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【2022年保存版】共創に活用できる補助金制度とは?<1> 「ものづくり補助金」

【2022年保存版】共創に活用できる補助金制度とは?<1> 「ものづくり補助金」

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オープンイノベーション/共創を進める上で必要となる「資金」。実は、その資金を得るために活用できる補助金制度がさまざまあります。ーーそこで、補助金や助成金のエキスパートであるEssencimo・杉田龍惟氏による連載「共創に活用できる補助金制度」をスタート。第1回は、そもそも補助金・助成金とは何か、そして『ものづくり補助金』について詳しく解説していきます。

挨拶

皆様初めまして。株式会社Essencimoの代表取締役を務めております杉田龍惟と申します。

当社は補助金・助成金といった公的資金の獲得におけるトータル申請支援サービスを提供致しております。補助金を活用したいけど自社がどれを使えるのかがわからない、申請したいが人手の余力がない、そもそも補助金・助成金って何?など、使うことに興味はあってもなかなか知識や理解が無く、上手く活用することができないケースが良く見受けられます。

そうした課題をお持ちの事業者様に対して、弊社では申請対象となる補助金の選定・ご案内から申請に係る支援まで全体を通じたサポートを提供させていただいております。

補助金、助成金とは

補助金と助成金はそれぞれ、大まかに下記のように定義されます。

補助金:事業計画を審査し、より優秀だと判断された計画が採択され、事業計画を実施した上で補助金を受け取ることができる

助成金:いくつかの要件が課され、要件を満たした事業者に支給される

弊社を含め、事業計画の策定支援という点で民間のコンサルティング企業が成果を発揮しやすいのは前者である「補助金」です。助成金は事業計画策定の要素は薄く、手続き的な面倒さが先行する上、法的に行政書士/社労士以外が取り扱うことを認められていません。

また、新規事業やサービス開発といった文脈においては、こちらの二択では「補助金」になります。こちらの記事では、そんな補助金の中でも共創や新規事業といった文脈で最も汎用性高くお使いいただくことができる「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)」についてご説明していきます。

ものづくり補助金について

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、中小企業庁が開催しており今年で早くも10年目となる補助金になります。時代に合わせて姿を徐々に変えつつも、「機械装置導入・システム開発をするならものづくり補助金」というほど、新規設備投資において汎用性をもっています。

全体の工程としては、事業計画を策定&提出⇒審査⇒採択⇒事業を実施⇒実績報告⇒問題無ければ最終審査され、入金のような流れとなります。

一般的な補助金はすべてそうですが、一度自己負担をしたものに対してキャッシュバックされるような仕組みであることは事前にきちんとご確認ください。

具体的にはどのようにご活用いただけるのか、順番にご説明していきます。

誰が使えるのか

まず大前提となるものづくり補助金の申請〜受取に必要な要件について説明します。

①:中小企業であること

②:賃上げ要件を満たせること

③:交付決定後に事業に着手すること

①中小企業であること

「中小企業」とは、次の資本金・従業員数の数をどちらも上回っていないかどうかが基準となります。


資本金だけ・従業員数だけなど、どちらかのみが上回っている場合は問題無く中小企業と定義されます。株式会社や合同会社などに加えて、組合や収益事業を行っているNPOは申請要件を満たします。

②賃上げ要件を満たせること

賃上げ要件として2つの指標を満たす必要があります。

・給与支給総額(給料賃金+役員報酬+賞与+一部手当)を年率平均1.5%以上増加させる

・事業所内最低賃金を、地域のもの+30円以上とする

こちらの2点は、原則利益が成長する前提では満たす必要がある要件となっています。

③交付決定後に事業に着手すること

スタートアップなど、一分一秒でも早く事業実施に取り掛かりたい企業様の場合はこちらが最大の制約になります。

ものづくり補助金はここ2年ほどは2,5,8,11月にそれぞれ公募がありますが、実質的な合否である採択は締切日から2か月後に、そして事業に着手する許可がでるのはさらにそこから1か月ほど経ったタイミングになります。

そのため、申請締切に向けて1か月間準備をし申請をする、といったケースにおいても実際事業に着手できるのは締切後3か月、準備時点から4か月後などのタイムラグが存在することになります。

どういった経費に使えるのか

補助対象経費は下記のものが該当します。


弊社としてものづくり補助金を推している最大のポイントは、「システム構築費」の部分にあります。webサービスを新たに構築したい・新たなビジネスモデル提供のために社内管理システムを強化したいなど、システムの開発を伴うニーズは年々市場全体において増加しており、補助金側もそうしたニーズに応え、新サービス創出などの観点においては高い評価を受けやすい傾向が認められます。

また、デザイン等に関連する外注費や、補助事業実施期間中のもののみではありますがクラウドサービス費を対象としています。

どれぐらいもらえるのか

ものづくり補助金の補助上限額は、下記のように定められています。


一般型の中では、枠によって補助率が変わり、デジタル技術を活用した新サービス創出などにおいてはより高い補助率で補助を受けることが可能です。(通常1/2の所が2/3になります)

どういうスケジュールなのか

ものづくり補助金の全体のスケジュールを見ていきます。


ここでは22年8月18日に締切がある、11次締切を例にとります。

①②申請準備~申請

申請締切に向けて準備を行います。コンサルを利用する場合は大まかに1か月ほど前までにはご相談いただくと問題無く間わせることができるかと思います。


③採択の発表

申請締切日の約2か月後に採択発表となります。採択は通知+一覧で公開されます。この後も細かい審査等はありますが、実質的な合否はこの段階で決まる形となります。


④採択後、価格を確定させる交付申請手続き&交付決定

採択された後、見積書・相見積書を揃え価格の正当性を証明した上で「何にいくらで事業投資をするか」を確定させる交付申請を行います。交付申請時に確定した内容に基づき事業を実施していく形となります。


⑤補助事業の実施開始(経過報告や取組の実績報告まで。最大10か月間)

交付決定通知が出たタイミングから、事業に着手することが可能となります。前述の通り、交付決定が出るまでは事業に着手することができませんので、ご注意ください。

ここでは計画通りに、事業を実施し適宜報告作業等を行う必要があります。

報告時に主には、注文書・注文請書・納品書・請求書等を提出します。

⑥確定検査(実地での事務局の担当者によるチェック)

事業実施場所に担当者が来訪し、きちんと事業の実態があるか・計画や報告通りに事業が実施されているか、のチェックが入ります。

⑦⑧補助金の請求、入金

確定検査で問題がなければ補助金の精算払請求を行い、最短で3日~1週間程度で入金されます。

活用した事例の紹介

B to Cマッチングサービス企業の事例

A社は、都内においてWEB上でのB to Cマッチングサービスを提供しています。順調に事業を成長させていましたが、to C顧客からはサービス上でBの比較におけるUI/UXの課題を指摘され、to B顧客からはCとのコミュニケーションの煩雑さが課題として指摘されていました。

こうした課題に対して、Bの詳細な比較検索機能+Cとのコミュニケーションの一部定型文機能追加を行うと同時に、それまでニーズのあったweb上での決済機能・B向けの企業登録情報拡充等の機能開発を行いました。

全体のデザインの再構成も合わせて実施したため、開発全体には1200万円ほど要しましたが、ものづくり補助金を利用し実質的な自己負担を500万円程度に抑えることができました。事業完了から1年程度経過していますが、差額の700万円をさらなる集客に投資し成長性は事業実施前と比べると3倍近くまで高まっています。

看板メーカーの事例

B社は名古屋市内の看板メーカーです。主に小売店・施設・ビル等が表に掲げる店舗看板や広告看板の製作を手掛けています。コロナ禍などで縮小傾向にあるものの、屋外広告の需要などは安定して利用客がいるため常に製作物のクオリティ向上に努められていました。

そうした中で、電光看板・立体看板の製作ニーズに応えられないことが一つの課題として発生しました。広告の多様化及び店舗看板二ーズの多様化に応え事業成長を遂げるためには、社内で多様なカッティングの形に対応できる技術体制を整える必要があります。

B社はこうした背景の元、新たなカッティングマシンを導入する計画を策定し1700万円の事業投資に対して1000万円の補助金を受け取り、実質自己負担700万円で高度な技術体制の構築を実現しました。

共創における活用のポイント

ものづくり補助金を共創型ビジネスにおいて落とし込んでいくためには大きく分けて2つのポイントが重要になってきます。

①システム投資や設備投資を伴うこと

②「新しい製品・サービス」に繋がること

共創型ビジネスにおいても、一社が費用負担を行う構造であれば申請要件は問題無く満たすことができます。ものづくり補助金に求められるテーマ性としては「革新的な取り組み・生産性向上に資する取り組み」であることが挙げられます。そのため、ある企業が中心となり新サービスを創出していく際に、情報資産や人材などのリソースを外部企業が連携しスピードを持って進めていく等の計画はまさにものづくり補助金の目的に沿ったものです。

こうした制度を活用し効率の良い事業投資をしていくことこそ、リスクを排した共創の成功へと繋がっていくものであると私たちは考えています。

<執筆者プロフィール>


株式会社Essencimo 代表取締役 杉田 龍惟

東京大学経済学部出身。2年生より補助金の申請支援を始めとした経営コンサルティング・資金調達支援業務に携わる。リクルートを始め数社におけるマーケティング業務での経験を基に、より実現可能性にこだわった事業計画策定に強みを持って支援を行う。2019年4月に株式会社Essencimo創業。


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連載企画「共創に活用できる補助金制度とは?」の第1回では『ものづくり補助金』を解説しました。次回は、『事業再構築補助金』を紹介します。

(編集:TOMORUBA編集部)

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