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【イベントレポート】第17回NEDOピッチ~「素材」分野の有望ベンチャー5社が登壇~

【イベントレポート】第17回NEDOピッチ~「素材」分野の有望ベンチャー5社が登壇~

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去る5月30日、JOIC(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会)とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による共催で、オープンイノベーション創出を目的としたイベント「第17回NEDOピッチ」が開催された。今回フォーカスされるテーマは、生活必需品から高付加価値品まで様々な用途で使用される『素材』

同分野において有望技術を有する、U-MaP、アドバンスト・ソフトマテリアルズ、五合、クロスエフェクト、インキュベーション・アライアンスというベンチャー企業5社が登壇し、自社の研究開発の成果と事業提携ニーズについて、大企業やベンチャーキャピタル等の事業担当者に対しプレゼンテーションを実施した。以下に、各社のプレゼンテーションの模様を紹介していく。

株式会社U-MaP

http://www.umap-corp.com/

▲代表取締役社長 前田孝浩氏

株式会社U-MaP(ユーマップ)は、画期的な新材料と加工技術を提供・事業化することで、今までにない工業製品を産業界に展開する名古屋大学発のベンチャー企業。

同社が開発しているのは、放熱問題を解決しようとする素材だ。PCやモバイルなどのデバイスは、長時間使用すると熱を帯びてくる。そして、この熱がバッテリーを劣化させ、動作速度を低下させ、デバイスの寿命を大きく縮めてしまう。同社が開発した高性能放熱フィラー(AINウィスカー)は、その熱を樹皮などの絶縁材料から逃がすことができる素材だ。

従来の放熱材は、球状セラミクスを使用しており、高充填が必要で絶縁材料を曲げることが難しい。しかし、同社のAINウィスカーは、低充填量で高熱伝導性を実現することが可能で、軽量で曲げることが出来る。さらに、アンモニアに変質しにくい。——このような同社の技術が注目され、現在では30社以上の放熱材料メーカー、素材メーカー、部品メーカーと製品開発の協議を行っている。さらに、2021年までには量産化によって低価格化を目指しているとのことだ。

アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社

http://www.asmi.jp/

▲代表取締役 野田結実樹氏

アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社は「SRM(スライドリング マテリアル)」の量産供給と適応開発を行う唯一の企業。多くの企業との用途開発を進めるほか、自社でもSRMの特性を活かした高性能ウレタンフォームや高密着塗料の販売を行っている。

本素材は、東京大学伊藤耕三研究室で生まれた世界初の可動架橋点を持つ超分子材料で、樹脂素材にこれまでに無い「柔軟性」と「復元力」を付与できる革新的新素材だ。また、この素材は、スピーカー等の裏側に使用すると、吸音材として活用することもできる。提携ニーズは非常に広く、現在では豊田合成株式会社と契約提携している。「純日本発のポリマーですので、日本の企業に使ってもらいたい」と、登壇した代表・野田氏は語った。

株式会社五合

http://www.gogoh.jp/

▲代表取締役 小川宏二氏

株式会社五合は、完全無機塗料「ゼロ・クリア」などを開発・提供する愛知県を拠点とするベンチャー企業。「ゼロ・クリア」は、水だけで油などの頑固な汚れを落とせる超親水性に加え、硬いもので擦っても傷が付かない強硬度を兼ね備えた塗料で、幅広い用途に活用可能。500時間経過後の親水性テストや、上下水道局にて、次亜塩素酸による腐食評価テストの基準も通過している。

これまでの採用実績は、洗濯機、シンク層、電装部品、ステンレス製の食器や調理器、厨房設備、喫煙所設備、地下鉄駅構内設備などだ。実際に、渋谷にある喫煙所や東京メトロ千代田線・二重橋駅の設備に同社の「ゼロ・クリア」が採用されている。

今後は、建材、鉄道(共同開発)、電力(共同開発)、水処理の分野や、日本のガラスメーカーとの提携も見据えている。

株式会社クロスエフェクト

http://www.xeffect.com/

▲代表取締役 竹田正俊氏

株式会社クロスエフェクトは、世界トップクラスの3Dプリンティング技術とCT画像を組み合わせることで、患者ごとの正確な超軟質心臓モデルを作成。幼児等の難易度が高い手術に備えた術前シミュレーションが可能になり、施術リスクを限りなく少なくすることを実現した。

現在、100人に1人の割合で「先天性小児心疾患」になっており、この心臓モデルを使用することで、術前シミュレーションができれば難易度の高い手術の成功率を上げることが出来る。なお、心臓モデルには大手メーカーと共同開発した伸縮性のある非常に柔軟な樹脂を使用。現在は、世界中の医療現場から引き合いを受けており、「第5回ものづくり日本大賞」において内閣総理大臣賞を受賞している。さらに、厚生労働省から「医療機器認証」取得を目指し活動中。

株式会社インキュベーション・アライアンス

http://incu-alliance.co.jp/

▲代表取締役社長 村松 一生氏

株式会社インキュベーション・アライアンスは、「グラフェン」の大量合成・実用化を目指すために設立されたベンチャー企業。グラフェンは2010年にノーベル物理学賞が授与された革新的な素材だが、これまでは大量に作ることやハンドリングが難しく実用化はほとんど進んでいなかった。

同社はNEDOの「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に採択され、実現が難しいと言われていたグラフェンのシート状製品の成形、立体加工に成功。2016年3月には、産業革新機構より7億円を調達した。グラフェン部材は高い熱伝導度をもち、様々な立体加工が可能かつ軽量であるため、放熱部材への適用が期待されている。スーパーコンピューターなどでの活用を目指す。

さらに、ゆくゆくはこの原料素材から最終製品までを手掛けていく。そのための事業提携を検討しているとのことだ。

取材後記

今回開催された「第17回NEDOピッチ」では、経済産業省が発表した「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携の為の手引き」(https://eiicon.net/souvenir/guidance/tebiki.pdf)に合わせ、同省の担当者が現状の課題と、今後の狙いについて述べていた。

具体的な課題点としては、以下の項目が挙げられていた。

●研究開発型ベンチャー:小回りがきくがお金がない。販路がない。

●事業会社:ステークホルダーが多く、破壊的イノベーションは生み出されない。また、失敗できないことより、61%の企業が成果を生み出せず死蔵している。また、事業会社の1%のみだけしか、ベンチャーと協業していない。

そうした状況の中、「日本を世界で最もイノベーションに適した国にする。イノベーションは、知と知の組み合わせから生まれる。そしてイノベーションを生むには必ず失敗を通る。失敗を恐れずに、知と知を組み合わせに挑める環境が重要だ」と、オープンイノベーションの必要性を主張した。

オープンイノベーションという言葉が広がりつつある中で、ベンチャーと協業している事業会社が全体の1%に過ぎないのは驚きの数値とも言える。オープンイノベーションがなかなか進まない理由は、どこかに大きなボトルネックが存在し、その解決策が見つかっていないからだろう。その第一歩として、このようなイベントに参加し、積極的にお互いの課題を語り合い、まずは挑戦してみようという姿勢が必要となるはずだ。

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