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長崎県の新事業創出を牽引する『CO-DEJIMA』。ここで生まれた4つのOIプロジェクトとは?

長崎県の新事業創出を牽引する『CO-DEJIMA』。ここで生まれた4つのOIプロジェクトとは?

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オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介する企画「CLOSEUP OI」。今回は、「明治日本の産業革命遺産」・「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」といった世界文化遺産や、日本遺産の第一号に認定された「国境の島 壱岐・対馬・五島」、世界新三大夜景の長崎市の夜景など、観光資源にも恵まれている長崎県をピックアップします。

造船業を母体として成長・発展を続けてきた同県。加えて県外から長崎県へ立地した半導体などの先端機器製造等の成長と県内各地域に受け継がれてきた食料品や陶磁器等の伝統的産業に加え、近年、大手企業の研究開発拠点の立地が進んでいます。

実際に、2019年2月には富士フイルムが長崎県や長崎市と立地協定を締結。その他にも、京セラやデンソー系など大手のIT部門や中堅企業6社が県などと立地協定を結んでいます。また、2022年4月には、富士通と「ワーケーションパートナーシップ協定」を締結し、富士通グループ社員がワーケーションを活用した多様な働き方の促進を図ることを目的に、相互の連携・協力をさらに強めています。

さらに、2022年9月には西九州新幹線が開業予定。福岡市(博多駅)と長崎市(長崎駅)が結ばれることで、新たなビジネスのチャンスも生まれそうな状況です。

一方、長崎県ではどのような課題を抱えているのでしょうか。その打ち手として、どのようにイノベーション創出に取り組んでいるのかを見ていきたいと思います。

2040年には人材不足が深刻化

長崎県が公表している「令和3年度 長崎県重点戦略」。同資料には、「人口減少や少子高齢化の急速な進行、新技術の進展、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大といった様々な要因による大きな環境変化が生じ、県政の課題も多様化・複雑化してきています」と明記されています。

その中でも最重要課題としてフォーカスされているのが、「人口減少」です。

「全国よりも速いスピードで進んでいる同県の人口減少。経済規模の縮小、公共サービスや財政への影響、地域の活力低下など、県民生活に多大な影響を及ぼすことから、人口減少対策を最重要課題として取り組んでおり、一部では成果が表れてきているものの未だ人口減少に歯止めをかけるまでには至っていないことに加え、新型コロナの影響や少子高齢化の進展を踏まえると、さらなる対策の強化が必要です」(令和3年度 長崎県重点戦略)

 

▲出典:「長崎県2040年研究会報告」(令和元年10月)

上図は「全国、九州・山口、長崎県の人口の推移」ですが、全国や九州・山口に比べても、長崎県の人口減少は深刻なことが分かります。長崎県の生産年齢人口は2040年には総人口の5割を下回って人材不足が深刻化すると予測されており、喫緊の課題となっています。

この課題に対する打ち手の一つとして、長崎県が注力しているのがスタートアップ等の支援強化。産業構造を変化させ、さらなる地域活性化を目指すためにスタートアップ交流拠点である『CO-DEJIMA』(コデジマ)を2019年に開設しました。

『CO-DEJIMA』で、オープンイノベーションを推進

『CO-DEJIMA』は、「成長が見込まれるスタートアップ企業」や「スタートアップを目指す方」、「企業」、「大学」、「金融機関」など様々な人材が、アイデアや技術を高め合うことで、新たなサービスを形にするための交流拠点。SHIBUYA QWSなど、県外産業交流施設と連携を推進するなど、多様な人材と繋がることができる場となっています。


『CO-DEJIMA』Webサイトより抜粋


さらに、『CO-DEJIMA』では県内×県外企業によるオープンイノベーション型新規事業創出支援を実施。長崎の地域課題と都市部のリソースを掛け合わせることによって長崎発のイノベーションをDejima Naigai Crewが推進。コミュニティパートナーであるDIAGONAL RUNやSHIBUYA QWS、i2.JPなど共に、現在以下の4つのプロジェクトが事業化に取り組んでいます。

■伝統産業の担い手創出

会員135万人が利用するスキマバイトアプリ、Timee(タイミー)がプロジェクトメンバーとして参画。地方創生事業の一環として、伝統産業の担い手創出ソリューションを長崎の地域課題ベースにて構築できないか議論検討中。

■おさかなサブスク

「水揚げ魚種が豊富」という長崎の強みを活かし、冷凍加工した複数魚種の切り身等をサブスクリプションで首都圏向けに販売するプロジェクトを推進支援中。プロジェクトメンバーとして、長崎市発祥のスーパー「ジョイフルサン」、長崎市内で飲食事業を展開する「F.デザインNAGASAKI」、そして、伊藤忠インタラクティブが参画している。

■カイロス

地方における課題解決型の新規事業創出PFについて、企画・検討していくことの支援を行う。プロジェクトメンバーとして、DX事業などを手がけるCRCが参画している。

■雲仙大学

雲仙における課題解決を、企業や複業者、学生等向けに「学びのコンテンツ」「新規ビジネスモデル」化できないか企画、検討することの支援を行う。プロジェクトメンバーとして、雲仙市、一般社団法人Work Design Lab、CRC、SHIBUYA QWSが参画している。

『CO-DEJIMA』に入居する昆虫食スタートアップに注目が集まる

また、『CO-DEJIMA』に入居しているスタートアップの中で特に注目されているのが、昆虫食スタートアップ企業であるBugsWellです。2021年1月に長崎県西海市にて設立された同社は、2022年3月に「J-Startup KYUSHU」33社のうちの1社として選定されました。長崎県からは唯一選ばれたスタートアップとなっています。

BugsWellは、食用コオロギの養殖システムの開発、およびコオロギ由来の食品その他の開発・販売。環境負荷が少なく、栄養価の高いコオロギの生産と流通を通じた地方創生・農福連携を目指しており、生産においては全国の障がい者福祉施設や農家との間で提携を結び、事業所の安定した収益獲得と代替たんぱく質としてのコオロギ供給を実現しています。製造についても食味を引出し、生菌数を減らしたコオロギパウダーを精製するための加工殺菌技術を独自に開発しています。

編集後記

大手企業が研究開発拠点を設立したり、今年9月には西九州新幹線が開業予定など、県外との交流がますます盛んになる長崎県。『CO-DEJIMA』という拠点を中心に、BugsWellのようなユニークなスタートアップや県内外から寄せられる事業アイデアが混ざり合い、カタチになっていく機会も増えていくのではないでしょうか。引き続き、注目していきたいと思います。

(TOMORUBA編集部)

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シリーズ

CLOSEUP OI ー地方のオープンイノベーション動向ー

全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。