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オープンなプラットフォームが制限を”今”設ける理由とは?代表中村の描く未来

オープンなプラットフォームが制限を”今”設ける理由とは?代表中村の描く未来

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2017年より、オープンイノベーションプラットフォームとして、数々の企業のマッチングを生み出してきた「AUBA」。その累計登録社数は2万社を超え、日本最大級のプラットフォームにまで成長した。

プラットフォームのさらなる活性化に向けて、8月から新たに搭載するのが「メッセージの受信制限」と「口コミ機能」。無料ユーザーはメッセージを10件までしか閲覧できなくなる一方で、口コミ機能を導入し、共創する上での客観的な判断材料を提供する。ーー今回の機能追加の背景にある想いとは。

そこで、AUBAを提供するeiicon company 代表/founderの中村にインタビューを実施し、オープンイノベーションの現状と機能追加に至った経緯や目的、今後の戦略を聞いた。

登録企業2万社突破。サービス開始当初と比べた「オープンイノベーション」のいま

――まずはオープンイノベーションの現状について、どのような印象をお持ちか聞かせてください。

eiicon(現AUBA)を開始した2017年に比べると、「オープンイノベーション」が実のある言葉として使われているようになったと実感しています。当時は「オープンイノベーション」がバズワードとして使われる場面も散見し、有識者の方々からは「ごっこ」だと揶揄されることもありました。

それに比べると、オープンイノベーションを事業創造の有効な手段として捉える企業が増えています。以前は「オープンイノベーションをするかどうか」と悩んでいた企業が多かったものの、今は「どうしたらオープンイノベーションを成功させられるか」という悩みに変化しました。企業の意識が次のフェーズに進んだ印象を受けています。

――今では登録企業も2万社を超えましたが、サービス開始当初との変化は感じていますか。

企業規模に関わらず、社外のパートナーを対等に見る企業が増えたように感じます。サービス開始当初は「こんな大企業に本当に連絡していいの」と二の足を踏む中小企業やスタートアップも少なくありませんでした。しかし、今では相手の企業規模に関係なく「連絡したのに回答がこないのはなんで?」という声も聞こえてくるようになりました。

また、企業という看板に眩むことなく、中の「人と人」の密なコミュニケーションが増えてきているのも大きな変化です。「〇〇の担当者がとても真摯に対応してくれました」「〇〇さんがキーマンでした」という声をよく聞くようになり、企業規模ではなく「〇〇の誰」と、人までしっかり見てコミュニケーションしているのを感じます。

企業同士のカルチャーギャップがあるのは変わりませんが、そこに悩むよりも「違って当たり前」という風に変わってきていますね。

――AUBAを介して出会った企業がオープンイノベーションに取り組んでいる事例で、印象に残っているものがあれば教えてください。

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とメトロウェザーの、「鉄塔を使って、風のデータを取得する」プロジェクトです。メトロウェザーは「ドップラー・ライダー」という風況データを取得する装置を開発している京都大学発のスタートアップ。高い場所に等間隔に装置を設置する手段を探していました。

そこで目を付けたのがNTT Comが持つリソースであった鉄塔。時代の流れで役目を終えかけていた鉄塔ですが、それを壊すのではなく、新たな活用方法はないものかと募集したところ、メトロウェザーが手を挙げ共創がスタートしました。

単体では過去の遺産となりつつあった「鉄塔」が、共創により未来の価値づくりに繋がるという、感動を覚える事例となりました。同じようにレガシーと分類されてしまう資産を共創により有効活用するケースは今後増えていくと思いますが、その好例になったと思います。


▲2017年のローンチから現在に至るまで、AUBAの歩みを特設サイトにて公開している。

本気でイノベーション創出に取り組む企業を増やすためのリニューアル

――新たにAUBAに「メッセージの受信制限」と「口コミ機能」を追加しました。それぞれの背景について聞かせください。

「メッセージの受信制限」を設けたのは、アクティブな登録企業を増やすことで、プラットフォームの活性化を図るためです。

サービス開始以前から、オープンイノベーションを少しでも浸透させるため、導入するハードルを下げることばかり考えていました。その結果、一部サービスは無料にこだわっていました。ただ、蓋を開けてみれば無料ユーザーは有料ユーザーに比べて、当たり前ですが非常に受け身。プラットフォームの規模が拡大し成長するにつれ、その「受け身」がプラットフォームに負の影響を与えはじめていました。

共創に前向きで熱心なユーザーが受け身なユーザーに連絡してしまった場合、声をかけても相手が反応しないことにより、前向きだったユーザーのやる気を削ぐケースが現れ始めたのです。登録企業社数が2万社を超え、制限を設けたところでプラットフォームが死ぬことはないと判断しました。そこでこの度、「メッセージの受信制限」をかけることで、やる気あるユーザーがより共創しやすい環境を整えることを意思決定しました。

――受信制限をかけたことで、具体的にどのような変化が起きるのでしょうか。

登録自体はこれまでと同様無料で行えますし、メッセージも10件までは無料で確認できます。しかし、11件目以降のメッセージに関しては、有料企業しか確認できません。有料企業の割合を増やすことで、本気で共創を考え、前向きに活動している企業同士のマッチングを活性化していければと思います。

とは言え、オープンイノベーションのハードルを低くしたいという考えは変わっていません。有料と言っても月額3,000円。決して大きな金額ではないものの、無料企業と有料企業では大きな差があると思っています。今回の仕様の変更で「お金を払ってでも共創を実現したい」と本気でイノベーション創出に取り組む企業が増えることを期待しています。

――口コミ機能についてはいかがでしょうか。

「あらゆる企業がオープンイノベーション実践を自立自走できるようにすること」が我々が目指しているゴールです。そこで「AUBAをできるだけオープンな場にし、真に出会える場にしたい」という想いから口コミ機能を追加しました。(以下イメージ画像)


例えば周りから腰が重いと思われている企業も、実際にやり取りした企業から「とてもスピーディに対応してくれました」と口コミがあれば、「え、そうなんだ」という驚きと共に、共創してみようと思う企業も増えるかもしれません。

 基本的には共創のプラスになるような口コミが増えて欲しいと思いますが、もし共創を妨げる誹謗中傷などが合った場合には、本部の方でガイドラインに基づき、削除させていただきます。ただ、オープンイノベーション界隈でもそうですが、企業間のやりとりがクローズドであるが故に生まれやすい「甘え」や「不誠実な対応」はなくなって欲しいと思っています。抑止力であり、モチベ―ションとなる、そのような役割を口コミ機能が果たせたら嬉しいです。


「イノベーション創出の最適解」を目指して

――eiiconのビジョンは「価値ある出会いが未来を創る」ことですが、その点に変化はありますか?

eiiconのビジョンは今も昔も変わらず「価値ある出会いが未来を創る」。そこにブレはありません。

ただ、私たちは、これまで「オープンイノベーションを全国に浸透させる」と伝え続けてきました。そこは少しメッセージを変えていきたいと考えています。

実は対外的には「オープンイノベーションを浸透させる」ことを自社のミッションとして伝えてきましたが、2017年ローンチ当初から社内のkick off資料等では「新規事業創出の第一想起になる」ことを謳ってきていたのです。今回のこのタイミングで社外にもこのメッセージを伝えていこうと考えています。

市場が育ってきたからこそ、今ならば齟齬なく「新規事業創出のための有効な手段がオープンイノベーションである」ということは伝えられるのではないかと考えています。

だから、これからは、事業開発のステップとオープンイノベーションのステップがリンクしていること、「AUBA」自体が新規事業創出の有効なツールとして認識されるよう邁進していきたいと考えています。新たな事業を立ち上げようと思った時に、まず「AUBAを使ってみよう」と思ってもらえるようになりたいですね。

AUBAが「オープンイノベーションプラットフォーム」であることは変わりはありませんし、これからもオープンイノベーション特化であることは間違いありません。ただ「新規事業の最も効果的な方法がオープンイノベーション」という考えを浸透させることで、その結果、「新規事業といえばAUBA」と思われる存在を目指しています。

――今の新規事業の作り方は最適解ではないと。

 今でも新規事業を生み出そうと思った時に「まずはインプット。社員の研修が必要だ」、「外部の有識者に相談しよう、コンサルティングをお願いしよう」と考える企業は多くあります。そのような「人力」「属人的」「他力」に頼ってイノベーションを生み出そうとする。

もちろん、素晴らしいアドバイザーはたくさんいます。私も自身のメンターと慕う方はいます。

ただ、「イノベーティブな新規事業を生み出し、社会実装させる」ことが目的だった場合、会社として社員にいくら研修しても、コンサルに入ってもらって社内の分析や自社の戦略設計の支援をしても、その方法では『必然的にイノベーションを起こす』ことはできません。

これまで4年と数カ月、本当に多くの事例を見てきました。共創事例は1,000件を超えます。だからこそ、私たちは『必然的にイノベーションを起こす』ためには、最初から『イノベーションを起こす』ための方法を取ることが必要だと伝えていきたいと考えています。


▲2021年4月、AUBAを活用したマッチングによる共創の成功報告(サクセスケース)が累計で1,000社を突破。


イノベーションが「新しい価値を生み出すもの」である以上、社外の既に別の価値を別の顧客に提供しているプレイヤーと連携する方が、効率的かつ効果的だと考えます。 「他社とコラボすれば、新しいものが生まれる」という摂理はとても分かりやすいですよね。それをシンプルかつデジタルで実現するのが私たちのサービス。今風に言うならばイノベーション創出にDXを起こしていきたい。

やったことのないことは、方法・やり方がわからない。それは当然です。ただ経済界における「イノベーション」は歴史上、意図的に起こされてきています。そこには、キーファクターがあり、それは可視化されてきている。

私たちは、その要素をオープンイノベーションという、よりイノベーションインパクトの大きい手法の実践に落としステップ化し、誰もが使えるツールとして提供することで、イノベーションを必然的に起こせるようにしたいと目論んでいます。イノベーションはもっとシンプルに起こすことが可能です。

――最後にAUBAのこれからのビジョンを聞かせてください。

名前の通り、オープンイノベーションを志す人々が名実共に「会う場」にしていきたいと思います。それは会社の規模や内資、外資に関わらず、企業だけでなく大学や自治体も含めてです。ありとあらゆる組織が、AUBAで出会い共にイノベーション創出を目指す世界を作っていきます。

また、AUBAがこれまでイノベーション創出の支援をしてきたノウハウをまとめて、学習できる仕組み作りも始めています。例えばイノベーション創出の習熟度が分かる健康診断のようなチェックシートもまもなく公開できます。今後は、誰もが再現性をもってイノベーションを起こせる社会づくりにも力を入れていきます。


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eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

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コメント7件

  • 田上 知美

    田上 知美

    • 株式会社eiicon
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  • 富田 直

    富田 直

    • eiicon company
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    今、プラットフォームに制限を設ける理由。
    我々がずっと追っている、「企業が自立的にオープンイノベーションを実践できる状態をつくる」
    そのためのハードルです。ある意味、「なんとなく実践するのではなく、本気でやってほしい」という想いでもあります。
  • 竹林佑智

    竹林佑智

    • リトルソフト株式会社
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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

    • eiicon company
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  • 栗山 彩香

    栗山 彩香

    • 株式会社eiicon
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