【連載/4コマ漫画コラム(6)】プレゼンのコツ②:プレゼンはストーリーが命
■インターネットが生んだパワーポインターたち
提案を通すためには、いいプレゼンが必要です。そして、いいプレゼンのキモは、「簡潔で魅力があるストーリー」です。
どれだけ詳細なデータが詰まっていても、相手に伝わらなければ意味がありません。
残念ながら、最近は「やたら分厚くて情報満載だけれど、なんだか分からないプレゼン資料」が多く、提案者は「なぜ分かってくれないのだろう?」となり、承認者の方も「なんでこんな分からないプレゼンになるのだろう」というストレス・不満が鬱積するという「不幸な状況」があちこちで見られます。
その原因は、実はインターネットとパワーポイント。
1994年以前はほとんどの人は使っていなかったインターネットが「超」当たり前の存在になり、膨大な情報が一瞬のうちに手に入るようになりました。そのため、プレゼンを作りだす時点で、やたらと「情報を集めて」しまう。それをパワーポイントにとりあえずコピペして、膨大な資料を作ってしまい、そこから「削る」作業をしてしまう。「削って」「見栄えをよくして」、資料が出来上がったつもりになる。そういうパワーポイント作りばかりしている人たちのことを「パワーポインター」と呼んだりします。各社ともに大量のパワーポインターが発生しています。
お気づきのように、この流れでは「簡潔で魅力があるストーリー」を作れるはずがありません。
■相手の思い込みを覆す「魅力あるストーリー」
では、どうすれば「シンプルで魅力があるストーリー」を作れるのか。
「ストーリー」は「物語」です。「物を語る」のが本来の意味です。
だから、口で「語る」ことができるかどうかが実は重要です。資料としてパワーポイントを使って、表やグラフや関連図など「2次元の情報」を見せるのはいいのですが、その「2次元の絵」でアナタが何を伝えたいのか「1次元の情報」である「言葉」で「語ること」が重要です。
最初は「文字」で「ストーリーの骨子」を作ってみましょう。
おそらくどんなに複雑な提案でも、文字で書かれた「ストーリーの骨子」はA4一枚で収まるはずです。
この段階は、一人で唸りながらやるのですが、完成させる必要はありません。とりあえず身近な人でいいので、そのストーリーを話してみましょう。「語ってみる」と、「どこに無理があるか」や、「相手の興味や疑問が思わぬところで起こる」とかが分かり、ストーリーが磨かれていきます。そして何よりも自分が「語る」ことで「こう言った方がいいな」ということを「自分で気づき」ます。
「ストーリーの魅力」は、提案内容によって様々ですので、一概には言えません。
ただ、新規事業の提案の場合で言うと、次の2点がストーリーでカバーされていないと納得感がないままになってしまいます。
・なぜ、それをウチ(の会社)がやらないといけないのか
・どうして勝てるのか
裏返すと「そんなことやらなくていいのじゃないかな」「勝てるはず、ないじゃん」というのが聞く側の心の中でデフォルトでセットされているからです。
「XXXだから、普通に考えるとダメだけど、YYYというやり方(や製品)でやれば、ZZZになって…」という風に、ストーリーの力で相手の思い込みを覆すことです。
ストーリーの組み立てにも様々ありますが、4コマ漫画の「起承転結」も一つのやり方として使えます。ちょっと専門的になりますが、BMC(Business Model Canvas)のVP(Value Proposition:提供する価値)を説明するのに、ただ単に「これが特長の…」のように平坦な感じの説明をしても印象が薄いままのことが多いのです。
「起・承」で「市場やユーザニーズ」を話し、聞き手にまず状況を刷り込み(「そりゃそうだ」という思い込みを醸成し)、このニーズを解決するのに、「おっと驚く大逆転」の「VP」を「転」として位置づけ、「なのでこのビジネスは大成功!」を「結」として夢を語る、みたいな「物語としての流れ」を作れると最高です(もちろん、提案するVPの魅力は必須)。
[ちなみに、『新規事業創出に必要なストーリー力を4コマ漫画でアップする!』というセミナーも私はやっています(番宣でした(^o^;))]
■「やっと肉付け」で気をつけること
そして、シンプルな「ストーリーの骨子」ができてから、やっとそれに肉付けや裏付けとしてのデータや分析表をつけましょう。その際、SWOTや3Cなどの表もそのまま載っけるのはダメです。作成した「ストーリー」にとって、どこがどう大事なのかが分かるようにハイライトしましょう。また、提案資料の全てのページに「このページでは何を伝えたいのか」の「1行メッセージ(ストーリーラインに従っている)」を書くのが良いです。
気をつけてもらいたいのが「矢印」の使い方。パワーポインターはやたらと矢印を使いたがる傾向があります。ところが、矢印(→)には「XXがYYになっていく」「XXだからYY」「XXを詳しく言うとYY」など、色々な意味があり、見ている方は誤解したり混乱したりしがちです。せっかくのストーリーをぶち壊す原因にもなります。ひどい場合は「この矢印はどういう意味?」と聞くと、答えられない。矢印の多用は気をつけましょう。それもこれも「言葉で語れるストーリー」が十分でないためです。(なんとなく2次元的に矢印でつないでしまっているのです。)
おっと、文字数の都合で、今日はこの辺りで…… え?「なんか中途半端だし『転』も『結』も感じられないコラムだな」って?そうですね、文字数制限で最後まで言えなかったり、時間切れでプレゼンがぶち切れになったりしたら、ストーリーもクソもありません。だから時間はちゃんと守れるようにね。最低限ですが、最重要です。
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