか教えてください。

水岡氏 : 情報をどこまで公開するか、ユーザーが自ら選択できることです。Web3では全ての情報がオープンになっているとイメージしている方も多いと思います。しかし、人によって公開したくない情報もたくさんありますよね。

Web3技術を使えば、ユーザー自身でどの情報をオープンにするか調整できるのです。私はこの概念を「ビヨンドWeb3」と呼んでいます。これまで全ての情報がオープンだったWeb3の時代から、どの情報を公開するか自分で選べる時代に進めていきたいと思います。

また、企業間のシステム連携も、Web3によって非常にスムーズになりました。

――どのようにスムーズになったのでしょうか。

水岡氏 : これまで企業間でシステムを連携するとなればAPI連携が必要でした。しかし、Web3技術を使った私たちのシステムなら、そのような手間が必要ありません。他の企業が持っていたデータもシームレスに連携できるため、よりデータの使い勝手がよくなるのです。

――今後、どのように事業を展開していくのか教えてください。

水岡氏 : 引き続き、企業がWeb3で事業をアップデートするサポートを続けていきたいと思っています。一方で、企業のニーズが多様化してきており、その全てを私たちだけで解決するのにも限界を感じています。

私たちが本当に提供したい価値はウォレットなので、それ以外のニーズに関しては、パートナーと連携しながら価値を提供していきたいですね。最近はWeb3サービスを提供する企業も増えてきているので、そのような企業との連携を強化していきたいと思います。

また、今後はグローバルにも積極的にチャレンジしていくつもりです。実は今、世界のWeb3市場の成熟は停滞しており、日本がWeb3先進国になるチャンスがあるのです。そのチャンスを逃さぬよう、スピーディーにグローバル事業を展開したいですね。

――最後にWeb3に興味を持っている企業にメッセージをお願いします。

水岡氏 : 先程もお話ししたように、今は日本がWeb3先進国になるチャンスです。しかし、これまでのように「承認に1年、実証実験に1年」というスピード感で進めては、そのチャンスも逃してしまうでしょう。

Web3に興味のある方は、概念を学ぶだけでなく、まずは体験してその感覚をつかんでください。私たちが開催しているワークショップでは、Web3の世界を体感できるようにしているので、その上で自分たちのビジネスにどう組み込むのか考えてもらえればと思います。

(取材・文:鈴木光平、撮影:齊木恵太)

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