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【Open Innovation Guide⑥】 双方がwin-winになる円滑な連携、締結のポイントとは?

【Open Innovation Guide⑥】 双方がwin-winになる円滑な連携、締結のポイントとは?

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eiiconは、2017年10月12日に”オープンイノベーションの手引き”というコンテンツを公開しました。これは、経済産業省「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(初版)」を元に、事業提携を成功させるための各種ノウハウをわかりやすくWEBコンテンツ化したものです。自身の課題感や状態に合わせて、検索・読み進めることが可能となっています。もともとの手引きも100ページ以上ある大作ですが、eiiconのコンテンツもボリュームがあるため、eiicon founder 中村が解説していきます。

ポイントは「目的に合致した契約の締結」・「早い段階からの外部専門家活用」・「対等な関係を意識」の3点

おはようございます。中村です。本日は、オープンイノベーションにおいて、避けては通れない「連携・締結」のポイントについて解説していきます。

手引きでは契約交渉について〜双方が納得できる円滑な契約交渉・締結のためのポイント〜という項目でまとめられています。ここではまず、契約交渉におけるサマリとして3つ挙げられています。内容としては「目的に合致した契約の締結」・「早い段階からの外部専門家活用」・「対等な関係を意識」の3点です。

1点目・2点目はテクニカルなお話なので、知っているかいないかで大きく進捗を左右しますので手法として知っておく事が大切です。

言わずもがな連携を具体化するためには、目的に合致した契約の締結が必要ですが、オープンイノベーションにおける契約書作成・交渉には主に、

①条件規定書(タームシート)を活用して契約の要点を先に合意する方法 と、

②契約書ひな形をベースに進める方法

が存在します。

特に前者、①「タームシート」を用い、契約の要点を先に合意するやり方は新規のパートナーとの連携において有効だと手引きには記されています。

 

契約締結までの方法(1)タームシートを用いた契約交渉アプローチ

タームシートとは、契約対象や役割分担、賃金の支払い方法、契約期間など大まかな要点を記載した条件規定書のことです。「共創」を意識し合意した相手とまずタームシートを詰めながらミーティングを繰り返していきます。

一番初めにこの手順を踏む事でお互いの譲れない部分や逆に譲歩すべきポイントが明らかとなり、どうしても相容れない場合はこの段階で白紙に戻す事もできます。無駄な工数を避ける事ができるのもメリットの一つですし、なんといっても良いのはのちのち「え?」というお互いが想定し得なかった事態という事が起こりづらくなる点です。

全く異なるバックボーンをもつ企業同士では、自社の常識であることが相手先企業において同じではない事はよくあること。会社のコアとなる譲れない部分も、きちんと最初のタイミングで告げないと理解してもらえていないというのは、実際にあることだと認識しておきましょう。

契約締結までの方法(2)契約書雛形作成からスタートするアプローチ

2つ目は、契約書ひな形をベースに進める方法です。「タームシート」に比べ、こちらはほとんどのビジネスパーソンが耳馴染みがあり、今迄のビジネスの中で何かしらの契約書には携わってきている事と思います。

共創に合意した初期段階の打ち合わせから、社内外の知財・法務のプロフェッショナルを双方の企業の事業責任者・担当者に混ぜてディスカッションを実施し、事業サイドでは見落としがちなリスクを洗い出し。その上で「法律関係」の特定(必要な契約の種類の特定)をし、契約書の詳細を詰めていくというステップを踏みます。

事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携における代表的な契約フローは

特許ライセンス契約→秘密保持契約(NDA)→共同開発契約→共同出願契約→特許ライセンス契約

ですので、単純にひとつ契約書を締結すればそれで終わりというステップではありません。

そのため最初から法的リスクを洗い出しながら契約書の雛形を詰めていくこの方法は、よく知っている相手(既に何度か連携している企業)であれば時間短縮にもなり、オープンイノベーションをスムーズに進行していく上で有効だといえます。

手引きでは、いずれのケースにおいても、初期段階から社内外の専門家を活用することが重要であると記されています。

事業会社においては、ベンチャー企業との契約に慣れている社外の専門家に相談することで要点がクリアになったり、スピードアップできることもあり、陥りやすい幾つかの罠を回避する事にも繋がります。

事業会社のオープンイノベーション担当者は、プロジェクト最初から、共創合意後は初期段階からプロの手を借りる算段ですすめていくことがよいでしょう。

対等かつWin-Winの関係を構築することが重要

3点目のポイントは、③双方短期的な資金獲得だけでなく、中長期的に見据え、対等かつWin-Winの関係を構築することが重要であるということです。

先行企業の事例として、手引きでは初期段階からのちのちの依存関係に繋がる可能性のある資金の受け入れの回避を意識したという内容や、自社に不利な条件に対してバランスを取るための条項を盛り込むための交渉を丹念に根気づよく実施した事例などが記されています。

先に述べた手法やプロを巻き込むというテクニカルなポイントとは異なり、本点はそもそものスタンスを問う内容です。

私は、この3点目が本項目の中で最も大切だと考えています。

本ポイントは、特に大企業側の担当者・プロジェクト責任者が意識すべき内容です。

もちろんスタートアップ側にも「とりあえず相手のブランドを利用したい」という気持ちや「目の前の資金をなんとかして手に入れたい」という気持ちが先行してしまう場合もあります。

それはやはり、スタートアップサイドも意識して中長期のWin-Winを考えるべきです。

ただ、大企業側の担当者・プロジェクト担当者には、本人達だけではなく周囲の関係者、ひいては会社全体の意識を「Win-Win・対等の関係を構築することが不可欠である」という点に立たせる必要があるのです。

これが骨が折れます。

最近とある大企業の役員と話した際に「随分、大企業内でもスタートアップを馬鹿にするやつは格好悪い、搾取するスタンスはおかしい、対等にWin-Winの関係を築けなくてどうする」といった風潮が出てきているということでしたが、一方でまだまだ、自分ごと化出来ているか、というと話は別であるということでした。

5年前、1年前に比べずいぶんとオープンイノベーションにおけるスタンスは浸透してきているものの、まだまだ実際に当事者・関係者になった時に、対等・Win-Winを一義に考えられないということでしょう。

大企業サイドのオープンイノベーション担当者は、巻き込むべき社内の事業部や研究部門に対等のスタンス・Win-Winのスタンスをしっかり浸透させるミッションも担っているのです。

言葉尻に馬鹿にしたような発言、受発注の下請け相手へのような発言が出る場合、そのステークホルダーは十中八九、対等なスタンスは立てていません。オープンイノベーション担当自身が無意識のうちに、そのような社内の声を受け入れてしまっていることもあります。

オープンイノベーション担当自身が上から目線のコミュニケーションや価値観で共創パートナーに接していないかも意識すべきですし、社内の関係部署がどのようなスタンス・気持ちでプロジェクトに臨んでいるかを把握し、是正し軌道修正しながら進めていく事はとても大切です。

オープンイノベーションを推進する過程ごとに様々な壁がありますが、今の自社のフェーズで必要な事を整理し、取り組んでいきましょう。

下記はeiiconでまとめているオープンイノベーションのフェーズごとの手法とポイント、悩み事例の図です。

先人たちが失敗し、苦労した経験をまとめた内容が詰まっている最高の教科書「オープンイノベーションの手引き」もぜひご一読ください。

●他詳細はこちらから オープンイノベーションの手引き https://eiicon.net/about/guidance/

解説/オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」Founder 中村 亜由子(nakamura ayuko)

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eiicon founder 中村が解説!オープンイノベーションを実践する上で必要となるティップスやノウハウを様々なステップに分けて解説します!