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100万人の生活基盤を支える大和ライフネクスト|経営トップが語る、共創プログラムを通して実現したい未来とは?

100万人の生活基盤を支える大和ライフネクスト|経営トップが語る、共創プログラムを通して実現したい未来とは?

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昨年刷新した「LEAD NEXTYLE」をビジョンに掲げ、新たな一歩を踏み出した大和ライフネクスト株式会社(以下、大和ライフネクスト)。このビジョンには、「まだ世の中にない、新しいスタイルを生み出していきたい」との強い想いが込められている。同社は現在、“未来の新しいスタイル”を創出するべく新規事業の立ち上げを加速している。その中で、外部企業との共創も本格化。ベンチャー企業と手を組み、矢継ぎ早に事業化へと歩を進めているという。

大和ハウスグループの一社として、マンション・ビルをはじめとした多種多様な建物の管理を手がける同社が、今なぜベンチャーとの共創に取り組むのか、その真意や見据える未来とは?――今回eiiconでは、大和ライフネクストにて代表取締役社長を務める石﨑順子氏に、共創プログラムを本格化する背景や方向性についてお伺いした。

※共創プログラムの詳細についてはこちらをご覧ください。

■大和ライフネクスト株式会社 代表取締役社長 石﨑順子氏

1983年、日本リクルートセンター(現:リクルートホールディングス)に新卒入社。1985年に、リクルートコスモス(現:コスモスイニシア)へ。同社にて上場プロジェクトに携わる。1999年からは、コスモスライフ(現:大和ライフネクスト)へ。取締役、常務を経て2016年10月より代表取締役社長に就任。愛媛県出身、大阪大学法学部卒。社内では親しみを込めて「順子さん」と呼ばれている。

■既存事業だけでは、”バラ色の未来”が描けない

――まず最初に、御社がオープンイノベーションを推進する背景についてお伺いしたいです。

石﨑氏 :  大和ライフネクストは、不動産、とりわけ分譲マンションの管理を主力事業としている会社です。当社は大和ハウスグループと、リクルートグループの不動産管理部門が合併して誕生したという背景があるのですが、両社の管理してきた件数を合わせると、現在約36万戸にも及ぶ分譲マンションを管理しています。分譲マンション以外では、オフィス、店舗、商業施設、物流倉庫、工場やメガソーラーといった建物を、合計3500棟くらいでしょうか。多種多様な建物の管理をお任せいただいております。管理の仕事は、一度ご契約いただくと継続してご依頼いただけるものですから、そういう意味では安定して成長し続けることができました。

ただ、将来的にはどうでしょう。まず、分譲マンションについては、今後、新築マンションの分譲が大幅に増えるという期待はできません。既存のマンションに関しても、お住まいの方の高齢化に伴い管理組合の財政が逼迫してきています。また、分譲マンション以外の法人向け建物管理についても、管理費を抑えて利益を上げたいというのが企業の本音。ですから、これまで通りの事業展開では、”バラ色の未来"は描けないというのが現状なんです。

――現状維持では、成長戦略が描きづらくなったと。

石﨑氏 : そうです。より付加価値をつけ、品質を向上させたとしても、当社が大きく成長するという図式がどうしても描けません。今のままでは、微増の成長、薄い利益ということになります。これは、会社の持続性という意味でもよくありませんし、会社も活性化しません。おもしろくもないと感じています。

一方で、見方を変えれば、私たちは36万戸にも及ぶ分譲マンション管理を受託しています。マンション管理は、ごみ捨てのルールを決めたり、共用部のメンテナンス、改修、清掃を行ったりと、いわば行政になりかわって生活のインフラを整えているような仕事です。36万戸ですから、およそ100万人に近い人たちの生活基盤を、私たちが支えているとも言えるんです。

3500棟あるオフィスや店舗にしても、ここを利用している人の数は何千万人にも及びます。管理をするために協力していただいている企業も、数百社は優に超えるでしょう。協力会社さんの従業員も含めると、関係者は数えることのできないほどの規模感になります。つまり、私たちの手がけている事業は、非常に裾野が広いビジネスで、なおかつ莫大なストックがあると言えます。この経営資源は、必ず何かに活用できるはずです。

――確かに裾野の広さと莫大なストックという点では、他社を圧倒していますね。

石﨑氏 : 加えて言うならば、先述の通り、私たちのビジネスは非常に安定しています。建物管理は継続するものですから、今期100であったものが、来期0になるということはありえません。ですから、来期の売上を立てるために四苦八苦しなくてもいいという企業環境にあるのです。

安定した収益基盤があり、莫大なストックもあり、なおかつビジネスの裾野は非常に広い。さらには、大和ハウスグループの看板があり、リクルートで培ってきた自由闊達な社風もある。これらを総合すると、私たちはもっと新しいことにチャレンジすべきだし、する使命もある、できる環境にもある。とても恵まれた環境にあるのだから、もっと新しいビジネスに踏み込むべきだと考えたのです。

ただ、新たな事業を創出していくにあたり、社内のメンバーだけで考えても、常識にとらわれすぎてなかなかいいアイデアは出てきません。ですから、ここはぜひ外部の新しい発想をお持ちの方から、アイデアやご意見をいただきながら、新しい未来に向けて何か社会に貢献できるような事業を始めたい――これが社外との共創プログラムを本格化する背景にある想いです。

■未来に役立つビジネスを、継続的に生み出したい

――なるほど。では、外部との共創を通じて、どのような課題の解決、世界観の実現を目指していらっしゃるのでしょうか。

石﨑氏 : 実現したい世界観は、昨年当社が定めた経営ビジョン「LEAD NEXTYLE あしたのあたり前を、あなたに。」で表現している通りです。未来の社会に役立つビジネスを、継続的に追いかけていきたいというのが当社の想いなんです。

中でも、ひとつのキーワードに据えているのが「ワンストップ」。ワンストップで様々なものを組み合わせて提供できる存在になることを目指しています。たとえば、寮の管理をしていらっしゃる法人の人事部門があるとします。「寮が古くなったから何とかしたい」という相談をいただいたら、当社でリノベーションしてもう一度提供することもできるし、売るなら売り先を見つけることもできる。あるいは、当社は寮の管理も行っているので、寮生さんに紹介して借りていただくこともできる。これはあくまで一例ですが、このように豊富なサービスラインナップを取り揃えることで、一括してお受けするような体制構築を目指しています。

また、分譲マンションは高齢化が進行していますから、高齢化問題にも対応していく必要があるでしょう。当社では、お住まいのご高齢者の方たちに対して相談窓口を設けています。そこではご高齢者のみなさまから困ったことをお伺いしているんですね。生前贈与や相続税対策、見守り、老人ホームなど、さまざまなお悩みが寄せられていますので、それをもとにサービスを拡充していきたいと考えています。

さらに、業務の無人化、省人化にも注力していかねばなりません。不動産管理には人手が必要な業務が山のように存在します。この部分に関しては、ぜひベンチャーの方にご意見をいただき、技術でカバーできる部分があれば、カバーしていきたいです。加えて言うなら、災害や老朽化に対する対策でしょうか。自社内で事例研究を行ってはいますが、付加していけるようなアイデアがあれば、非常にうれしいですね。

▲大和ライフネクスト Webサイトのトップページにも「LEAD NEXTYLE」という経営ビジョンが掲げられている。

――すでに、医療モール(※)や駐車場のシェアリングを展開するベンチャー企業とともに新たな事業を育てていらっしゃると聞いています。共創してみての手ごたえは?

石﨑氏 : 共創を通して私たちにしかできない成功パターンを見いだし、ビジネスを大きくしていきたいとの想いを持っていますが、正直なところまだ模索段階です。ですから、今は数多くのチャレンジを積み重ねているところです。未来に向けて種をたくさん蒔き、大きく育つものがあればいい。枯れてしまうものもあるかもしれませんが、たくさんの種を蒔けば育つものも出てくるはずです。そんな想いで、今は新規事業の育成に取り組んでいますね。

ベンチャーの方たちとお話をする機会が増えて感じるのは、ベンチャーの方たちは私たちとスピード感が全然違うということです。ひとつがダメになっても、すぐに次を仕掛けていく。その推進力は素晴らしいですね。今の常識を非常識に変えていくようなセンスも、社内にはないものですから、とても刺激になっています。

一方で、アイデアは素晴らしいものの、実社会や実ビジネスに落とし込んでいくプロセスに慣れていらっしゃらない方が多いとの印象も抱いています。ですから、ベンチャーのアイデアと当社のビジネス感覚をうまく融合すれば、実はブレークするものも多いのではないかと。そういう意味でも、ぜひ手を組んで仕掛けていきたいです。

※「MEDICAL PRIME」という医療モールの新たなブランドで、全国主要都市での展開を目指している。

 

■36万戸、100万人にリーチできる可能性

――共創パートナーに対して提供できる、御社ならではのリソースはどんなものでしょうか。

石﨑氏 : 繰り返しになりますが、私たちは約36万戸のマンションを管理しています。基本的には共用部の管理ですが、ハウスクリーニングやお部屋内のリフォームといった個人宅向けのサービスも展開しています。私たちが管理するマンションで生活している人たちに対して、管理会社だからこそ提供できるサービスは、もっともっとあるはず。マンションという生活の場を通じて展開できるサービスであれば、当社のリソースを十分活用していただけると思います。

また、大和ハウスグループ全体では4兆円規模のビジネスを展開しており、関連会社は350社を超えています。グループ全体を見渡しても、一緒に新しい事業を創出できる余地はたくさんあるでしょう。私たちの持つリソースを積極的に活用し、新たな事業をつくっていただきたいと思います。さらに、当社(子会社含む)も売上が1000億円を超え、安定した基盤があります。合理性と回収の見込みがあれば、積極的に出資も検討させていただきます。

それ以外では、社風ですかね。起業家精神が旺盛なリクルートのDNAを持っている会社ですから、新しいチャレンジに対して恐れはありません。意思決定のスピードや走りながら考えるといった企業風土は、リクルートから受け継いでいますから、ベンチャーの方から見ると、協力して進めやすいのではないでしょうか。現在、新規プロジェクトをたくさん走らせていますし、新規事業創出や業務改善を目的とした社内コンテストも実施しています。新しいものを積極的に受け入れていく社風にも期待していただきたいですね。

――御社が共創パートナーに求めるマインドはどういったものでしょう。

石﨑氏 : 「社会の役に立ちたい」だとか、「困っている人を助けたい」だとか、そういったマインドをお持ちの方でなければ、組むのは難しいです。私たちは、社会問題に向き合っている企業ですから、社会に貢献していく意思のない方々とは組めません。そういう意味では、社会貢献性に尽きるとも言えます。

――最後に、共創パートナーへ一言メッセージをお願いします。

石﨑氏 :  私たちは、お住まいの方の高齢化や建物の老朽化に対する課題感、既存業務を省人化していかねばならないとの問題意識、さらに未来の社会に役立つビジネスを生み出したいとの熱意も持っています。この想いに共感して新たな価値創造ができる方、未来の「あたり前」をつくる、「LEAD NEXTYLE」をともに実現してくれる方に、ぜひお会いしたいですね。

■取材後記

石﨑社長はリクルートご出身とのこともあり、ベンチャースピリッツ溢れる方との印象を受けた。「新しいチャレンジに対して恐れはない」との言葉が示す通り、同社では現在7本の新規プロジェクトが進行中だという。新規事業はトップの理解がないと、前に進めづらいが、その点、大和ライフネクストでは心配なさそうだ。同社では、期間を限定せず常に共創パートナーを募集しているという。不動産管理のあり方を変えるテクノロジー、マンションという場を活用してスケールさせたいビジネス、あるいは活気のある街づくりに貢献していけるようなアイデアなど、大和ハウスグループと組んで仕掛けたい“何か”をお持ちの方はぜひコンタクトを。

※共創への取り組み詳細やコンタクトについてはこちらをご覧ください。

(構成:眞田 幸剛、取材・文:林綾、撮影:齊木恵太)

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コメント2件

  • Ayuko Nakamura

    Ayuko Nakamura

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    高齢化、業務の無人化、省人化、災害や老朽化に対する対策も。
    共創がいま必要である理由を伺いました!