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厚労省の補助制度に採択された和歌山県。「戦略産業雇用創造プロジェクト」が共創にもたらす影響は?

厚労省の補助制度に採択された和歌山県。「戦略産業雇用創造プロジェクト」が共創にもたらす影響は?

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地方自治体のオープンイノベーション事情を探る「CLOSEUP OI」、今回は和歌山県です。和歌山県の産業と聞かれるとどのような印象があるでしょうか。パンダの繁殖に成功していることや、梅やみかんなどの産地としても有名ですし、世界遺産の熊野古道や白浜のビーチなど、関西圏からアクセスしやすい観光地としても存在感があります。

和歌山県の産業の実態に迫りつつ、どのような戦略でスタートアップ支援や共創支援をしているのか紐解いていきます。しっかりと国の制度を利用しつつ、スタートアップ文化を醸成しようとしていることがわかります。

小規模の卸売・小売業と、製造業が産業の要。しかし事業所数は30年間右肩下がり

和歌山県内の産業別の事業所数を見ると特徴が見えてきます。1番の特徴は卸売・小売業の事業所数の多さで、全国平均よりも2%近く多くなっています。さらに特徴的なのは、小売業の約7割が従業員数1〜4名となっており小規模な事業所が多いことです。


出典:和歌山県の商工業

しかし、ここ30年の小売業の事業所数を見ると、ほぼ半減しています。小売業の従業員数は30年間で横ばいなので、個人商店が急激に淘汰されつつあることがみて取れます。


出典:和歌山県の商工業

同様に、製造業の事業所数も急激な減少傾向で、30年間で3分の1近くまで落ち込んでいます。製造業の内訳を出荷額ベースで見ると石油製品、鉄鋼業、化学工業で約50%を占めています。これらのいわゆる「ものづくり」分野が先細りになっているのが和歌山県の目下の課題と言えるでしょう。

厚労省の補助制度「戦略産業雇用創造プロジェクト」に和歌山県が選抜

厚生労働省の補助事業に「戦略産業雇用創造プロジェクト」があります。これは雇用情勢の厳しい都道府県が提案する事業から、コンテスト方式により、産業政策と一体となった雇用創造効果が高いプランを選抜するものです。

選抜されると①地域マネジメント強化、②雇用拡大、③人材育成に関する費用を国から最大3年間、8割の補助(年間上限10億円)が受けられます。平成30年度版のこの枠組みには13の道府県が選抜されていますが、ここに和歌山県も含まれています。

和歌山県では「紀の国わかやま戦略的成長力強化分野雇用創造プロジェクト」と銘打って、成長産業である「ロボット等加工・組立技術」「医療・福祉」「航空・宇宙」「化学」「食品・バイオ」「日用品」分野を重点的に支援しています。

参考ページ:戦略産業雇用創造プロジェクトの概要

参考ページ:紀の国わかやま戦略的成長力強化分野雇用創造プロジェクト|公益財団法人わかやま産業振興財団

県を代表する次世代企業創出を目指す「和歌山アクセラレーションプログラム」

成長産業への投資が活発化する和歌山県で、有力なアクセラプログラムが発足しています。「和歌山アクセラレーションプログラム」は和歌山県×デロイトトーマツの枠組みで、運営されるプログラムで、短期集中支援や資金獲得、事業提携による成長サポートを行う取り組みです。第二期のメンターにはカゴメ、タマホーム、富士通などの企業が参加しており、各分野での専門的なアドバイスが受けられます。現在、第三期の受付中で、参加資格は以下の通りとなっています。

●対象事業の製品やサービスについて、具体的な計画又は試作品等有していること

●和歌山県内に事業所を有しており、雇用保険適用事業所の事業者であること

●本プログラム実施期間(令和3年10月から令和4年3月)に、他機関の実施するアクセラレーションプログラムへ参加予定のない事業者であること

参考ページ:和歌山アクセラレーションプログラム(Wakayama Acceleration Program)

ものづくりスタートアップに特化した「和歌山インキュベーションセンター」

冒頭にも述べたように、和歌山県ではものづくりの事業所数が長らく右肩下がりになっています。「和歌山インキュベーションセンター」はものづくりスタートアップに特化して設立された施設です。

センター長の星野達也氏は三井金属やマッキンゼーといった経歴を持ち、自著に「オープン・イノベーションの教科書」がある共創のプロです。和歌山県の産官学が一体となって運営されており、ものづくりに必要な設備はもちろんのこと、補助金・助成金を受けることができるためスタートアップにとってはうってつけの環境です。

参考ページ:概要 | 和歌山インキュベーションセンター(WInC)

【編集後記】どの地域も取り残さない補助制度

厚労省の補助制度「戦略産業雇用創造プロジェクト」に採択されている和歌山県。この制度の対象になっているのが13の道府県と聞いた時には正直「多いな」と思いました。それなりにプレゼンを作り込めばどの都道府県でも採択されるのでは?と、うがった考えをしてしまいましたが、裏を返せば厚労省からの「どの地域も取り残さない」というメッセージのようにも思えます。

TOMORUBA編集部

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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CLOSEUP OI ー地方のオープンイノベーション動向ー

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