ワントゥーテン×群言堂×大成建設|メタバースと現実空間のリアルタイム連動を実現 デジタルツインバース「QURIOS」を「石見銀山メタバースプロジェクト」へ提供
株式会社ワントゥーテンと島根県大田市にある株式会社石見銀山群言堂グループ(以下、群言堂)は共同で、「石見銀山メタバースプロジェクト」を推進する。本プロジェクトは、石見銀山群言堂グループが石見銀山エリアに所有する築260年の古民家である、茅葺きの家『鄙舎(ひなや)』を舞台に、現実の建築空間とデジタルツイン空間がリアルタイムに相互連携するメタバースの社会実装実験で、ワントゥーテンはデジタルツインとAIエージェントの統合ソリューション「QURIOS(キュリオス)」で参画する。建物のBIM化は大成建設株式会社が担う。
デジタルツインバース「QURIOS」
デジタルツインバース「QURIOS」は、デジタルツインとしてのメタバース空間を現実の空間とリアルタイムに連動させることができる、メタバースと現実空間の壁を超えた次世代のプラットフォーム。日本中のあらゆる地域をデジタルツイン化し、世界中からあらゆる境遇の人が参加出来る自由なプラットフォームを目指し、2年前の2020年からワントゥーテンが開発を進めている技術だ。(特許出願中)
「QURIOS」は、自己位置推定技術によりスマートフォンやタブレット、スマートグラスなどのデバイスを持つ現実空間にいる人々の位置情報をデジタルツイン空間のアバターに同期させることができ、デジタルツイン空間の多数のアバターをスマートフォンやタブレットなどのデバイス上にAR表示させ、現実空間からコミュニケーションすることを可能にした次世代のメタバース技術だ。
「QURIOS」は、日本全国の観光名所や商業施設、都市をデジタルツイン化することを目的にワントゥーテンが2020年から開発を進めてきたもの。今後はワントゥーテンが保有する「対話型AIエージェント」や「ホロポーテーション(人体の3D転送技術)」などを搭載し、日本国内の複数拠点へ導入を計画している。
デジタルツインバース「QURIOS」を「石見銀山メタバースプロジェクト」へ提供
「石見銀山メタバースプロジェクト」では、群言堂が保有する古民家である、茅葺きの家『鄙舎(ひなや)』を大成建設の技術でBIMモデル作成し、さらに独自開発された「LifeCycleOS(※)」を搭載することによって、「鄙舎」のデジタルツインを構築する。
このデジタルツインモデルをリアル空間と仮想空間でブリッジできる機能を搭載したデジタルツインバースプラットフォーム「QURIOS」を使って、現実空間の「鄙舎」と仮想空間の「鄙舎(バーチャル鄙舎)」上の位置、音声、動画等の情報をリアルタイムに相互連携できるデジタルツインバースを構築する。
デジタルツインバース「QURIOS」の導入により、仮想空間(メタバース)からの来訪者は現実空間(リアル)との境界を越えてあたかも同じ現実空間の「鄙舎(ひなや)」を訪れているような感覚で、現実空間側の人間とリアルタイムにコミュニケーションすることが可能となる。
鄙舎での状況を仮想空間からリアルタイムで体感できるため、ショールームやワークショップ、イベントへの参加、バーチャル鄙舎からの商品説明や購入などの様々な用途で、従来のウェブ会議システムでは得られなかった、直接訪れて体験しているようなライブ感が得られる。
デジタル空間を手描き風CGで構築し、その土地がもつ繊細なニュアンスや空気感を表現
『石見銀山メタバースプロジェクト』のデジタルツイン空間には、あえて手描き風CGを採用している。手描き風CGでの空間構成は既存のメタバースでは珍しい表現だが、暖かみのあるタッチでデジタルツイン空間を描くことで、茅葺きの家「鄙舎」や世界遺産「石見銀山」が重ねてきた歴史や文化、その土地の持つ空気感を表現しているそうだ。
▼石見銀山群言堂のれん(株式会社石見銀山生活文化研究所)
「石見銀山メタバースプロジェクト」とは
これまで、遠隔地である地域との交流は、現地観光、SNSでのテキスト・画像通信、オンライン会議など、現地との身体的密度の高い交流が構築できなかった。また、コロナ禍を経て、群言堂が大切にしてきたお客様との対面での交流や、志を共にする仲間との直接的な交流ができなくなった社会情勢において、デジタル空間における新しい交流のカタチの有効性を実感することができたという。
そこで、株式会社ワントゥーテンと大成建設株式会社と群言堂の3社は、デジタルにおける新しいコミュニケーションプラットフォームの社会実証実験として、「石見銀山メタバースプロジェクト」を始動することになったという。
群言堂は石見銀山エリアのリアルの場の提供、大成建設株式会社は建物のBIM化、株式会社ワントゥーテンはデジタルツインバースプラットフォーム「QURIOS」の提供により、デジタルコミュニケーションの活性化に寄与していく。このデジタルツインバースを地域の新たな交流拠点として、移住者促進や観光資源の情報発信など地方創生の新たなソリューションを検証する社会実証実験を開催する。
今後は、2027年の石見銀山開山500年&世界遺産登録20周年にあわせて、石見銀山の街道(約80m)のデジタルツインを構築し、鄙舎における実証実験で得られた仮想空間における空間体験設計の知見を石見銀山全体に展開する予定。このデジタルツインバースプラットフォームは建築物や都市など様々なスケールに展開できるため、全国各地の地方創生におけるDXソリューションとして、エリアの活性化に寄与できるとの考えだ。
茅葺きの家『鄙舎(ひなや)』について
1996年、江戸時代中期の約260年前に建てられた豪農屋敷が広島県世羅町から石見銀山の町、大森町に移築された。広さ約100平米の平屋で、いろりの間や畳の間など6部屋ある。普段は社員食堂として、時には学生たちの合宿所になったり、音楽家たちのステージになったりと、さまざまなかたちで人が交流する場でもある。
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