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【ANNDレポートVol.1】 愛知県内自動車サプライヤーが新事業創出に挑戦!8社が踏み出した大きな一歩とは――「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION DEMODAY」レポート

【ANNDレポートVol.1】 愛知県内自動車サプライヤーが新事業創出に挑戦!8社が踏み出した大きな一歩とは――「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION DEMODAY」レポート

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愛知県は、3月11日と12日の2日間にわたり、今年度のスタートアップ支援活動の成果等を発表する大規模なイベント『AICHI INNOVATION DAYS 2024』(略称ANND:アンド)を開催した。会場はTKPガーデンシティPREMIUM名古屋ルーセントタワー。昨年度のANNDは、リアルとオンラインのハイブリッド開催だったが、今年度はリアル会場のみで開催された。「意図的なセレンディピティによる想像を超えた価値創出」をコンセプトに、50を超える国内外のスタートアップや企業、著名なスピーカーたちが登壇。革新的なビジネスモデルや最先端の技術に基づく取組を発表するとともに、オープンイノベーションや資金調達など愛知県のスタートアップを取り巻く環境・目指すべき姿についてトークセッションを行った。

本記事は『ANND 2024』で展開されたプログラムのレポートの第1弾として、自動車サプライヤー向け新事業創出プログラムの成果発表会、「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION DEMODAY」の様子をレポートする。

なお、愛知県が主催する「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION」は、県内の中堅・中小自動車サプライヤーの新事業創出、新分野進出に向け、新たな事業の柱の構築を支援することを目的として、2023年6月に始動しているプログラムだ(※)。

※関連記事:自動車産業の大変革期を勝ち抜く――『愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION』始動!参画企業3社が共創で目指す新事業とは?

自社内及びオープンイノベーションでの新事業創出を目指す、愛知県内自動車サプライヤー8社が登壇

冒頭に、「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION DEMODAY」の運営を担うeiiconの速水から、本プログラムに関する説明があった。

プログラムは大きく2種類にわかれており、参入する事業領域を定め、事業内容を明確化することを目標とした『新規事業展開プログラム』、そして、既に新事業のテーマが決まっており、パートナー企業と共に新事業創出を目指す『オープンイノベーション推進プログラム』がある。

――「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION DEMODAY」では、新事業展開プログラムに参加した5社(七宝金型工業、小島プレス工業、八幡製鋲所、前田鉄工所、盟和精工)と、オープンイノベーション推進プログラムに参加した3チーム(前田シェルサービス×東洋レヂン、アール・ティ・エンジニアリング×名友産商、オーテック×TENHO)のピッチが行われた。

自社の技術を活用しながら新たな領域への事業展開を目指す5社のピッチ

まずは、自社内で新事業の開発を目指す『新事業展開プログラム』に参画した5社のピッチの模様を、以下に紹介していく。

●【七宝金型工業株式会社】 「金属3Dプリンターで新たなものづくりを」

エンジンなど、大型の金型の設計・製造を得意とする七宝金型工業は、縮小する金型業界で、新たな経営基盤となる事業を生み出すことにチャレンジしている。金型業界が課題として捉えているのは、扱う対象が大型の金属であるため、平行出しなどの作業に危険と労力が伴うことだ。作業者の負担を減らし、この課題を解決出来るソリューションを開発することで、同業他社への販売を検討している。

そのソリューションとして、七宝金型工業は金属3Dプリンタを開発し、平行出しの作業を3Dプリンタで完結することに成功した。実証実験の結果は良好で、既存の調整作業時間の30分の1まで軽減可能であると証明された。今後は品質向上に取り組みながら、マーケティング調査を実施し、売上を立てることを目指していく。

●【小島プレス工業株式会社】 「車室内の快適性向上」

自動車の内装部品を製造している小島プレス工業は、将来、自動運転が普及した際の車内空間で、「寝ながら移動すること」が可能になると見越している。そこで、移動中睡眠が行われる「夜行バス」にフォーカスし、新事業のテーマとして選出した。具体的には「快適空間プラットフォームビジネス」と銘打って、車室内の快適性を追求するために、移動中の快適さを提供するだけでなく、睡眠データを可視化することを目指すという。

マイルストーンとして、直近では音波、電波技術などを用いた睡眠データの取得と蓄積を推進し、快適空間づくりをブラッシュアップしていく。2027年には、快適空間の提供を商品化するだけでなく、睡眠データの販売も視野に入れていく計画だ。

●【株式会社八幡製鋲所】 「鍛造要素技術の開発」

自動車用シートや、シートベルトなどの締結部品を製造・販売する八幡製鋲所は、長所である「鍛造技術要素」を開発すること、具体的にはギヤ成形技術の知見を得ることを目指している。ギヤ成形の新たな取り組みとして、設計、金型製作、試作までを終えており、見事にギヤ成形に成功した。

試作が成功したことで、新たな課題として、材料の鍛造成形性の強度、金型の耐久性、ユーザー検証などのネクストステップが洗い出されたという。今後、材料、金型製作、トライボロジーの3分野で、これらの課題を解決できる協業先を探しながら、開発を継続するとのことだ。

●【株式会社前田鉄工所】 「次世代歯車・シャフトの開発」

自動車や農機、建機の部品を製造する前田鉄工所は、得意とする歯車やシャフトの製造において、高精度、高難度な次世代型の開発を目指している。次世代部品を展開する領域として、自動車、農機、建機などの既存領域の新製品に加え、ロボット産業などの新たな領域にも、歯車、シャフトを提供することをテーマとして新事業に取り組む。

同社の強みとして、試作・開発段階から関与ができること、少量から大量生産まで対応可能であること、製造を一気通貫して対応できることを挙げる。2025年までに開発を開始し、2027年までに全体の25%を新規ビジネスにすることを今後の展望にしているという。具体的には、冷間鍛造技術、歯研などの周辺技術を持っているパートナー、もしくは、ロボット業界・農機などの業界企業、自動車関連産業などのパートナーを検討しているとのことだ。

●【盟和精工株式会社】 「高付加価値家具」

主に自動車のドア部品を製造する盟和精工は、2つの工場に拠点を持っており、それぞれモビリティ部品の量産と、試作品生産を担っている。2020年にソリューション事業を担う「MS事業部」が発足し、キャンピングカーに収納可能なデッキを追加するなどの実績を持っている。今回新たに自社の技術を活かして、家具とアートをテーマに開発を検討しているという。

新事業のコンセプトを「人の心を豊かにする家具」と定め、家具とアートに関する調査を実施したところ、実用性と芸術性が両立しにくいことがわかり、どちらかに比重をおいた開発が必要だという結果が出たとのことだ。今後は、2024年度中に試作、そして販売を目指し、まずは木材の調達や高級家具の販路を開拓するためのパートナー探しを進めるという。

自社とパートナーの技術を掛け合わせて新たな共創事業の創出を目指す3チームのピッチ

ここからは、他社と連携した新事業の共同開発を目指す、『オープンイノベーション推進プログラム』に参画した3チームのピッチの模様を、以下に紹介していく。

●【株式会社前田シェルサービス×東洋レヂン株式会社】 「3Dプリンターで作る環境配慮家具」

工業用フィルターの製造販売、ウレタン樹脂製品鋳造用金型製作、金属加工などの事業を展開する前田シェルサービスは、東洋レヂンとのオープンイノベーションの成果を発表した。大型3Dプリンタを活用した、積層造形・形状のノウハウを保有している前田グループは、プラスチック成形及び着色を行う医療機器製造メーカーである東洋レヂンと共創プロジェクトを発足し、サステナブルなペレット材料の開発を目指した。

今後の展望として、国内販売を実現した後は、環境意識の高い海外へ展開し、プロダクトをブランド化する狙いだという。直近でインテリア商品ブランド「孚美」を立ち上げ、2025年に新材料商品をリリース、2026年に海外販売するマイルストーンを計画している。

●【アール・ティ・エンジニアリング株式会社×株式会社名友産商】 「熱エネルギーを活用したものづくり」

名友産商は、転造加工ネジなど自動車部品の多品種少量生産を得意とする部品加工メーカーで、アール・ティ・エンジニアリングは高品質・低コスト・短納期でのガス器具の部品製造を得意としている。両社に共通する課題として、業界依存度が高いことが挙げられるという。

そこで両社は、パイプ部品の製造技術などといった専門技術をベースに共同開発を推進し、熱エネルギーの課題解決を実現しながら、軽量化・工数低減でのものづくりを提案するという。現在、他業界の知識をインプットしながらマーケティング調査を行っているステータスで、2024年中に試作・テストを行い、2025年の量産化を目指している。

●【株式会社オーテック×株式会社TENHO】 「AIを活用したものづくり企業のDX」

エンジン・排気系の自動車部品の製造を得意とするオーテックと、AIデジタルソリューションを提供するTENHOは、製造現場のカイゼン力とデジタル技術を掛け合わせたプロダクト/サービスの開発で、生産性を高めることをビジョンにオープンイノベーションを推進している。

共創に至った経緯として、オーテックがDXに取り組む中で、コスト面やセキュリティ面、データ活用面においてハードルを感じている現状があるという。課題解決の方向性として、OCRとAI技術によってDXを推進することを目指す。具体的には、紙媒体で保管されていた書類のデジタル化と、そのデータを検索して取得できる環境構築、そして業務の可視化と効率化を実証・検証するという。今後、この実証結果をもって事業化を検討し、2025年にテスト販売、2026年にプロダクト/サービスの販売体制の確立を進める計画だ。

取材後記

「愛知自動車サプライヤーBUSINESS CREATION」の成果報告会として、新規事業展開プログラム5社と、オープンイノベーション推進プログラム3チームのピッチをレポートした。保有している技術や強みはそれぞれだが、プログラムに取り組む背景として目まぐるしく変化する環境への対応を挙げる企業が多いことが印象的だった。日本のお家芸とも言える自動車産業が永く繁栄するためにも、多くの新規事業や共創が成功することを期待したい。

(編集:眞田幸剛、文:久野太一、撮影:齊木恵太)

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