【eiicon活用事例/NTTコミュニケーションズ株式会社】 思いに共感し「自社らしい」プログラムを共に創り上げる。積極的なメディアの活用で、経営層の巻き込みも実現
各種デジタルサービス・ソリューションを意欲的に提供するNTTコミュニケーションズは不確実性の高い時代に持続的な経済成長や地球環境への貢献を果たすべく「Re-connect X」をビジョンに掲げ事業を推進している。
本年1月1日にはNTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの3社を統合した新ドコモグループをスタートさせ、イノベーションに向けての機運がいよいよ高まってきた。中でも、NTTコミュニケーションズは「野心的な」グローバル企業として発足した歴史を持ち、革新的なサービスの創出に意欲的だ。2019年にはオープンイノベーションプログラムを本格始動させ、事業化を実現させるなどの成果を上げた。
同社が取り組むオープンイノベーションについて、2019年の着手段階からeiiconは支えてきた。「伴走体制」で共にプログラムを創り上げたほか、メディア露出の面でも支援し、現在でもさまざまな面で支援を継続している。今回、イノベーションセンター プロデュース部門 八塩初奈氏にeiiconとの出会いのきっかけや具体的な支援内容、サポートがどのような結果に結び付いたかなどをお聞きした。
▲NTTコミュニケーションズ イノベーションセンター プロデュース部門 八塩初奈氏
柔軟性の高い支援体制だから、自社らしいプログラムを生み出すことができた
――貴社とは第一期と第二期のオープンイノベーションプログラムに関わらせていただき、現在でも引き合いをいただいています。最初にeiiconを知ったきっかけを教えていただければと思います。
八塩氏 : 2019年に当社はオープンイノベーションプログラムに本格的に取り組むことになりました。世の中のスピードにキャッチアップしたいという思いがあり、その状況を打破するには自社の力だけでは限界があると感じたためです。
そこで外部の方々との共創を図ろうということになり、オープンイノベーションの先行事例などを調べました。その過程で、オープンイノベーションプログラムの支援はもちろんのこと、スタートアップとのマッチングやメディアへの露出も多いeiiconさんを知りました。
――オープンイノベーションの支援を手がける企業も多い中、特にeiiconに対して興味を持っていただいたのはなぜでしょう。
八塩氏 : 当社は、これまで個々でオープンイノベーションを取り組んではいたものの、全社でプログラムという形で実施する事に関しては後発だと思います。さまざまな企業が先行してオープンイノベーションプログラムに取り組んでいる中で、独自性、つまりNTTコミュニケーションズらしさを出す必要があると考えました。その上で、各社の支援内容を調べると、プログラムがパッケージ化されていると感じられるケースも多々ありました。
一方、eiiconさんは設計がフレキシブルで自由度が高く、当社の思いと合致したのです。また、プログラムの企画運営を通じてナレッジを獲得したいとの思いもあり、オープンイノベーションを外部に丸投げにすることなく、自分たちの手で行いたかった。そうした思いにも共感していただいて、2019年に開始した第一期のプログラムに設計から入ってもらうことになったのです。
――第一期、第二期でeiiconはそれぞれどのような支援を行ったでしょうか。また、特に印象に残るものがあればぜひ教えてください。
八塩氏 : 第一期の時は当社のメンバーはまだ少なく、かつ知識や経験がほぼゼロの状態でした。このため、まずは多数の前例を紹介いただき、壁打ち相手にもなってもらいました。プログラム設計については、一過性に終わることなくイノベーションが創出される土壌の醸成を目標としていましたので、事業化に向けた出口設計について特に多くのアドバイスをもらいました。
事業化のためには経営層を巻き込むことは必須ですが、ではどのように巻き込んでいけば良いのか――そうしたアドバイスがもらえたことがとてもありがたかったです。eiiconさんには当社がオープンイノベーションのプログラムを始めるにあたっての良き壁打ち相手を担っていただきました。
――オープンイノベーションは、既存の業務とはマインドを大きく変えて取り組む必要もあります。メンタル面でのサポートはいかがでしたか。
八塩氏 : 中村さん(eiicon代表)にメンターになってもらって、1on1を実施しました。当社では前例のない挑戦ですので、メンバーには不安もあったかと思います。でも、中村さんとは本音で向き合うことができ、不安を聞いてもうらなどしながら、メンタル面をかなり支えてもらいました。こうしたことは事務局が行うには限界がありますので、とてもありがたかったです。特に中村さんはご自身でも事業を立ち上げた経験をお持ちですから、参考になることは多々あり、モチベーションアップにもつながったのではないでしょうか。
――また、オープンイノベーションを牽引する経営層の方など、関係者のみなさんにeiiconが運営するメディア「TOMORUBA」のインタビューに応えていただくなどしました。メディアに出ることで自分の想いが言語化されると、意識が変わることもあるようですね。
八塩氏 : その点は強く実感しています。経営層のほかにも、プログラムのテーマオーナーや現場のメンバーたちもTOMORUBAに多く出させていただきました。取材を受けることに慣れておらず、緊張はしたかもしれませんが、いずれの場合もメディアを通じ、自ら思いを伝えることで、モチベーションアップにつながりました。自分の言葉が記事化されたからには、やり遂げるしかない、という気持ちにもなったのではないでしょうか。
共創パートナーのソーシングの面でも支援を受ける
――第一期のプログラム終了後は、社内外からどのような声が寄せられましたか。
八塩氏 : デモデイで社外の方や経済産業省の方をお呼びしたこともあって、認知が広がると共に「とても良いプログラムですね」との声を多く頂くに至りました。社内については、経営層への認知は広まっているものの、現場の社員一人ひとりまでには情報が行き届いていないのが現状です。社内外共に認知度や浸透度は十分とは言えないので、これからの大きな課題の一つと捉えています。
――成果として、事業化は進んでいるでしょうか。
八塩氏 : 2020年8月に3D-View化技術に強みを持つ3i Inc.(旧・YouVR Inc.)さんと当社のグループ会社のNTTビズリンクで映像サービス「Beamo™」(ビーモ)の提供を発表しました。また、メトロウェザーさんとは『鉄塔を活用した小型ライダーの展開による風況データ活用の実現』というテーマに取り組み、事業化を目指しているところです。両プロジェクトについて、eiiconさんにはメディア露出などの面で大変お世話になっています。
▲共創プロジェクトの取り組みに迫るTOMORUBAインタビュー記事。
――第二期のプログラムの「ExTorch(エクストーチ)」について、eiiconはどのような役割を果たしたでしょうか。また、第一期に続いてeiiconをパートナーとして選んだ理由もあわせてお聞かせください。
八塩氏 : 第二期は、第一期から継続してプログラム運営やメディア露出などについてお力添えをいただいています。第二期では、特に企業のソーシング面で助力をいただきました。eiiconさんが展開するオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」にはさまざまな業界の企業が2万社以上も登録しています。
その中から、当社のプログラムに合った企業を紹介いただけたのはとても助かりました。eiiconさんに引き続きご協力いただいている理由としては、プログラムをゼロから一緒に設計していただいた実績をはじめ、メディア露出やソーシングなどが挙げられます。本当に頼りにしているので、今後もご支援いただきたいと思っております。
オープンイノベーションの立ち上げ期に心強いパートナーとなる
――貴社は2019年からオープンイノベーションに本格的に取り組み始め、二期連続で共創プログラムを実施しています。経験を通じ、オープンイノベーションは組織を変える起爆剤となり得る。そうお感じになることはあるでしょうか。
八塩氏 : そうですね。当社から共創プログラムに参加したメンバーを見ると、スタートアップの熱量に触れ、モチベーションが高まるのを感じられます。特にデモデイに参加すると、各チームの熱気に圧倒されるばかりです。とはいえ、当社はまだスタートラインに立ったばかりの段階だと言えます。これから組織に変革やイノベーションを起こすために、課題を一つ一つ明確にして解決しながら前に進んでいければと思っています。
――よろしければ、八塩さんが感じているeiiconの良さ、どういった企業ならeiiconが最適かをご紹介いただければ幸いです。
八塩氏 : もっとも良い点の一つは柔軟性だと思います。自分たちらしい、オリジナリティあふれるオープンイノベーションプログラムを創り上げたいと考えるのなら、パートナーにeiiconさんを選ぶのがベストではないでしょうか。eiiconさんは幅広く経験や知識を持っており、業種業界を問わず対応が可能です。こうしたことから、オープンイノベーションにこれから取り組むような企業は、eiiconさんがピッタリだと思いますね。
メディアを持っている強みもありますので、外部へのPRについても心強いです。当社がそうだったように、取材を受けることで当事者意識が醸成されることもあるはずです。経営層や現場のメンバーの巻き込みについても、良いサポートを受けられます。
――最後に、二期を通じて八塩さん自身が変わったことや、今後の目標も教えていただければと思います。
八塩氏 : 経営層を巻き込む経験をさせてもらい、自分自身の成長を実感できるところがありました。パッションを持つ方たちとの社内外での交流は、大きな刺激でした。また、走りながら考え実行したことで、スピード感を持って仕事に取り組めるようになったのも、私にとって大きな変化だったと感じています。
第一期に比べると、第二期では、より深く先のことを見据えながら物事を考えられるようになったと感じることもあり、その点でも成長できたかなと捉えています。今後の目標は、一つでも多くの事業化を実現させることです。そのためにも、これからも多くのことを学び自分自身を成長させていければと考えています。
eiicon支援担当者からの声
■eiicon company Incubation Sales/Senior Consultant 松尾真由子
「八塩さんとは立ち上げるタイミングからご相談をいただき、プログラムにかける想いや、それをどうすれば実現できるかディスカッションを重ねて細部までこだわったプログラムを一緒に伴走させていただきました。トップのコミットと現場のオーナーシップ、その両方を実現させるために試行錯誤を進めてきたものの『生まれたアイデアを事業化に繋げる』ためには多くの壁がありました。
印象的だったのは、それを『仕組み』にまで落として二期目をスタートされたことです。八塩さんから『1期目の反省として、二期目はこんな体制で進めることにしました』と必要なヒト・モノ・カネを仕組みにしてインクルードさせるところまで既に社内決裁を取り進められていたのです。『どうすれば実現できるか』―試行錯誤を繰り返し猛烈なスピードで進化されるNTTComさんとこれからもご一緒していけること楽しみにしております!」
■eiicon company Incubation Sales/Consulting 曽田将弘
「2019年の初めてのプログラム実施の時点で、他社が実施しているオープンイノベーション活動の事例等をたくさん調査・分析されていて、『事業の社会実装にこだわる』という強いビジョンを既にお持ちでした。我々としてはその想いをカタチにするためのポイントやノウハウをお伝えしながら、一緒にプログラムの設計~パートナー募集・選定~インキュベーションを伴走させていただきました。
それを有言実行した第一期も印象的ですが、個人的には第二期を主として運営されている八塩さんの『進化』が最大の成果だったのではないかとも思っております。
第一期と比較して、今ではプログラムの設計から社内関係各所への巻き込み、タスクの進め方やプロジェクトマネジメントのスキルなど進化されていて、今や八塩さんはNTTコミュニケーションズさんの未来を占うキーパーソンだと思います!」
取材後記
eiiconが2019年から支援しているNTTコミュニケーションズの事例を紹介した。同社はeiiconの柔軟性に引かれ、パートナーシップを結んだ。同社らしいオリジナリティあふれるプログラムを共に創り上げ、その過程で、オープンイノベーションについて学ぶことは多かったという。また、eiiconは独自のメディアを持っているのが、大きな強みであり特徴だ。NTTコミュニケーションズではPRはもちろんのこと、経営層をはじめ現場のメンバーの巻き込みにも活用したという。eiiconはそれぞれの企業が持つ思いに共感しながら柔軟に対応し、メディアを積極的に使ったサポートができる。特にオープンイノベーションに取り組み始めた企業には、心強い存在となるはずだ。
(編集・取材:眞田幸剛、文:中谷藤士)