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“短命県からの脱却”など社会インパクトを残す共創が受賞――3回目が開催される「日本オープンイノベーション大賞」とは?

“短命県からの脱却”など社会インパクトを残す共創が受賞――3回目が開催される「日本オープンイノベーション大賞」とは?

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内閣府は、3回目となる「日本オープンイノベーション大賞」の募集をスタートさせた。同賞は日本のオープンイノベーションをさらに推進させるために、内閣府が主導。今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取り組みを称えるものだ。

オープンイノベーションの取り組みの中で、模範となるようなもの、社会インパクトの大きいもの、持続可能性のあるものについて、担当分やごとの大臣賞、経済団体、学術団体の会長賞の表彰をすると共に、各賞の中で最も優れたものを内閣総理大臣賞として表彰する。 

【表彰の種類】

内閣総理大臣賞、科学技術政策担当大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞、スポーツ庁長官賞、日本経済団体連合会会長賞、日本学術会議会長賞、選考委員会特別賞

募集はすでに開始されており、【10/30(金)18時】が期限となっている。受賞者の発表および表彰式は来年2月を予定している。

本記事では、過去に開催された「日本オープンイノベーション大賞」を振り返りながら、実際にどのような取り組みが受賞していたのかを紹介していく。

第1回の内閣総理大臣賞受賞は、「平均寿命 全国最下位県」からの脱却を目指すプロジェクト

まずは、2018年度(平成30年度)の第1回日本オープンイノベーション大賞の受賞者を見ていきたい。各賞を受賞した取り組みは以下の通りだ。


大企業であるパナソニックから独立してチョコレートドリンクマシンを生み出したミツバチプロダクツや、JR東⽇本スタートアップが開催している「JR東日本スタートアッププログラム」、⼤企業若⼿有志プラットフォーム「ONE JAPAN」などが受賞している。

そして、内閣総理大臣賞を受賞したのは、青森の弘前大学が中心となって進められた【超多項⽬健康ビッグデータで「寿命⾰命」を実現する健康未来イノベーションプロジェクト】だ。

“日本一平均寿命が短い”という大きな課題を抱える青森県。弘前大学は、その課題からの脱却を目指して2005年から毎年1,000人以上の弘前市民を対象に「岩木健康増進プロジェクト」を開始した。2013年には、文部科学省のセンター・オブ・イノベーション・プログラム(COI)の拠点に採択され、「弘前大学COI」として、花王株式会社、カゴメ株式会社、ライオン株式会社など60以上の参画企業や大学、研究機関と連携している。

また、「岩木健康増進プロジェクト」を通して住民健診から得られた2,000項目の健康ビッグデータを、弘前大学医学研究科、東大・京大のAI研究者、生物統計の専門家や参加企業で分析。疾患の予測モデルを開発した。さらに、青森県健康経営認定制度の創設や約1万人の健康増進リーダー・サポーター育成等産学官民の強固な連携のもとに、社会環境の整備を強力に進め、社会実装を推進している。

その成果として、民間投資は年間約3億円、推計で経済効果約242億円、雇用創出約1,812人、医療費抑制約527億円を見込み、2017年の男性平均寿命の伸び率が全国3位を記録し短命県の返上に向けて着実に前進しているという。




▲産学官民が連携したオープンイノベーションの推進体制を構築している。「弘前大COI:健康未来イノベーション戦略」より。

第2回の内閣総理大臣賞受賞は、汎⽤的「知能ロボットコントローラ」の開発プロジェクト

次に、2019年度(令和元年度)の第2回日本オープンイノベーション大賞の受賞者を見ていきたい。各賞を受賞した取り組みは以下の通りだ。


続々とスタートアップを誕生させて話題となった「九州大学起業部」や、CBcloudと佐川急便・ANAによる「軽貨物の当⽇緊急配送を実現する”モノのMaaS”実現」、フードロス解決アプリ「TABETE」と⾃治体の協働による社会課題解決など、さまざまな取り組みが受賞している。

そして、内閣総理大臣賞を受賞したのは、【汎⽤的「知能ロボットコントローラ」の開発】だ。――各業界における深刻な労働力不足を背景に、ロボットの活躍の場は拡大しているが、超多品種に自動対応するという課題の高さがある。これを克服し、従来、ロボットの適用、参入が難しかった分野への導入を可能にすることを目的にしたスタートアップ・MUJINを中心としたプロジェクトだ。

既存のマーケットを取り合うのではなく、新たな市場を創出するためにロボットメーカー8社(安川電機、三菱電機、川崎重工業、不二越など)との協力体制を構築し、ロボット業界初のオープンイノベーションを推進。世界で初めて異なる各メーカーのロボットの直接制御で統一制御でき、知能化(プログラミングなしで作動)できる「知能ロボットコントローラ」(MUJINコントローラ)を開発した。

すでに知能ロボットコントローラの販売台数は世界で560台を突破。物流用3Dビジョンシステム累計では370セットで世界一。物流知能ロボットソリューションでは最大1/20の人件費削減が可能になるなど、ロボット市場の拡大と労働力不足問題に大きく貢献。MUJINもスタートアップ企業として世界に向けて大きく成長したという。


▲「知能ロボットコントローラ」(MUJINコントローラ)のイメージ https://www.mujin.co.jp/news/967/

編集後記

詳細・応募については、内閣府による「日本オープンイノベーション大賞」のWebサイトを参照していただきたい。募集の締切スケジュールは10/30(金)18時となっており、受賞者の発表・表彰式は2021年2月に開催予定だ。

これまで内閣総理大臣賞にとどまらず各大臣表彰を受賞された組織・団体においても、内外への好影響をうけ、それぞれの取り組みが加速化された例が多数生まれているという。オープンイノベーションに取り組んでみたという実績がある組織・団体はこの機会に成果を広く発信し、世の中にインパクトを残すきっかけになる可能性もあるだろう。

第3回日本オープンイノベーション大賞では、どのような取り組みが受賞し、オープンイノベーションの新たな道筋を示していくのか。TOMORUBAでは、その結果もレポートしていく予定だ。

TOMORUBA編集部

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