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【連載/4コマ漫画コラム(1)】「分かっている」から「分かっていない」イノベーションの始め方

【連載/4コマ漫画コラム(1)】「分かっている」から「分かっていない」イノベーションの始め方

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(漫画・コラム/Creable 瀬川 秀樹)


■あちこちで「イノベーションXX部」

「名は体を表す」と言うけれど、残念ながら「イノベーション」や「新規事業」などの言葉がついた大企業内の組織は、そうなっていないことが多い。 もちろん、組織が出来ているのだから、経営として「イノベーションを起こしてほしい」「新規事業を創出しないといけない」という意志は明確なはずだ。 (「と、いう格好をつけたい」というだけの可能性は無いコトはないけど、それは、ちょっと横に置いておきましょう) そうすると、国の政策でよくある「ハコモノ作りだけで終わっている」に似ているかもしれない。

だから、社内の人間からも「あんな部署作ってもね」「どうせ何も出てこないよ」という冷ややかな目で見られたりしがちだ。 その組織にアサインされた社員も、それまでは真面目に既存事業のやってきた人が多いので、どうしても「何をやったらいいか」が分からなくて悶々としてしまい、そしてそのうち「どうせウチの会社じゃうまく行かないよ」と担当者までが外野的な批評者になってしまう。  

■ハコモノが先でもいい

では、「名前をつけたハコモノ」は意味がないのか? 私はそんなことはないと思う。「箱」を作ってくれたのだから、それを最大限活用しようじゃないですか。少なくとも、単に文句を言っている奴らと同化したくない。「新しい世界を創ろう」と足掻いている人たちを応援していきたい。 

私自身はリコーでの長いサラリーマン生活を終えて(早期退職)、今は個人業でアドバイザーやメンターなどをしており、組織の当事者ではなくなってしまったので「応援」しかできないというもどかしさはあるけれど。 リコーの社員の時代には、会社にとって「新しい」仕事や活動ばかりやってきた。もちろん、自らが提案して手と足(と口(交渉))を動かして立ち上げてきたものがあるけれど、組織ができてから、そこに異動したりその組織の責任者になったことも多い。

つまり組織という「ハコ」だけ先にできてしまってから、そこに入っちゃうというパターンだ。 基本的に「新しいコト」に対しては、人は「経験」がない。だから、どうしてもそれまでの「経験」をベースにしてしまう。私は、会社員時代のほとんどの期間、「新しいコト」に携わってきたので、それが経験のベースになっているけれど、既存事業を長くやってきた人は、どうしても「既存事業」のやり方をベースにしてしまう。  

■何が既存事業と違うのか

何が「新しいコト(イノベーションや新規事業)」と「既存事業」で違うのか? 「既存事業」は「やり方がほぼ決まっていて、それをベースにやる(のが一番確率も効率もいい)」。 それに対して、「新しいコト」は、「分からないけど、やる」。 「新しいコト」は不確実性が高く「分からない」のが当たり前ということだ。 

「そんなことは分かっているよ」と既存事業の経験者の方々も言う。そうして、「分からないことを分かるようにする」ために、既存事業では当たり前の「しっかりした目標と計画」をまず立てようとする。だけど、「分からない」ことに対して「しっかりとしたもの」なんて最初の段階で作れるはずがないのだ。 「分からない」ということを「分かって」、ある意味割り切りながら前に進むという姿勢でないと何も起こらない。 (「分かる」「分からない」という言葉が氾濫した文章になってしまっているけど、「分かります」か?)。  

■「がさっさ!」でやろう

それでも、「いやいや、ちゃんと他社事例をベンチマークすれば、制度設計などはできるはず」と考えてしまい、オープンイノベーションのやり方や新規事業のプロジェクトの進め方の「ガイドライン」みたいな分厚い文章作成に(だけ)奔走してしまうケースも多い。 はっきり言っておきたいのだけど、他社などの「やり方」をそのまま真似することは不可能だ。会社ごとに文化や歴史や社員などが様々な点で違うので、「参考」にすることはできても、「そのまま真似」はできない。 

そこで、「計画」や「ガイドライン」などを、活動開始の時点で「固めてしまう」のを諦めることが肝要。活動を早く開始するために、サクッと「計画」や「ガイドライン」は作ってしまって(それなりの勉強は必要だけど)、「やりながら変えていく」という方法。もちろん、計画やガイドラインを毎日変更すると単に「何もない」のと同じになってしまうので、ある期間ごとに「見直しタイミング」を明確においてバージョンアップしていく(計画であれば3か月ごと、ガイドラインであれば1年ごと、など)。 私が担当していた新規事業開発センターでも、組織ができた最初のタイミングはプロジェクトの進め方は「がさっと」「さっさと」決めて(合わせて「がさっさ」!)、実際の複数のプロジェクト推進の経験をベースに毎年1回「新・ガイドライン」を作成していた。 

1997年に立ち上げたシリコンバレーでのCVC(Corporate Venture Capital: 会社としてファンドを持ち、ベンチャーに投資する活動)の時は、あまりに「がさっと」した計画やガイドラインだったので、実際に進めていく中で色々と問題がでて、大変だった。それでも、それくらい「いい加減(良い加減でもある)」でスタートしなければ、たぶん結局何も起こせなかったのではないかと思っている。 

・・・まだまだ一杯書こうと思っていたことがあったのに、制限字数をすでに越えてしまいました。「計画」がいい加減ですね。ま、こういう感じでやるのがイノベーティブかと。(と、自己正当化。すいません) このコラムも今後どうなるか「分かりません」が、時々お会いしましょう!    


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。  

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