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アクセラレータープログラムとは?タイプやメリット・デメリットとは?

アクセラレータープログラムとは?タイプやメリット・デメリットとは?

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今や多くの大企業や自治体が主催している「アクセラレータープログラム」。人・モノ・資金といったリソースが不足しがちなスタートアップにとって、アクセラレータープログラムに採択されることは成長できる大きなチャンスです。

大企業や自治体にとっても採択したスタートアップと共創することで、新たな技術や自分たちでは思いもつかないビジネスアイディアを生み出すきっかけにもなります。

しかし、その一方でアクセラレータープログラムに採択されることで成長を阻害されてしまうケースもあれば、成果を出せず無駄骨になってしまうケースもあります。数あるプログラムの中から、どのようなポイントをチェックして応募すればよいのでしょうか。 

今回はアクセラレータープログラムについて、採択されるメリット・デメリット、そしてリスクを回避するためのポイントについて紹介します。これからアクセラレータープログラムの主催を検討している大企業や自治体にとっても、理解を深めるための参考になれば幸いです。

アクセラレータープログラムとは

アクセラレータープログラムとは、ベンチャー企業の成長を加速させるためのプログラムです。アクセラレーター(accelerator)とは、もともと加速、加速装置、促進剤という意味を持つ英単語。

スタートアップには、「シード」「アーリー」「ミドル」「レイター」と呼ばれる代表的な4つの成長ステージがあります。アクセラレータープログラムは最初のシード期をすぎたスタートアップの成長を促進させるために、資金提供や幅広い人脈ネットワーク、経営ノウハウの提供を行うのが一般的。ただし、対象は必ずしもスタートアップに限らず、中小企業を含めたベンチャー企業が対象です。

一般的には主催者がアクセラレータープログラムのテーマを設定し、テーマに沿ったベンチャー企業が応募した中から数社を採択。数週間~数ヶ月に及ぶプロジェクト実施期間を経て、最終成果を発表します。途中経過や最終成果を発表する場をDemoDay(デモデイ)と呼びます。

アクセラレータープログラムの内容は様々で、メンターと協力しながら自社サービスをブラッシュアップするケースもあれば、大企業が主催者の場合、共創して新しいプロジェクトを立ち上げるケースもあります。いずれにしても、主催者は自社の経営資源を活用して様々な提供リソースを用意しているので、ベンチャー企業だけの頑張りだけでは得られない成長を期待できます。


アクセラレータープログラムとインキュベーター

アクセラレータープログラムとよく混同されがちなものに、インキュベータープログラムがあります。これから成長していく企業のサポートをしてくれる点では同じなものの、その対象や内容は微妙に異なるので違いを把握しておきましょう。

主な違いは下記のとおりです。


アクセラレーターが「加速」を意味するのに対し、インキュベーターとは「孵化器」のこと。つまり、まだ卵のような状態の企業を無事に孵化させるのがインキュベータープログラムです。

アクセラレータープログラムが既に形ある企業の成長をサポートするのに対し、インキュベータープログラムはまだ会社として独り立ちできない状態からサポートしていきます。そのため、アクセラレータープログラムはプロジェクト期間が明確に定められているのに対し、インキュベータープログラムは明確な期限がないこともほとんど。場合によっては数年にわたってサポートを受けることもあります。

ただし、最近のアクセラレータープログラム、とくに事業会社が主催しているプログラムの中には、インキュベーターを兼ねている場合もあります。大企業がベンチャー企業と組んで新たな事業を創造し、段階的に出資などをしながら事業を拡大していくのです。

かつてはどのアクセラレータープログラムも一様だったものの、ここ数年で主催する組織の個性を活かした多種多様なプログラムも生まれ始めています。必ずしも上記で紹介した定義に当てはまるとは限らないため、どんなアクセラレータープログラムがあるのか探してみましょう。

アクセラレータープログラムの3つのタイプ

「アクセラレータープログラム」の運営方法には様々な種類があります。タイプによって支援内容のレベルが大きく違うこともあれば、受けられる恩恵も異なるのでチェックしましょう。

シードアクセラレータープログラム

VC(ベンチャーキャピタル)などのベンチャー支援業者が主催するアクセラレータープログラム。VCにとっては将来性が見込める企業を発掘するチャンスになりますし、ベンチャー企業にとってはVCから投資してもらえるチャンスとなります。

ベンチャー経営のプロたちが主催しているだけあって、質の高いプログラムが多いです。一方で、受けられる恩恵は経営ノウハウなど無形のものが多い傾向にあります。

事業会社型アクセラレータープログラム

大企業が自らアクセラレータープログラムの企画から公募、ベンチャー企業の採択、運営を一気通貫で行うスタイル。アクセラレータープログラムのリソースはすべて企業内から捻出されるため、社内にアクセラレータープログラム運営のノウハウがあるかどうかが成功の鍵になります。純粋にベンチャー企業の成長促進というよりも、共創を生み出すのが目的になっている場合が多いです。

受けられる恩恵はプログラムによって様々。大企業が持つ広大な不動産や技術など、様々なリソースを活用できます。一方でベンチャー経営に精通していないケースもあるため、コミュニケーションに苦労することもあります。

また、最近ではアクセラレーター支援会社に支援してもらう「Powered by 型」も増えています。事業会社型アクセラレータープログラムのメリットはそのままに、コミュニケーションなどにおけるデメリットなどが解消されることも。

ビジネスビルド型アクセラレータープログラム

事業会社型アクセラレータープログラムの簡易型。その名の通り、「ビジネスを創出する」スキームです。アクセラレータープログラムの要素を抽出し、数日で共創チームの組成、共創チームによる新規事業創出のためのワークを行い、最終的にプレゼン・審査を実施。結果、2日間前後という短期間で、メンターと共にビジネスアイディアを創出するプログラムです。

一般的な「事業型アクセラレーター」では時間的にも人員的にも多くのコストがかかり、ビジネスの大きな負担になることも珍しくありません。

そのようなデメリットを抑え、短期間で結果を出せるビジネスビルドはアクセラレーター慣れしていない企業や、年に複数回の事業創出を生み出したい企業、初めてアクセラレータープログラムに取り組む企業や、本格的なプログラムにリソースを割く余裕のない企業に人気です。


アクセラレータープログラムのメリット・デメリット

アクセラレータープログラムにどのようなメリット・デメリットがあるのか、大企業・ベンチャー企業それぞれの視点から見ていきましょう。

大企業におけるアクセラレータープログラムのメリット

大企業における最も大きなメリットは「イノベーションの創出」です。事業のライフサイクルがどんどんと短期化され、大企業にも新規事業の創出が強く求められていますが、社内のリソースだけで新しい価値を生み出すのは容易ではありません。

そこで多くの大企業が注目しているのが、アクセラレータープログラムによる「オープンイノベーション」です。テーマに沿ったベンチャー企業を募り、自社サービスとコラボレーションすることで、革新的なビジネスを生み出すチャンスを探っています。

大企業にはないベンチャー企業ならではの視点や新しい技術を取り入れることで、新しい市場を開拓できます。

ベンチャー企業におけるアクセラレータープログラムのメリット

ベンチャー企業におけるのメリットは、リソースや経営ノウハウを享受できること。どんなに素晴らしい技術や新しいアイディアがあっても、事業を成長させるにはヒトや資金といったリソースが欠かせません。

アクセラレータープログラムで採択されれば、様々なリソースを得られるため事業を急成長させられるチャンスとなります。受けられる恩恵は幅広く、自社サービスのブラッシュアップや実証実験の機会、新しい市場の開拓など事業成長の可能性は無限大です。

また、アクセラレータープログラムに採択されること自体が、企業の認知度を上げることにも繋がります。「〇〇アクセラレータープログラムに採択された」という実績があるだけで、メディアに取り上げられたり、他のアクセラレータープログラムにも採択されやすくなる効果も期待できます。

大企業におけるアクセラレータープログラムのデメリット

今や多くの大企業がアクセラレータープログラムを実施していますが、最も大きな課題は「事業部との連携」です。事業部は既存事業を走らせながらも、ベンチャー企業との共創も行わなければなりません。

全社的にオープンイノベーションの重要性が浸透している企業であれば、事業部も共創に積極的ですが、中には目の前の既存事業が忙しくベンチャー企業にまで意識がいかないケースも。片手間のプロジェクトではもちろん成果もでませんし、ベンチャー企業からの評価が下がるリスクもあります。

途中で頓挫するプロジェクトが多いようでは、翌年以降のプログラム運営にも支障をきたしてしまうでしょう。大企業がアクセラレータープログラムを成功させるには、全社にオープンイノベーションの重要性を理解してもらう取り組みが欠かせません。

ベンチャー企業におけるアクセラレータープログラムのデメリット

ベンチャー企業におけるアクセラレータープログラムの課題は「リソース不足」です。ただでさえ人的リソースが足りないベンチャー企業がアクセラレータープログラムに参加すると、余計にリソースが足りなくなります。結果的に本業も共創も疎かになり、事業の成長を阻害させることにもなりかねません。

また、ベンチャー企業はプログラムの規約にも注意しなければなりません。アクセラレータープログラムによって生まれた知財などの権利が、全て大企業のものになるような規約ではベンチャー企業のメリットはほとんどなくなります。それは、プログラムが終わって投資を受ける際の契約内容についても同様です。

場合によって経営の自由度が大きく狭まることにもなりかねないので、できれば弁護士などの専門家などに規約を見てもらい、考えられるリスクを洗い出してもらいましょう。


アクセラレータープログラムから新たな価値を創造へ

今やアクセラレータープログラムは大企業にとってもベンチャー企業にとっても、重要な成長戦略の一つです。うまくアクセラレータープログラムを活用できれば、新たな価値を創造し両者に大きな利益をもたらしてくれるでしょう。

しかし、その一方でアクセラレータープログラムが中途半端に終わり、成果を出せずになってしまうケースも少なくありません。まだまだ日本はアクセラレータープログラムの黎明期。その質もピンキリなので、アクセラレータープログラムを探しているベンチャー企業はよく吟味してから応募してください。

(文:鈴木光平)

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