横浜市・東急電鉄・ドコモ・NTTが「データ循環型のリビングラボ」共同実証実験を開始
横浜市、東京急行電鉄株式会社、株式会社NTTドコモ、日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」のモデル地区「たまプラーザ駅北側地区」において、地域住民との連携のもと、まちの課題解決やコミュニティ活性化を目的に、新たな取り組みとなる「データ循環型のリビングラボ(以下、同スキーム)」に関する共同実証実験を、2019年6月15日(土)から開始した。
同スキームは、まちに関するデータを活用し、地域住民が主体となり、まちの課題解決に向けた取り組みを行うことを支援・加速する仕組み。同実験では、地域住民が設定した地域課題「コミュニティ活性化」に対して、「まち歩きサービス」と「地域チャットボット」という2つのICTサービスを提供し、その活用を通じて住民の関心ごとや活動エリア、まちのイベント情報などのまちに関するデータを収集する。そして、収集データを地域住民に共有し、ワークショップなどで活用することで、ICTサービスの導入に向けた検討・検証を行う。さらに、データを可視化して共有することで、新たなまちの課題や住民のニーズに気づくきっかけをつくり、地域住民による新たな活動の創出をめざす(図1・2)。
■実験の概要
1. 目的
(1) 同地区における地域の課題解決やコミュニティ活性化
(2) 同スキームの有効性や、ICTサービス・ワークショップ手法の有用性検証
2. 期間
2019年6月15日(土)~2020年3月16日(月)
3. 対象地域・対象者
対象地域: たまプラーザ駅北側地区(横浜市青葉区美しが丘1・2・3丁目)
対 象 者: 同地区に在住・在勤、もしくは同地区で活動されている人など
4. 実施項目
(1) 同スキームの検証
検証内容:同スキームが住民主体の活動を生み出す効果、
データを活用したワークショップが住民の議論を活性化する効果など
(2) ICTサービスの検証
① 楽しく安全にまちを歩くためのまち歩きサービス
まちの情報や写真をデジタル地図上に投稿することで、住民のおすすめスポットやバリアフリー情報などを可視化・共有し、楽しく安全なまち歩きを通じて、コミュニティ活性化を図る。
② 地域のローカル情報を提供するチャットボット
地域のローカルな情報に特化したチャットボットサービスで、暮らしに役立つ情報やイベント情報などを、テキストの会話形式で提供。コミュニティ活性化を図るとともに、投稿された質問内容などの分析で、住民の関心ごとや困りごとを明らかにする。
検証内容:サービス導入可能性・持続可能性、まちのデータの可視化・共有の効果など
5. 背景と経緯
横浜市と東急電鉄は、2012年4月から産学公民の連携・協働による「次世代郊外まちづくり」に取り組んでいる。情報発信・活動拠点「さんかくBASE(WISE Living Lab)」で、2017年から地域住民とともに「リビングラボ勉強会」を開催するなど、住民が主体的にまちの課題を解決する手法「リビングラボ」を実践しており、東京大学の小泉秀樹教授などとも連携している。同実験もリビングラボの一環。
ドコモとNTTは、まちのデータを収集・可視化してコミュニティ活性化につなげる「IoTスマートライフ」や、住民と企業が共創するリビングラボの研究など、住民主体のまちづくりに資するICT・IoT技術の開発や研究を進めてきた。また同実験は、横浜市とNTTが締結している「官民データ活用による超スマート社会の実現に関する包括連携協定」の取り組みの一環としても実施する。
今般、ドコモとNTTが、次世代郊外まちづくりの取り組みによって住民主体のまちづくりが進んでいる同地区に注目し、連携のメリットを感じたことから、4者共同で本実験の検討を始め、地域団体や地域住民との対話も行った上で、同実験に取り組むこととなったという。
6. 今後について
同実験の結果を踏まえ、4者は地域住民とともに、2021年頃のICTサービスの本格導入に向けて、検討を進める。また、同実験で得た知見を活かし、横浜市と東急電鉄は、地域住民との共創によるリビングラボの取り組みを展開し、持続可能なまちづくりやSDGsの実現を推進する。ドコモとNTTは、ICTやIoT技術を活用した住民主体のまちづくりの仕組みや住民とのサービス共創手法の確立をめざすという。
<図1 同実験の連携体制イメージ>
<図2 「データ循環型のリビングラボ」イメージ>
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)