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【連載/4コマ漫画コラム(22)】ビジネスコンテストへの挑み方② やってはいけないプレゼン…とか

【連載/4コマ漫画コラム(22)】ビジネスコンテストへの挑み方② やってはいけないプレゼン…とか

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見ざる聞かざる分からざる

ビジネスコンテスト(ビジコン)でのプレゼンを時間をかけて一生懸命作れば作るほど、自分はそのプレゼン内容を何度も見て頭に入れてしまうので、忘れがちなことがあります。

聞いている方(聴衆)は、自分が思っているよりも、ずっとプレゼンを「見てない」し「聞いてない」し「分かっていない」ものです。「見ざる聞かざる言わざる(分からざる)」みたいな感じです。

それはある意味当たり前で、聴衆にとっては、初めて見て聞く内容なので、そんなにスッと理解ができるわけではないし、ビジコンでどんどん立て続けにプレゼンをされると、脳みその許容量を超えてしまって、「見ているようで見ていない」「聞いているようで聞いていない」状態になっている時間帯が結構あります。ちゃんと見て聞いているフリはしていても、実は目を開けて寝ている、みたいなこともよくあります。

では、どうすれば、いいか。

完璧に正しいとシンプルにならない

プレゼンで最も大事なことは「シンプルで魅力あるストーリー」。「シンプル」であることが、「見てもらい、聞いてもらい、分かってもらえる」基本です。

そのためには、ストーリー(全体の流れ)だけでなく、プレゼン資料をいかにシンプルにするかも大事なことです。

どうやれば「シンプル」なものができるのか。その一番のポイントは「『大体正しければいい』と割り切ること」です。特に、技術者の方にありがちなのが、「正しく説明しようとしすぎること」です。80%正しい説明ができれば十分なのに、残りの20%の「例外的なもの」等を”ぐちゃらぐちゃら”と説明して、伝えたい80%の部分が手薄になってしまって、訳が分からない説明になってしまっていることが多々あります。

難しい技術の説明を限られた時間の中で正確に行おうとしては、それだけでプレゼンは崩壊します。正確性は欠けてもいいので、「こんな感じの技術です」と、イラストを交えて喩え(アナロジーやメタファー)を使ったりして、「なんとなく分かったつもり」にさせるのが重要です。

また、一つのスライドに「あれもこれも」盛り込もうとしてはいけません。それを避けるために、スライドの上部に枠を作って、そのスライドで伝えたいメッセージを1行で書いておきましょう。そのメッセージに関連しないデータや図があれば、思い切って削ってしまいましょう。

見えないくらい小さい文字や細かいグラフもバッサリ削っちゃいましょう。そして、「文字数を一文字でも減らす」ということをやってみてください。

私が4コマ漫画を書くときは、吹き出しの面積が限られているので、いつも「いかにセリフを一文字でも減らせるか」に頭を悩ませています。プレゼン資料も同じです。「本当にこれ以上少ない文字数で書けないか?」をいつも自問しましょう。

「分かる」だけでは足りない

「シンプルであること」は「分かってもらうため」の基本です。ただ、それだけでは足りません。「分かる」のが「理解できる」というレベルから、一段上の「共感するなあ!」に、できるかどうかが勝負です。

その一番のポイントは、「どういう状況(困りごと)にある誰のためにこの事業を行いたいか」を「熱い志」を持って語れるかです。そして、いかにその「お客様についての具体的なイメージ」を聴衆と共有できるか、です。どんな人のどんな困りことを、自分がやろうとしている事業でどのように解決してあげるのか、をあたかも実在するお客さんのように話しましょう(そのために、実際のお客様候補に会っておくのはとても大事なことです)。

単に「これまでよりも効率が5%アップする」とかでは、魅力は生まれてこず、共感も得られません。ビジネスの基本中の基本は「誰かの役に立つ」ことです。

一方で、「誰の役にも立たずに、金が金を生むだけの事業」をやっている人もこの世には一杯いますが(……私は近づきたくない)

何が分からないのかの想像力は

「お客様の本当の困りごとを想定できるか」がビジネスの基本です。言ってみれば、「お客様になり切れるか」ということです。その「(お客様などの本来は他人に)憑依する力」こそが、「他人が何を考えているのか」を想像する力であり、また、「他人は何を分かっていないか、誤解しているか」を想定する力でもあります。

なので、プレゼンで「聴衆が何を誤解したり分かっていなかったりするか」を想定できずに「よく分からないし魅力もない」というようなプレゼンをしてしまう人は、残念ながら「ビジネスそのもの」に向いていないのかもしれませんね。(と、いうようなことを書くと読者の皆さんがどのように思うのか想定しきれていない自分に気づきながら、今回は、終わり)


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

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