ゲノム医療とAIの「テンクー」 | 総額7億円の資金調達、拡大する医療現場のニーズに合わせたサービス拡張・開発を加速
ゲノムおよび生体情報解析のトータルソリューションChrovisの開発とサービス提供を行う株式会社テンクーは、未来創生3号ファンド(運営者:スパークス・グループ株式会社)をリード投資家とし、他1社を含めた2社を引受先とする総額7億円の資金調達を実施したと発表した。
資金調達の背景および目的
テンクーは2011年4月の創業以来、ゲノム医療を主な事業領域とし、一人一人の患者に適切な治療が提供される社会を目指して、情報技術を用いてゲノム医療の社会実装に貢献してきたスタートアップだ。
エンジニアを中心に、高い技術力とバイオインフォマティクスの知見を持つメンバーが集まっており、同社が開発したChrovisを用いて、がんの診断・治療・予防や最先端の研究開発等のためのゲノム情報解析を行なっている。
さらにテンクーは、解析結果に対して臨床現場での判断に役立つ情報を付加する「アノテーション」に力を入れているそうだ。現在全国に広まりつつあるがん遺伝子パネル検査は、がん患者の遺伝子の変化を調べて、その患者のがんが示す特性に適した分子標的薬等の治療を見つけられる可能性のある、画期的な検査手法だが、解析結果の解釈とレポート作成に多大な手間がかかることが大きな課題となっている。
同社は情報技術を活用して複数のデータベースにまたがる膨大なデータを自動処理し、検査結果を判断する医師の業務のサポートや、患者への情報提供を行なっているとのこと。
包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)検査の保険適用から3年が経過し、保険診療下での検査症例数が年間1万件を超えるなど、がんゲノム医療関連市場は堅調に成長を続けている。こうした状況を踏まえて、テンクーは、拡大する医療現場のニーズに合わせたChrovisの機能・サービス拡張と開発とをさらに加速していく考え。このたび調達した資金は、その体制を実現するための人材拡充を中心に投資するという。
投資家からのコメント
■スパークス・グループ株式会社 グループ執行役員 櫻庭茂樹 氏
『次世代シーケンサーによるゲノム解析コストの低下と各国のがんゲノム医療推進の方針により、今後、がんゲノム医療市場の拡大は必至です。がんゲノム医療市場の量的・質的拡大には、がんゲノム医療に携わる医師が診断や治療方針の最終判断までの本来業務にいかに集中できる環境を作るかが重要だと思います。テンクー社のChrovisは、情報収集・臨床的アノテーションから患者様へのレポート作成まで一気通貫にサービスを提供し、医師の業務を格段に効率化させ、今後がんゲノム医療には欠かせないツールになると思います。投資家として、革新的なサービスを日本だけではなく、グローバルに展開することを後押しさせていただくことを大変うれしく思っております。』
株式会社テンクーについて
ゲノム医療解析・バイオインフォマティクスに特化した東京大学発ベンチャー。高い技術力と開発力で、ゲノムおよび生体情報解析のトータルソリューションChrovisの開発と運用を行う。2019年、大学発ベンチャー表彰 文部科学大臣賞をはじめ、多数のスタートアップ関連の賞を受賞。
<事業内容>
・ゲノムおよび生体情報解析のトータルソリューションChrovisの開発と運用
・並列分散コンピューティングによる高速データ処理を行うシステムの開発
・最先端のアルゴリズムに基づくデータ分析/可視化を行うシステムの開発
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