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国内160以上の施設、年間来店客数10億人のフィールドが舞台。イオンモールが実現したい「新たな暮らしの未来」とは?

国内160以上の施設、年間来店客数10億人のフィールドが舞台。イオンモールが実現したい「新たな暮らしの未来」とは?

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国内では160以上の施設を運営し、人々の暮らしを支えているイオンモール株式会社。国内施設の年間来店客数は約10億人を誇っており、その知名度は圧倒的だ。――そんな同社は、地域とともに「暮らしの未来」をつくるLife Design Developerであることを経営理念として、単に商業施設を開発・運営するのみならず、住民や出店企業などと共に地域の文化を活気づける活動や積極的なデジタル化、環境への取り組みを進め、地域の生活拠点として進化を続けている。

そこで今回イオンモールでは、”「新たな暮らしの未来」を共創する”と題したオープンイノベーションプログラム「AEON MALL OPEN INNOVATION PROGRAM」を開始し、共創パートナーを募集する。応募締め切りは11月19日(日)だ。

本プログラムで掲げる3つのテーマ「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」「リアルショッピングの魅力最大化」「地球環境と共生する地域基盤の形成」の背景や共創パートナーと実現したいこと、活用できるリソースなどについて、イオンモール株式会社 ビジネスイノベーション推進部 野口耕司氏、大庭翔平氏に話を聞いた。

高い視座、新たなアイデア、スピードを得るべく、オープンイノベーションプログラムを実施

――はじめに、貴社の事業概要と、ビジョンについてお聞かせください。

野口氏 : 当社はイオンモールを地域コミュニティーの中核として、日々の暮らしに欠かせないソリューションを提供する会社です。新しい価値を創出するために、お客様のライフスタイルの変化を先取りし、購買行動だけではない新たな来店動機につながるような価値を、スピード感をもって創り上げていきます。それが、当社が掲げる理念「Life Design Developer」につながります。

しかしこれは、当社だけで形にできるものではありません。専門店企業様、取引先様、お客様など、様々な方々との共創の中から共感を生み出し、価値につながるものです。そうした連鎖の輪をつくることが、私たちが目指す方向性です。

▲イオンモール株式会社 ビジネスイノベーション推進部 野口耕司氏

――「Life Design Developer」につながる、直近での取り組み内容があれば教えてください。

大庭氏 : 商業施設をコアに、開発形態が多様化してきています。たとえば、「BIZrium名古屋」というオフィス施設を2021年に開設しました。今年はマンションデベロッパーとの提携も発表させて頂いたほか、10月には都市部の不動産を活用した「de aone(デュ アオーネ)」を自由が丘に、屋外広場と一体になった「nONIWA(ノニワ)」をイオンモール羽生に、と新ブランドを続けてオープンします。

また、春には物流効率化を目指した共同配送サービスも立ち上げました。物流課題が深刻化し、出店いただく企業様やご来店いただくお客様にも影響があると考えて、土地や施設などのハードにこだわらず課題に取り組んでおります。

▲イオンモール株式会社 ビジネスイノベーション推進部 大庭翔平氏

――続いて、今回のオープンイノベーションプログラムに取り組む背景や狙いについてお聞かせください。

野口氏 : 大きく3つあります。1つ目は、非常に高い視座を得ていくためです。SDGsやESGの観点でも、気候変動やプラゴミ問題など、当社にかかわりの深い課題は非常に多くあります。そういった専門性のある方との共創により、視座を高めていきたいと考えています。

2つ目は、事業・サービスのアイデアを得ることです。共創パートナーの方々と、1+1が2ではなく3になるようなアイデアを考えていくことが重要だと思います。

そして3つ目は、スピードです。やはりすべてを自前で考えることよりも、変化の激しい中で、共創によりアイデアをスピーディーに形にすることが目的となります。

大庭氏 : 2021年にもアクセラレータプログラムを実施したのですが、採択企業と協業検討を進める中で、得るものが非常に大きかったです。高い視座や思いもよらないアイデアをいただき、我々にとって非常に重要なアクションだと感じたことが、今回のプログラム実施の背景にもあります。

また、非常に多くの企業から応募いただいたことも、外部の企業からご期待いただけるようなことが、こんなにもあるんだ、と気付かされるきっかけとなりました。そして、今年の春にはCVC「Life Design Fund」が設立されるなど、オープンイノベーションに取り組むための具体的なアクションが増えてきています。

【テーマ1】 「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」~地域全体に新たな価値を提供

――今回は3つのテーマを設定されていますが、それぞれのテーマについて伺います。まず「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を設定した背景についてお聞かせください。

野口氏 : 当社は、地域密着で活力ある社会づくりの拠点として、貢献したいと考えています。将来を俯瞰すると、イオンモールに求められる姿は変化していくはずです。地域創生、教育、高齢者就労など、地域によって必要とされる機能は異なると思いますが、活力ある社会づくりに向けて、共創パートナーの方と共にアプローチしていきたいという目的でこのテーマを設定しました。

――このテーマで、共創パートナーとどのようなことを実現したいと考えていますか?

大庭氏 : 来館いただいたお客様の幸福度や健康を可視化・分析する技術やアイデアを求めています。たとえば、来館するだけで心身の健康状態を知ることができ、必要なアクションを知ることができるような“健康の拠点”となることも、私たちに期待いただいていることだと思います。

バイオフィリックデザイン(自然とのつながりを重視するデザイン)やプライマリーケア(身近にあり何でも相談にのってくれる総合的な医療)など、新しい概念を社会実装していく場として、アイデアをお持ちの企業には、ぜひご応募いただきたいです。

――本テーマの募集内容のひとつである「物流、交通、デジタルの地域拠点化」においては、エアモビリティやデータセンターといったキーワードをあげていらっしゃいますが、具体的にどのようなイメージをお持ちでしょうか。

大庭氏 : 地域観光資源の近隣にある施設も非常に多いことから、イオンモールを拠点として、様々な場所に行けることは地域活性化において重要だと思います。もう1つは、ドローンです。「買い物難民」の問題など、物流の課題が今後さらに深刻になる中、当社の施設からドローンを飛ばすことができれば、その課題も取り除くことができるはずです。技術やアイデアを駆使して地域の新しいインフラを、ぜひ一緒に考えていきたいです。

【テーマ2】 「リアルショッピングの魅力最大化」~来館者や出店企業にさらなる価値を

――2つ目のテーマ、「リアルショッピングの魅力最大化」を設定した理由をお聞かせください。

野口氏 : 1つ目のテーマ「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」は地域社会がターゲットでしたが、2つ目のテーマは専門店企業様とご来店されるお客様がターゲットです。もともとイオンモールは、創業時から多くの専門店企業様と共に価値を創造してきた歴史があります。今後も、専門店企業様と賑わいのある商業施設を作り続けるためには、次のステップに進化していく必要があります。

商業施設を取り巻く環境が変化する中でも、専門店企業様と、ご来店いただくお客様にとって、新鮮で楽しい価値を提供し続けられるよう、アップデートをしていきたい、それがこのテーマを設定した理由です。具体的には、地域やインバウンドのマーケティングに寄与するデータの分析、専門店企業様のデジタル化支援や物流課題・人材課題解決、また、館内サイネージの活用や生成AIによる業務効率化にも取り組んでいきたいと思います。

――募集内容について詳しくお聞かせください。

大庭氏 : 専門店企業様は、深刻な人材不足を抱えていらっしゃいます。そのため、人材確保の手段はもちろん、人が担う領域を機械に置き換えることも含めて検討する必要があります。そこで「専門店企業の人材課題解決」を募集しています。

一方で、専門店企業様が自ら人を確保することが難しいケースもあるため、フランチャイズというキーワードも可能性があると思います。たとえば、当社がフランチャイズ事業者になったり、専門店企業様とフランチャイズ加盟希望者をつないだりと、色んなソリューションが考えられるでしょう。そういった知見のある方も求めています。

「専門店企業のデジタル化支援や物流課題解決」も重点課題です。急速なデジタル化、コロナ禍、世界情勢の変化によりサプライチェーンの問題は深刻化しています。その中で、企業によって差が出ていることは事実です。せっかく当社の施設に出店いただいているからには、当社から専門店企業様に対する支援をこれまで以上にしなければならないと考えています。私たちはスーパーなどの小売りを運営していないため、例えば館内での物流業務など、まだ掘り起こし切れていない課題も多いと感じております。そうしたところから取り組んでいけるパートナーも募集しています。

また、データ活用も重要な領域です。大規模な商業施設を運営する当社だからこそ、様々な「データ分析、マーケティングソリューションを提供」していくことは、次のステップとして大切だと思います。現在も、世の中のオープンデータを使って様々な取り組みをしていますが、それ以外にユニークなデータをお持ちの企業と取り組みを進めていきたいです。

「館内サイネージ」も、ぜひ有効活用していきたいリソースです。当社の施設には、吹き抜けや通路などにサイネージを設置しています。それらを、ご来館いただくお客様向けコンテンツの発信や、広告ツールとして活用していくために、知見のある企業を募集しています。

最後に、当社の業務効率化のために生成AIなどを活用していきたいと考えています。たとえばAIチャットボットによる効率化、資料作成の自動化、データ分析など、サービスとしてお持ちの企業があれば、ぜひご一緒したいですね。

【テーマ3】 「地球環境と共生する地域基盤の形成」~イオンモールを資源循環のハブに

――3つ目のテーマ「地球環境と共生する地域基盤の形成」の背景についてもお聞かせください。

野口氏 : 当社は、脱炭素社会の実現に向けて、2040年までに当社の直営モール全店舗で「地産地消再生エネルギー100%」を目標としています。この目標に向かってどのように取り組んでいくかが1つ大きなポイントです。お客様と共に、モールと住宅を電力で結んだり、地域と共に地産地消型の再生エネルギーを創出したり、様々な取り組みを進める共創パートナーを求めています。

――こちらも、具体的な募集内容について教えてください。

大庭氏 : 当社は、脱炭素社会の実現、サーキュラーモールの実現、生物多様性の保全を実現すべく、地域の方々とともに「まちのACTION!」という取り組みを進めています。

具体的なソリューションは、技術の進歩に従って色々と出てきていますが、それを持続可能な仕組みに取り入れることが、最も大きな課題です。持続可能というのは、たとえば単純に資源自体を循環させるのみならず、その資源と共に循環する価値を創造していかねば、どこかで循環のチェーンは切れてしまうでしょう。そこで、技術もそうですが、それをどう持続可能な仕組みにしていくかを、一緒に考えてくださる方々と取り組みをしていきたいです。

▲イオンモールでは、地域や専門店企業とともに「まちのACTION!」に取り組んでいる(画像出典:イオンモールホームページ

――ここでも、募集内容として小テーマを設けていらっしゃいますが、特に力を入れているポイントはありますか?

大庭氏 : たとえば当社の施設には多くの資源が集積しますが、廃棄衣類のアップサイクル技術、再資源化技術、プラスチックのリサイクルなど、様々な技術が出てきたものの、持続的な仕組みの構築は非常にハードルが高いと感じています。物流面やバリューチェーンづくりなどの課題を乗り越えるために、どのようなビジネスモデルで取り組むべきか、考えていきたいです。

また、「建材のゼロウェイスト」も重要なキーワードです。施設の建て替えが今後増えてくる中で、廃棄建材のリサイクルや、建材の地産地消の取り組みも進めていきたいです。そのための技術や保管方法などを一緒に考えたいですね。

年間のべ10億人の来館者、約8,000社の専門店企業とのネットワーク

――共創パートナーに対して提供できるリソースを教えてください。

大庭氏 : ひとつは、リアルの場です。イオンモールは大規模な施設を全国に展開しています。そのリアルの場には、人もいます。国内年間来店客数約10億人という規模は、大きな力だと思っています。

次に、ネットワークです。約8,000社にのぼる専門店企業様をはじめ、様々なステークホルダーに支えられている当社のネットワークは、大きなリソースです。そして、自治体様や地域とのかかわりもリソースと言えるでしょう。連携協定を締結している自治体様が多く、地域の暮らしや新しいライフスタイルなどの側面で連携できる可能性があります。

――最後に、応募を検討している企業に対してメッセージをお願いします。

野口氏 : オープンイノベーションを通じて得られる気付きや学びは非常に大きいです。こうした機会を通じて当社は成長したいと考えています。具体的な成果をつくることもそうですが、こうした機会そのものを大切にしたいのです。今回は”「新たな暮らしの未来」を共創する”というキーワードを掲げているため、共感いただける企業様にはぜひエントリーいただきたいです。

大庭氏 : 当社は様々な共創プロジェクトを進めており、常に全国どこかの施設で何かしらの実証実験を行っています。そのため、具体的なお話や取り組みをしやすい環境にあるといえます。今回設定した3つのテーマは、当社の各部門から挙げられたものです。現場が抱えるリアルな課題であるからこそ、具体的な運営については各部門がテーマオーナーとして進めていく体制があります。ご応募をお待ちしています。

取材後記

地域社会に根差し、生活に欠かせない存在として信頼を築いてきたイオンモール。年間のべ10億人の来館数、8,000社以上の出店企業とのネットワーク、そして大規模なショッピングモールというリアルな場は、実証実験の場として非常に大きな魅力を持つ。

そして、これまで多くの共創事例があること、そして各部門がテーマオーナーとして取り組むことも、事業化につなげやすい体制であることが分かる。地域課題や持続可能な社会に向けて、技術やアイデアを活かしていきたい企業は、ぜひ応募を検討してほしい。応募締め切りは11月19日(日)だ。

※「AEON MALL OPEN INNOVATION PROGRAM」の詳細はこちらをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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