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【10/15 応募締切】地域版SOIP<北海道編>説明会レポート!―バスケ・アイスホッケーのホストチームが共創で目指す新しい観戦体験とは?

【10/15 応募締切】地域版SOIP<北海道編>説明会レポート!―バスケ・アイスホッケーのホストチームが共創で目指す新しい観戦体験とは?

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地域に根差したスポーツチームと共に、ビジネスアイデアの社会実装を目指す「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD(ビジネスビルド)」――。スポーツとあらゆる産業の共創により、新たなビジネスを生み出すことを目的として、スポーツ庁が主催するアクセラレーションプログラムだ。

本年度は、北海道、関西、中国、沖縄の全国4つのエリアで、プログラムを同時に開催する。各エリアに根差すスポーツチームが、共創したいテーマを提示し、全国からビジネスアイデアを募る。選ばれた企業は2日間にわたって催されるビジネスビルドで、ビジネスアイデアをブラッシュアップし、事業の骨組みまでを創る。ビジネスビルドで採択された企業は、各スポーツチームと共にインキュベーションへと進む流れだ。

11/12(金)・11/13(土)に「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD HOKKAIDO」が開催される北海道エリアからは、「レバンガ北海道(バスケットボール)」「レッドイーグルス北海道(アイスホッケー)」の2チームが参戦。去る9月29日、各チームの代表者がテーマについて説明するオンライン説明会が開催された。本記事では、その模様をお届けする。

広大な面積を誇る北海道では、居住地が密集する首都圏などに比べて、スポーツ観戦に対するハードルが個人間で大きく異なるため、オンライン観戦の体験価値や来場価値の向上が期待されるエリアだ。オンラインでの社会活動が急速に浸透すると見込まれる、Withコロナ/アフターコロナの時代を見据えた、将来性ある共創が可能なエリアと言えるだろう。

説明会では、北海道のスポーツ業界の特徴などが説明されたほか、ホストチームを務めるレバンガ北海道、レッドイーグルス北海道の2チームの代表によるパネルディスカッションが行われた。プログラムの全体像を知るうえで、必見の内容となっている。プログラムへの参加を検討する方はぜひご覧いただきたい。

※関連記事:【地域版SOIPに迫る<北海道編>】スポーツ観戦文化が根付く「北海道」からは、バスケ・アイスホッケーが参戦!共創ビジョンを各チームのキーマンに迫る!

北海道のスポーツ業界――「新しい観戦体験の創出」への期待が高まっている

説明会では、北海道におけるスポーツ業界の特徴について紹介された。紹介したのは、プログラムの事務局を務めるSPOPLA北海道の高松世大氏だ。

SPOPLA北海道は、北海道内における「スポーツ×異業種」の産業創出を担うプラットフォーム。2019年3月の設立以来、北海道内のスポーツチームと企業・団体との共創を促してきた。2020年度には、3回のビジネスマッチングイベントを開催し、合計25件のビジネスマッチングを実現させている。

そうした活動を踏まえ、高松氏は、北海道のスポーツ業界の特徴を解説する。まず、高松氏が、最も大きな特徴として挙げたのが「地元チームへの熱量」だ。北海道は、一人当たりのスポーツに対する消費金額や現地観戦数が、全国でもトップクラスの地域であり、また、「道産子」という言葉に象徴されるように郷土愛の強い土地柄でもある。そのため、地元スポーツチームへの熱量は高く、チームを応援する文化も深く根付いている。


また、スポーツチームの数が多いのも、北海道の特徴だ。野球やサッカー、バスケットボールなど、道内にはアマチュアを含めて数多くのスポーツチームが存在しており、札幌、旭川、帯広、釧路、苫小牧など、幅広い地域で地元密着型の活動を展開している。


一方で、高松氏は、北海道のスポーツ業界の課題として、「新たな観戦体験の創出」を挙げる。広大な面積を誇る北海道では、他の地域に比べて、スタジアムや会場に足を運ぶのに多くの時間を要する。さらに、昨今では、コロナ禍の影響により、現地観戦を見合わせるケースも増えつつあることから、北海道では、デジタルとリアルを融合した新たな観戦体験創出への期待が高まっているという。

最後に、高松氏は、「今回のプログラムには、新規事業創出に知見を持つ企業や金融機関、メディアなど、様々なサポーター企業にご参画いただいています。また、ホストチームとは別のスポーツチームにも、2チームご参画いただいているため、新規事業の横展開も可能な環境です。これらの皆様と共に、共創を全力でバックアップいたします」と、プログラムへの意気込みを語った。

ホストチームの特徴・リソースについて――両チームが目指す共創の姿とは?

続いては、ホストチームによる、募集テーマやリソースについての説明が行われた。まず、登場したのは、レバンガ北海道代表取締役CEOの横田氏だ。

●【レバンガ北海道】 「急成長マーケットにおける先端技術導入によるファンの活性化」


▲レバンガ北海道 代表取締役CEO 横田陽氏

■募集テーマ「急成長マーケットにおける先端技術導入によるファンの活性化」

・テクノロジーを活用した「来場」体験価値の向上

・アリーナ外で楽しむ新たな観戦体験・機会の創出

横田氏は、レバンガ北海道について説明する。レバンガ北海道は、2011年に設立されたプロバスケットボールチーム。現在、プロリーグのBリーグで活動するほか、eスポーツチーム「レバンガ☆SAPPRO」の運営や、キッチンカーを活用したフード事業など、バスケットボールの枠に捉われない、多角的な事業展開を行っている。


レバンガ北海道のチームの特徴は、リーグ内でも上位に位置する人気の高さだ。2020年のシーズンの一試合平均の入場者数ランキングでレバンガ北海道は5位。勝率上位のチームが入場者数ランキングでも上位を占めているなか、勝率下位のレバンガ北海道が5位にランクインするのは異例だという。

さらに、多くのプロスポーツチームが、男性ファンが中心であるのに対して、レバンガ北海道はファンの約6割を女性が占めるなど、独自のファン層を開拓している。

この点について、横田氏は「レバンガ北海道のファンのコア層は、30代、40代の女性です。これまで、レバンガ北海道は、バスケットボールやスポーツに興味の薄い方々に向けて観戦・来場のきっかけを作ることで、ファン層を拡大してきました。そのため、今回のプログラムでも、そうした取り組みを実現したいと考えております」と言及した。

事実、レバンガ北海道は、これまで、VRによるバーチャルフリースロー対決の開催や、オンラインサロンの開設など、新規性の高い施策に積極的に取り組み、観客の体験価値の向上を図ってきた。

さらに、2021年からは、ホームアリーナである「北海きたえーる」に15面の大型センタービジョンを導入。映像や音響、照明による会場演出にさらに注力していく方針だ。


最後に、横田氏は「レバンガ北海道の今季のスローガンは『CRAZY』です。このスローガンには『とにかく突き抜けていこう!』『歩き慣れた道ではなく、新たな道を歩んで行こう!』という、強い想いが込められています。今回のプログラムも同様で、前例やセオリーに捉われないような事業アイデアをいただきたいと思っています」と話し、チームの紹介を終えた。

次に登場したのは、アイスホッケーチームのレッドイーグルス北海道からチーフマネージャーの田中氏だ。

●【レッドイーグルス北海道】「伝統あるスポーツを革新、未開拓マーケットへ浸透させる」


▲レッドイーグルス北海道 チーフマネージャー 田中強氏

■募集テーマ「伝統あるスポーツを革新、未開拓マーケットへ浸透させる」

・2~30代などの若年者層に向けた新たなタッチポイントの創出

・初心者の方でも楽しめる観戦体験価値の向上

田中氏は、冒頭に、レッドイーグルス北海道の過去8年間のホームゲームにおける平均来場者数を提示する。平均入場者数は例年、1000人前後であり、8年間ほぼ横ばいが続いている。

「ここ数年で人気は高まっていないし、落ちてもいない。それがレッドイーグルス北海道、ひいてはアイスホッケー業界の現状です。こうした現状を打破したいというのが、今回のプログラムにかける想いです」と田中氏は熱く語る。


一般的に、アイスホッケーの魅力として挙げられるのは、「迫力」「スピード感」「緊迫感」など、競技に関するものがほとんどだ。田中氏は、それはアイスホッケーがスポーツビジネスとしての価値を、まだ十分に生み出せていないからだと指摘する。今回のプログラムでは、そうしたアイスホッケーの魅力や価値をより多くの人に届けるためのアイデアを求めたいという。


一つ目の募集テーマである「2~30代などの若年者層に向けた新たなタッチポイントの創出」は、レッドイーグルス北海道のファン層の偏りを解消することが目的になっている。

レッドイーグルス北海道のホームゲーム来場者の年齢別分布は、40〜50代が中心。今後、継続的な市場拡大やファン層拡大を目指すうえでは、20~30代のファン獲得が必要不可欠になる。

現在、レッドイーグルス北海道では、20〜30代のファン層拡大を狙い、YouTubeやSNSを活用したコンテンツ制作・配信を実施している。しかし、こうした制作・配信作業にかかる手間は大きく、スタッフへの負担となっているため、Webコンテンツの充実化と制作・配信の効率化が課題になっている。

また、最近では、コロナ禍などの影響を受け、ファンとの接点が減少する傾向にある。今後、活動範囲をさらに拡大していくためにも、新たなコミュニケーション機会の創出は欠かせない要素だと田中氏は述べる。

次に、二つ目の募集テーマである「初心者の方でも楽しめる観戦体験価値の向上」については、アイスホッケーというスポーツ自体が抱える課題の解決が目的になっている。初心者がアイスホッケーを観戦するうえで、最初の壁となるのはルールだ。また、競技の性質上、リンク上ではヘルメットを被った選手が目まぐるしく入れ替わるため、初心者が特定の選手を追うのは困難でもある。

こうした点について、ルールを分かりやすく説明したり、選手の顔やプレイを可視化したりするソリューションを開発することで、初心者の体験価値を引き上げることが、二つ目の募集テーマの狙いだ。

パネルディスカッション――コロナ禍の先を見据え、目指す未来とは?

説明会の最後には、ホストチームの代表者によるパネルディスカッションが実施された。司会はSPOPLA北海道の小川氏貴大が務め、質問を投げかける形で両チームの特徴や強みを深掘りしていった。以下では、その様子をお届けする。


まず、小川氏が両チームに投げ掛けたのは「コロナの影響、実際どうでしたか?」という質問。直近のチームの状況やコロナ禍により受けた影響、率直な感想などについて尋ねた。

それに対して、田中氏は「施設内での感染の発生により、ホームアリーナが一時閉鎖され、試合を実施できない状況もありました」と述べ、チームがコロナ禍の影響を大きく受けたと話す。実際に来場者数も一時落ち込む状況にあったが、直近では、平均の来場者数である一試合1000人前後に客足が戻りつつあるようだ。

続いて、横田氏は「たしかに経営としては厳しいものがありましたが、そのなかでやるべきことはやったという自負があります」と胸を張る。レバンガ北海道についても、興行収入の大幅な下落など、コロナ禍による影響は小さくなかった。しかし、そうしたなかで、オンライン英会話教室の事業を開始させるなど、新たな取り組みに数々チャレンジし、アフターコロナの時代に向けた体制の構築を進めているという。


次に、小川氏は「これまで、ファン獲得や顧客満足度向上のために、どんな取組をしましたか?」と質問する。今回のプログラムでもポイントとなる、ファン獲得や顧客満足度向上について、両チームはどのような施策を手がけてきたのだろうか。

これに対して、横田氏は、レバンガ北海道の数々の取り組みを挙げる。オンラインサロンでの会員限定のコンテンツ配信や、試合ごとに需要予測を行って入場価格を変動させるダイナミックプライシングの導入、スポンサーの経営課題を解決する広告の企画提案など、プロスポーツチームとしては新規性の高い施策が数多く紹介された。

一方、田中氏は、レッドイーグルス北海道が、これまで取り組んできたオンライン・オフライン両面によるタッチポイントの創出について話す。まず、オンラインについては、チームのYouTubeチャンネルを開設し、ホームタウン・苫小牧市の飲食店や名産品を選手が紹介する番組を制作・配信している。また、オフラインでの活動では、苫小牧市と連携し、地元小学校に訪問するなど、低年齢層への認知度拡大にも取り組んでいる。

最後の質問として、小川氏は「事業のその先は?」と投げかける。今回のプログラムは新規事業の創出と社会実装という、長期的な視座のもと進められる。では、その共創の先に、両チームはどのようなビジョンを描いているのか。

これについて、田中氏は「苫小牧市の強みを生かして、徐々にビジネスを拡大していきたい」と展望を語る。田中氏によれば、苫小牧市の強みとは「大都市ではないこと」だという。大都市ではないからこそ、事業のスモールスタートが可能であり、適切なスピードで事業を育てていくことができる。田中氏は「徐々に事業の規模を大きくしていきたい企業には、レッドイーグルス北海道はマッチしやすいチームだと思います」と、自チームとの共創の利点をアピールした。


次いで、横田氏は「アリーナスポーツの可能性を追求したい」と回答。横田氏は、レバンガ北海道の「北海道から『人』に『社会』に感動を届け、世の中を笑顔にする」という自社の企業理念に触れ、こうした感動や笑顔を生み出すのは、バスケットボールの試合だけではないと話す。試合を彩る会場演出や空間づくりなども人に感動や笑顔をもたらすものであり、今後も、そうしたアリーナスポーツの可能性を、新たな技術と斬新な発想で追求していきたいと語った。

終わりに、小川氏は両チームに応募を検討している企業へのメッセージを聞いた。これに対して、両チームは以下のように回答し、説明会を締め括った。

「審査のなかでは、じっくりコミュニケーションを取りながら、お互いを理解し合う時間を大切にしたいと思っています。ぜひ、皆さんの斬新なアイデアをお待ちしています。」(レバンガ北海道・横田氏)

「私たちは今年の4月にクラブチーム化したばかりの新しいチームです。そのため、ぜひチームを前に進めていけるような事業を、パートナー企業様とともに創り上げたいと考えています。多くの方とお話しできる機会にしたいです。ぜひご応募のほど、お願いいたします。」(レッドイーグルス北海道・田中氏)

取材後記

北海道のスポーツ業界について「デジタルとリアルを融合した新たな観戦体験創出への期待が高まっている」とSPOPLA北海道・高松氏が話したように、今回のビジネスビルドでは最先端のテクノロジーや斬新なアイデアを活かせる場が随所にあるだろう。

熱意にあふれるレバンガ北海道・レッドイーグルス北海道の担当者と共に、スポーツ業界で新たな事業に挑戦したい企業は、ぜひ「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD HOKKAIDO」への応募を検討してほしい。応募締切は10/15(金)となる。なお、本説明会の模様は以下URLにてアーカイブされている。より詳しい内容については以下より動画を視聴いただきたい。 

https://youtu.be/Hnyj0qdQiio 

(編集:眞田幸剛、取材・文:島袋龍太)

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  • 眞田 幸剛

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