サーラグループを核に東三河企業7社×Waterhumanが共創 「忌引き×生産性」に挑む実証始動
シンニチ工業株式会社は、Waterhuman株式会社が推進する「忌引きと生産性」に関する実証実験に参画し、サーラグループを核とした東三河地域の企業連合による共創プロジェクトを開始した。本取り組みには、物流、製造、販売など異なる業種の企業7社が参画。スタートアップと地域企業が連携し、「働く喪主」を支える新たな仕組みの構築に挑む。
本実証は、サーラグループが運営する共創拠点「emCAMPUS STUDIO」をハブに展開される。地域企業のネットワークとスタートアップの専門性を掛け合わせることで、社会課題の解決と事業性の両立を目指す点に特徴がある。
背景にある「多死社会」と企業の経営課題化
日本社会は今、急速に「多死社会」へと移行している。今後5年以内に多くの労働者が近親者との死別を経験するとされ、企業においても忌引き対応のあり方が問われ始めている。
従来、忌引きは個人の問題として扱われてきた。しかし、死別に伴う心理的負担や煩雑な手続きは長期にわたり、復職後の生産性低下やメンタルヘルス不調につながるケースも少なくない。死別による経済損失は国内で約3兆円規模に達するとの試算もあり、もはや企業にとって無視できない経営課題である。
こうした背景から、「働く喪主」を支える仕組みづくりは、従業員のケアにとどまらず、企業の持続可能性を左右するテーマとして浮上している。
「東三河モデル」――企業連合による共創スキーム
本プロジェクトの核となるのが、サーラグループを中心とした「東三河モデル」と呼ばれる共創スキームである。emCAMPUS STUDIOが橋渡し役となり、スタートアップであるWaterhumanと地域企業を接続。単独では難しい実証を、企業連合として実現している。
参画企業は、サーラ物流、シンニチ工業、スバル東愛知販売、豊橋木工、中部合成樹脂工業、マルシメ、ヤマサンなど計7社。業種や規模の異なる企業が横断的に連携し、同一テーマでの同時検証を行う。
この仕組みにより、中小企業が抱える「サーチコスト」や「検証リスク」を分散しつつ、短期間で多角的なデータを収集できる。さらに、行政主導ではなく、地域企業同士の信頼関係を基盤とした“民”主導のプロジェクトである点も特徴だ。
実証内容――忌引きと生産性の関係を可視化
実証期間は2026年3月から8月まで。対象は東三河地域の企業7社で、忌引き休暇中の従業員に対して個別ヒアリングを実施し、状況に応じた「死後手続きリスト」の提供やチャットによる相談支援を行う。
検証では、忌引きに伴うコストの可視化、悲嘆が生産性に与える影響、さらには離職率やエンゲージメントへの長期的影響を分析する。企業側の記録データと、管理職・利用者双方へのアンケートを組み合わせることで、これまで可視化されてこなかった領域に踏み込む。
地域企業×スタートアップが拓く新たな価値
参画企業からは、「社員の心身の状態が事業の質に直結する」「福利厚生を超えた経営課題として捉える必要がある」といった声が上がる。特に中小企業にとっては、単独では難しいテーマに対して、連携によって取り組むこと自体が新たな価値創出につながる。
また、本取り組みは採用ブランディングやエンゲージメント向上といった側面でも効果が期待されており、「社員に寄り添う企業」としての姿勢を地域全体で示す動きともなりうる。
東三河から始まる「支える仕組み」の社会実装
Waterhumanは本実証について、「単なるデータ収集ではなく、『働く喪主』を企業がどう支えるかという問いへの具体的な解を提示する取り組み」と位置づける。
また、京都大学名誉教授のカール・ベッカー氏も、本プロジェクトを「世界的にも先進的な試み」と評価する。
東三河の企業群とスタートアップが共創する本取り組みは、地域発の実証にとどまらず、日本全体の働き方や企業のあり方を問い直す契機となる可能性を持つ。「悲しみ」を抱えながらも働き続けられる社会。その実装に向けた一歩が、いま地域から始まっている。
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(TOMORUBA編集部)